Career小町
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- 私らしく 働く
横浜で
Career小町
― 女性が 輝く横浜・中小企業情報 ― 働きやすい職場環境で輝く女性従業員にインタビュー 女性活躍推進に取り組む経営者と
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- はじめに
いきいきと活躍する女性従業員へのインタビューを掲載したWeb サイトです。本誌はその総集 編であり、企業における魅力的な職場づくりの一助となれば幸いです。 「Career 小町」は、“女性活躍” に先進的な取組を実施している経営者へのインタビューと、
女性活躍とは
戦略の1 つです。 女性に配慮した制度を整えるだけではなく、 「働く女性の気持ち」 に寄り添い、 果を経営トップが継続的に発信し、従業員の理解を深めていくことも大切です。 働きやすさを実感できることが重要です。 また “女性活躍 ”の取組について、その必要性や効 さらに、女性が働きやすい環境は、男女問わず様々な人にも働きやすい環境となり、人材確 “女性活躍” は、働き方改革やダイバーシティ推進の第一歩として、企業価値を高める経営
保や人材定着、生産性向上など、結果として企業の成長にもつながっています。
横浜市における女性活躍の現状
躍支援や女性が働く環境の改善に一層注力している横浜市の現状をデータとともに紹介します。 横浜市では、 「日本一女性が輝き、働きやすく、暮らしやすい都市の実現」を掲げています。女性の活
● 女性の年齢別就業状況
【図1】女性の年齢別就業状況 90% 80% 70% 60% 76.8% 74% 84.7% 83.5% 76.6% 76.4% 74.2% 73.6% 67.2% 35 〜39 歳 40 〜44 歳
平成 29 年度「女性の就業ニーズ調査」では、 平成 26 年度調査と比較し、全ての年代で女性の 就業割合が高くなっています(図 1) 。女性の就業 状況(労働力率)は、結婚・出産期にあたる年代 に一度低下し、育児が落ち着く時期に再び上昇す る、M字カーブを描いています。M字の谷が浅く なっているのが、近年の傾向です。
H29 H26
81.2% 78.6%
70.9% 25 〜29歳 30〜34 歳
20 〜24歳
45 〜49 歳
出典: 「平成29年度 女性の就業ニーズ調査」 から。調査対象は、横浜市内在住の満20 歳以上49歳以下 の女性 3,000人。有効回収票数 817。平成29年12月13日~平成30年1月12日実施
● 企業による
女性活躍の取組について
【図2】女性の雇用・登用を進めるための取組の実施状況
明確な基準に沿った性別にとらわれない人事考課 ワーク ・ ライフ ・ バランス推進のための 風土改革や理解促進 多様で柔軟な働き方ができる制度整備 (短時間勤務、 フレックス、 テレワーク等) 女性がいないか又は少ない職務 ・ 役職について、 女性を積極的に採用 ・ 登用
平成 29 年度「男女共同参画に関する事業所調 査」では、企業が女性の雇用・登用を進めるため の取組状況について、 「性別にとらわれない人事 考課」が最も実施率が高く、次いで「ワーク・ラ イフ・バランス推進のための風土改革等」 「多様 で柔軟な働き方ができる制度整備」 「女性を積極 的に採用・登用」となっています。働きやすい環 境を整えるために、さまざまな取組を実施してい ることが分かります(図 2) 。
52.3% 43.7% 35.0% 34.8% 10 20 30 40 50 60
0
出典: 「平成29年度 男女共同参画に関する事業所調査」 から。調査対象は、平成26年経済センサス ・基 礎調査に基づく横浜市内所在の事業所。有効回収票数 564。平成29年11月14日~11月30日実施
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- ● 企業に求める女性活躍推進の取組について
【図3】女性が働き続けるために必要だと思うこと
育児 ・ 介護と仕事を両立するための勤務制度
(短時間勤務制度、 フレックスタイム制度、 残業の免除、 育児 ・ 介護休業制度など)
平成29年度 「女性の就業ニーズ調査」 では、 働いている女性が働き 続けるために、 最も必要だと思うことは 「育児・介護と仕事を両立するた めの勤務制度」 です (図3) 。 そして、 現在、 働いていない女性が再び働く ために、 企業に求めることの上位も 「仕事と家事・育児・介護との両立に ついて理解がある」 で、 次に 「勤務時間や働き方が柔軟である」 となって います (図4) 。 女性のライフイベントに寄り添い、 柔軟な対応ができる 職場環境の整備が、企業に求められています。 また、 平成30年度 「男女共同参画に関する市民意識調査」 では、 職場 の女性活躍への取組について約3割が 「進んでいない・ あまり進んでい ない」 と感じています。 その理由は 「職場が男性中心の組織風土である」 が圧倒的に多く、 組織風土の改善が重要であるこ とが分かり ます (図5) 。
56.4% 47.0% 47.0%
夫 ・ パートナーや家族による 家事 ・ 育児 ・ 介護などの分担 家事 ・ 育児 ・ 介護などと仕事の 両立についての上司や職場の理解
0 10 20 30 40 50 60
【図4】再び働くために企業に求めること 【図5】職場で女性活躍の取組が進まない理由
職場が男性中心の組織風土である ワーク ・ ライフ ・ バランスに取り組む 職場づくりが進んでいない 女性を登用するための キャリア形成支援が不十分である 男性の家事 ・ 育児参加が進まない 職場での女性活躍を望んでいない 女性が多い 仕事と家事 ・ 育児 ・ 介護との 両立について理解がある
56.5% 51.4% 36.7% 36.7% 25.4% 0 10 20 30 40 50 60
43.2% 14.2% 14% 6.4% 5.6% 0 10 20 30 40 50 60
勤務時間や働き方が柔軟である
(短時間勤務、 テレワークなど)
土日祝日出勤がない 職場の人間関係が良い 残業が少ない、 または残業がない
出典: 「平成30年度 男女共同参画に関する市民意識調査」 から。調査対象は、横 浜市内在住の満18歳以上の男女8,000人 (うち外国籍市民200人) 。有効回収票数 2,439。平成30年5月7 日~5月31日実施
【図3】 【図4】出典: 「平成29年度 女性の就業ニーズ調査」 から。調査対象は、横 浜市内在住の満20歳以上49歳以下の女性3,000人。 有効回収票数817。平成29年 12月13日~平成30年1月12日実施
● 女性活躍推進のメリット
平成29年度 「男女共同参画に関する事業所調査」 では、企業が考 える女性の雇用 ・登用を進めるメリットについて、 「労働力の確保」 に 次いで、 「多様性を持つことで、 多方面からのニーズに応えられる」 「組 織が活性化する」が上位となっています(図 6) 。女性活躍への取組 は、人材確保だけではない効果を生み出すと言えます。
女性活躍に伴う効果
❶ 人材確保
❷ 社員定着率の向上
【図6】 女性の雇用・登用を進めるメリット
労働力が確保できる 多様な視点を企業が持つことで 多方面からのニーズに応えられる 職場風土が改善され、 組織が活性化される
45.0% 36.9% 34.9% 10 20 30 40 50
❸ 販路拡大
❹ 新商品や 新サービスの開発
❺ 女性社員の モチベーション向上
❻ 男性社員の意識改革
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出典: 「平成29年度 男女共同参画に関する事業所調査」 から。 調査対象は、 平成 26年経済センサス ・基礎調査に基づく横浜市内所在の事業所。有効回収票数 564。 平成29年11月14日~11月30日実施
❼ 企業イメージの向上
❽ 仕事の効率化
なり、働きやすさも人それぞれ。本誌で紹介する企業の取組事例や気づき、そこで働く従業員
働き方は時代とともに変わります。近年では、働き方が多様化し、職場環境は企業ごとに異
の声を通し、誰もが働きやすく ・働き続けられる職場づくりの 「きっかけ」 になればと思います。
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- Contents /目次
001 ……………… はじめに
横浜市における女性活躍の現状
005 ……………… Interview(経営者編)
007 ………… アライグリーン株式会社 009 ………… MRテクノス株式会社 011 ………… 向洋電機土木株式会社 013 ………… 株式会社春峰園 015 ………… 北海工業株式会社 017 ………… 株式会社協進印刷 019 ………… 昭和精工株式会社 021 ………… ニッパ株式会社 023 ………… 日之出産業株式会社 025 ………… フォルム株式会社 027 ………… 株式会社吉岡精工 029 ………… 明日の株式会社 031 ………… 株式会社アローズ・システムズ 033 ………… 株式会社イーツー・インフォ 035 ………… 株式会社セントラルシステムズ 037 ………… サンタクシー株式会社 039 ………… グランコーヨー株式会社 041 ………… 株式会社ダッドウェイ 043 ………… 株式会社 WAKUWAKU 045 ………… 株式会社萬珍樓 047 ………… 株式会社 MIC(ミック)
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- 049 …………… Interview(女性従業員編)
051 ……… 株式会社キクシマ 053 ……… 岩井の胡麻油株式会社 055 ……… 株式会社荏原精密 057 ……… 山陽印刷株式会社 059 ……… ゾーホージャパン株式会社 061 ……… ボッシュエンジニアリング株式会社 063 ……… 株式会社大山会計社 065 ……… 医療法人社団ゆうあい会 067 ……… 株式会社旅コレクション 069 ……… 日総ブレイン株式会社
認定マークについて
「よこはまグッドバランス賞」の 認定を取得しています
「横浜健康経営」の認証を取得しています (取組度合いに応じてマークが異なります)
「横浜型地域貢献企業」の認定を取得しています (取組度合いに応じてマークが異なります)
※インタ ビューページでは、各企業が取得している認定マークを表示しています ※認定内容の詳細は、裏表紙をご覧ください
※インタビューの内容は、取材当時 (2017年1月~2019年9月) の情報です ※企業データ・認定マークは、2020年2月現在の情報です
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- Inter view
経営者イ ンタ ビ ュ ー
女性活躍推進を実践する
建設 p.7-8
建設 p.9-10
建設 p.11-12
アライグリーン株式会社
MR テクノス株式会社
向洋電機土木株式会社
建設 p.13-14
建設 p.15-16
製造 p.17-18
株式会社春峰園
北海工業株式会社
株式会社協進印刷
製造 p.19-20
製造 p.21-22
製造 p.23-24
昭和精工株式会社
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ニッパ株式会社
日之出産業株式会社
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- 製造 p.25-26
製造 p.27-28
IT
p.29-30
フォルム株式会社
株式会社吉岡精工
明日の株式会社
IT
p.31-32
IT
p.33-34
IT
p.35-36
株式会社アローズ・ システムズ
株式会社イーツー・インフォ
株式会社セン トラルシステムズ
運輸 p.37-38
卸売 p.39-40
小売 p.41-42
サンタクシー株式会社
グランコーヨー株式会社
株式会社ダッドウェイ
不動産 p.43-44
飲食 p.45-46
サービス p.47-48
株式会社 WAKU WAKU
株式会社萬珍樓
株式会社 MIC(ミック)
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- 建設
ア ラ イ グリ ーン 株式会社
専務取締役 荒井隆佑さん
1963 年の創業以来、個人邸の作庭 ・ 公共造園 ・ 緑化 ・ 土木の工事や公園施工管理を手掛けてきたアラ イ グリーン株式会社様。 今は、主に横浜市内の公園工事や植栽管理業務および公園指定管理業務を請け負っ ています。社員は全部で 16 名、う ち7 名が女性社員です。今回は、専務の荒井隆佑さんに、造園業界で、女性が活躍する場を創り出す取り組みについてお話を伺 いま した。
女性採用に力を入れた きっかけは何ですか。
従前は、 「男性は外で働き、女性は家を守る」 という考えの もと、 女性社員を事務職員として採用していました。しかし、 ここ数年何度新規採用募集をしても、まず人が集まりません でした。その中で気がついたのは、造園現場で働く事を厭わ ない高学歴で多才な能力を持っている意欲的な女性が多い という事。そこで積極的な雇用に踏み込みました。近頃は、 造園の世界も工事の仕上がりだけでなく、現場における安全 性の確保や現場周辺、地域への配慮、現場の後片付けや清 掃等を含めた総合的な仕事の進め方が求められるようにな り、女性ならではの気遣いやおもいやりの心を生かす場面が 増えてきたように感じます。今当社では、公園指定管理業務 などを手掛け、女性が能力を発揮する場を積極的に拡大し ています。特に公園で実施するイベントの企画や運営、広報 といった業務については、若手女性社員に任せ、地域の方々 と交流を深め、今や公園管理の顔になろうとしています。
女性を採用する上で どんなこ とに取り組みま したか。
我々造園業界は、残業や休憩に対する意識が低かったこ ともあり、まず当社では手始めに定時の退社を徹底し、改善 した就業規則を社員全体に理解させ活用させる事に取り組 みました。どんな立派なルールでも、会社と社員の理解と納 得がなければ真の役割を達成する事ができないからです。そ のために、社内に話しやすい雰囲気をつくることに力を入れ ています。社員本人はもちろん、子どもや両親の急な病気や ケガで、急きょ休まざるを得ない時、会社に言い出せる雰囲 気がなければ、制度を整えても意味がないからです。会社と すべての社員とその家族が、豊かで幸せに暮らせるようにみ んなで助け合える職場環境を築くことを目的に定めた規則で すので、日々の社内コミュニケーションと、情報共有を何よ りも大事にしています。また、女性社員と話し合い、女性専 用更衣室の設置や女子トイレの改修。ユニホームや社用車 のデザインの変更。ノークラトラックの導入など女性にやさ しい職場づくりにも積極的に取り組みました。
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- ⃝所在地:横浜市港南区日野南 4-3-5 ⃝従業員数:14 人 ⃝業種: 造園施工管理/緑地維持管理/造園緑化工事 他 ⃝女性支援制度:出産休暇制度/育児短時間勤務制度/育児休業制度/看護休暇制度
Real Voice
(2016 年入社)
金井映美さん
以前は、横浜市内のアルパカ牧場で、 動物の飼育を担当していました。その牧 場にお孫さんを連れて時々遊びに来てく ださったのが荒井社長でした。牧場の閉 園が決まり、社長から声をかけてもらっ たのが入社のきっかけです。もともと動 植物とふれあうことが好きだったことも あり、 「ご縁があったのだな」と思い、お 世話になることにしました。入社後は、 現場の仕事から事務まで、一通りの業務 を教わりました。現在は、市内の公園の 指定管理を担当しています。貸し農園の ある公園では「栽培指導講習会」を実施 したり、年末には「門松づくり」のワー クショップを開催するなど、利用者にとっ て親しみやすい公園づくりに力を注いで います。この会社に転職して一年半が経 ちましたが、女性だから大変だと感じた ことは一度もありません。社員は皆さん 気さくな方ばかりで、何でも相談できる 働きやすい職場です。専務は、女性社員 を増やし、女性も活躍できる新しいスタ イルの造園土木の会社をめざす方向のよ うです。興味のある方はぜひ一度遊びに 来てください。
〝 造園 〟をめざして。
新しいスタイルの
女性が活躍する
中小企業が女性社員を増やす メ リ ッ トは何だと思いますか ?
社員の半数近くが女性になったことで、確かに会社全体が 明るくなりました。事務所内はもちろん、現場においても社 員同士のコミュニケーションが増え、社員の言動や行動の一 つひとつが、明らかに周囲の人間に対する気配りやマナーを 意識したものへと変わりました。こうした変化は、結果的に お客さまへの好印象につながります。これだけでもその効果 は大きいと言えますが、さらにうれしいことに、女性社員の 加入は既存の社員たちの意識の変化を促しました。 そもそも、 女性の採用強化は当社の業務の拡大に向けた打ち手のひと つですが、 私たち経営陣の女性社員に対する期待の大きさと、 それに応える女性パワーが、既存スタッフの刺激になった様 です。こうした社内の活性化こそが、女性社員によってもた らされた最大のメリットかも知れません。
「女性の活躍支援」について 行政に期待するこ とはありますか。
造園業界は、以前よりも女性が活躍できる仕事の場が増 えてきた事を、もっと広報していただけたらうれしいですね。 もちろん、自助努力は必要ですが、造園土木業界のメッセー ジだけでは、世の中に出来上がった「職人の世界」 「男社会」 というイメージを払拭することは難しいと思います。誤解さ れているうちは、就職先の選択肢に数えてもらえませんし、 女性には見向きもされません。じつは数年前から、当社では インターンシップを実施しています。これまでも県立農業高 校や大学の学生を招いて、日野中央公園での現場実習や社 内での研修を実施しました。インターンシップに来てもらえ れば、やりがいのある仕事だと伝える事ができます。もちろ んインターンシップの申込資格は、何も学生に限定している わけではありません。転職の際の、業界研究や企業研究にも ぜひ活用していただきたい。そうした機会創出を、横浜市と 一緒に出来たら最高です。たとえば、ズーラシアなどの動物 園で数多く女性社員が働いている姿を紹介していただき、出 来ればインターンシップで受け入れる等、難しい問題がある かと思いますが、ご検討いただけると幸いです。
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- 建設
代表取締役 笹田英介さん
MRテク ノ ス株式会社
創業は 1997 年。 「顧客第一主義」 を経営理念の一つに掲げ、 橋梁の専門会社と し て歩んできたMRテク ノス株式会社様。 「街 と街、人と人をつな ぐ橋を守る」という想いを大切に、横浜を中心に橋梁の新設から補修、耐震補強な どの様々 なニーズに幅 広 く 価値を提供しています。また、橋梁で培っ てきた技術を活かし、コンク リー ト構造物のメンテナンス業務や補修・補強工事 施工な どでも活躍しています。社員は 36 名。そのう ち 5 名が女性社員です。今回は、代表取締役である笹田英介さんに、女 性の働き方やサポー ト体制、今後の採用な どについてお話しいただきま した。
まずは、女性社員の採用を 始めたきっかけを教えて く ださい。
私を含めて 3 名の社員で事業をスタートしました。そのう ち1名は事務作業を担当する女性社員でした。その女性は現 在も、総務部長として活躍しています。現在は、総務部長に 加え、総務課長と 3 名、合計 5 名の女性社員を採用してい ます。そのうちの 1 名にはダンススクールを運営している社 員もいます(Real Voice にご登場する総務部経理課の照屋 織里奈さん) 。 彼女は高校時代からアルバイトで働いてもらっ ていました。ダンスを極めたいという想いや、ママでもある ことも踏まえ、可能な限り社員のやりたいことを自由にでき るようにサポートを行うようにしているのです。さらに、当 社の女性社員は資格取得に対しても積極的。建設業経理士 や土木施工管理技士を独学で取得しているので本当に素晴 らしく思っています。仕事も安心して任せることができます ね。ちなみに、当社で顧問契約している税理士や社会保険 労務士、 行政書士は全て女性。総務部との連携がとても良く、 女性社員のモチベーションの向上にもつながっています。
女性社員を採用するこ と で、 会社にどのよ うな効果がありますか ?
まず、女性社員が職場にいることで、社内の雰囲気が柔ら かく、 華やかになります。建設業界は未だ男性が中心。職場 は殺伐とした雰囲気の中、黙々と仕事に取り組んでいるとい うイメージがありますよね。それが、当社では女性社員の貢 献によって、明るい雰囲気で快適な職場環境づくりを進めら れていると思っています。同時に、 もう一つのメリットは、資 料作成などにおける女性特有の丁寧さや心配りによる作業精 度の向上です。たとえば、入札案件の契約書類。私たち現場 で働く男性では雑になってしまい、書類に抜け漏れなどの不 備を指摘されることもありました。 それが女性社員では、契 約書類一つひとつをまとめる作業がとても丁寧です。当社と して独自のクオリティを確立させるためにも女性社員の活躍 は必要不可欠だと感じてます。さらに女性社員には、社員の 私生活を含めて面倒をみるお母さん的な役割を担ってくれる 方もいます。私が仕事中心になってしまい、社員に対する気 配りができない状況でも、そういうサポートをしてくれるので 社員は仕事に集中して取り組めているのです。時には、社員 のお子さんが会社に遊びにくることもありますが、社員の息 抜きにもつながり、私を含め、心を和ませてもらっています。
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- ⃝所在地:横浜市旭区南本宿町 133-3 ⃝従業員数:37 人 ⃝業種:建設業 ⃝女性支援制度:出産休暇制度/育児短時間勤務制度/育児休業制度/看護休暇制度
Real Voice
照屋織里奈さん
(2003 年入社)
母が当社で働いていたので、高校生の 時にアルバイトで入れていただいたこと がきっかけです。その後、20 歳の時に社 長の勧めで正社員に。当時から変わらず 経理を担当しており、現在は経理課長と して働いています。経理の仕事はパズル ゲームのような感覚。数字を合わせてい く面白さがあります。また、私は幼少期 から芸事に携わっており、現在ではこの 会社の仕事の他にダンススクールの運営 も行っているのですが、会社には様々な 面でサポートしていただいています。だ からこそ、会社にももっと貢献したいと 思い、 「建設業経理士」や「土木施工管 理技士」の資格を取得しました。これか らも現場で働く工事部をよりバックアッ プできればと考えています。また、現在 は子どもを保育園に預けながら仕事をし ていますが、退勤の 1 時間前から社内で 子どもを遊ばせてもらっています。会社 や同僚の配慮にはとても感謝しています し、社員一人ひとりを尊重してくれる点 は本当に魅力です。今後は、建設業経理 士の 1 級取得にも挑戦したい。仕事や育 児などで大変かもしれませんが、負けず 嫌いの私としては頑張るのみです。
現在、女性社員に対するサポー ト と して、 どのよ うな制度を?
出産した女性社員だけでなく、男性社員に対しても、期間 を設けて育児休暇を 1 ヶ月間取得してもらっています。男性 の場合は、仕事がら現場監督を 1 人で担当することが多い ため、休暇を取得する際には社員が連携してフォローするよ うに心がけています。今までに育児休暇を取得した男性社員 は多く、ほぼ強制的に「休め」と言っています(笑) 。子育 ての時間を大切にしてほしいので、休みやすい雰囲気づくり も意識しています。また、社員からの「子供を会社に連れて いきたい」 「保育園の送りの時間に合わせて出社時間を調整 してほしい」 「子どもを病院に連れて行きたい」といった声 にはすぐ耳を傾け、サポートするようにしています。さらに 毎年、社員旅行や社員の誕生会を開催。当社では採用=家 族の仲間入りだと考えているため、配偶者やお子さんがいる 社員を家族単位で招待しています。それと仕事面において も、社員が仕事でうまくいかなければみんなでフォローしま すし、本気で指導します。だって、家族ですから。社員みん なが朝起きて、出社するのが楽しみと思えるように。仕事を 通して人として学び、豊かな人生を築けるように。会社がそ のきっかけを提供することができればと思っています。
一緒に考えていきたい。
想いに応える働き方を
社員一人ひとりの
採用=家族の仲間入り。
これからの「女性の活躍推進」について お聞かせく ださい。
まず、制度的なことでは、女性だけでなく、シルバー人材 や若い人材を採用することに対して、もっと評価する制度が あってもいいのではと思います。もちろん、 「かながわ子育 て応援団」や「よこはまグッドバランス賞」などの女性の活 躍推進への取り組みは、企業の環境改善やモチベーションに もつながっていると思うので、そちらにも更に力を入れてほ しいです。ただ、業界としては若者の人材不足解消も重要な テーマ。若者を入れて育てていかなければ業界の未来はな いですからね。また、最近は建設業界のイメージを変えたい という思いから、作業着のリニューアルを実施しました。社 員からは「かっこいい」と好評です(笑) 。今後は当社で「土 木女子」の育成にも取り組んでみたいとも考えています。そ のためにも女性が活躍する場を限定するのではなく、能力に 応じた働き方を提供したいですね。当然、職場環境の改善 など、課題もまだまだ山積みですが、社員が求めていること や状況に柔軟に対応し、個別に支援できることが私たち中小 企業の強み。こうした強みを生かして、女性にとっても働き やすい業界にしたいですね。
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- 建設
代表取締役社長 倉澤俊郎さん
向洋電機土木 株式会社
桜木町駅前広場周辺の設備をはじめ、大型商業施設、マンショ ン、戸建住宅、スポーツ施設、病院まで、屋内外のあらゆ る電気設備の設計・施工を得意とする向洋電機土木株式会社様。女性がまだまだ少ない業界において、社員 27 名中 6 名の 女性社員が活躍する職場は活気にあふれています。今回は代表取締役と し て会社の先頭に立っ て社員と走り続ける倉澤俊郎さ んに、経営に対する考え方や女性を採用する魅力についてお話を伺いま した。
女性採用に力を入れるきっかけは 何だったのですか ?
きっかけは二つあって、一つは女性のパワーを会社のパ ワーとして活用したいと思ったこと。何十年か前にも女性の 採用に取り組んだことがありましたが、その時はまだ建設業 界では受け入れられづらい状況でした。それが、時代の変 化とともに風向きが少しずつ変わりはじめ、女性が活躍でき る土壌が徐々に整ってきたので、当社でも女性のパワー、明 るさ、華やかさを発揮してほしいと改めて思うように。今で は日々、彼女たちのパワーに圧倒されていますね。そして、 もう一つは、現在の当社の広報や人事、総務の業務を広く支 えてくれているある優秀な男性社員の採用がきっかけです。 「父親の介護をしながら働きたい」と 10 年ほど前に当社の門 を叩いてくれた彼と話をするうちに、 「様々な理由から、や りたい仕事を制限しなくてはならない社員に対して、会社が もっと支援できることがあるのでは…」とより真剣に考える ようになったのです。そこで、その男性社員とも協力しなが ら、会社全体のワークライフバランス推進にいっそう力を入 れるようになりました。
ワークラ イ フバランスの推進にあたっ て 心掛けているこ とはありますか ?
当社では取り組みの成果を測るために「顧客満足」 「社員 満足」 「個人満足」 などの効果指標に加え、 「家族満足」 といっ た独自の指標も設けています。私自身は若い頃から休日も関 係なく働き、妻にも相当に迷惑を掛けてきましたが、今は時 代も違う。家族の理解や家族の幸せのために、会社もこれま で以上にサポートする必要があると思うのです。当社では、 たとえば朝夕の子供の送り迎えや幼稚園のイベントに参加す る時間を確保できるよう、フレックスタイム制を導入。また、 単に就業規則として用意するのではなく、 「みんなで助け合 おう」という気持ちの部分を大切にし、より柔軟な対応もで きるようにしています。この辺りは中小企業ならではの良さ ではないでしょうか。他にも、有給休暇取得や定時退社の 推進や育児短時間勤務など様々な制度を準備していますが、 大切なのは社員に活用してもらうこと。有給休暇は取得状況 を半期に一度全社員に公表したり、取得日数の少ない社員と は面談して状況を確認するようにしています。
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- ⃝所在地:横浜市南区井土ヶ谷下町 16 - 6 ⃝従業員数:38 人(女性 14 人) ⃝業種: 電気設備設計・施工 ⃝女性支援制度:出産休暇制度/配偶者出産制度/育児休業/介護休業/在宅勤務など
Real Voice
(2015 年入社)
Y.A さん
結婚を機に金融機関を退職。育児が落 ち着いてから派遣社員として大手企業を 転々としていましたが、そろそろ正社員 で腰を据えて働きたいと考え、出会った のが当社。経営に対する考え方やワーク ライフバランスの取り組みにとても魅力 を感じました。また、入社後に強く感じ たのは、社長も社員のみんなも私を一人 の同じ仲間として見てくれる点です。現 在は安全書類や契約書類の作成、車の リース管理など、幅広い仕事を任されて いますが、派遣時代は手が空くと「休ん でてください」と言われていたものが、 ここでは自分のできることを探し、どんど んやっていくことができます。やりがいに あふれています。入社当初は家庭との両 立に不安も感じていましたが、今では子 供から「仕事、頑張ってるね」と驚かれ るほどです。本当に良い会社に出会えた と思います。
向上していく。
実際に御社ではどのよ うな女性が、 どのよ うに活躍しているのですか ?
経理や総務といった事務系の社員が 4 名、積算係という 技術系の社員が 2 名働いています。事務系の仕事で言えば、 やはりコミュニケーション能力や気遣いは女性にはかないま せんね。また、積算係は図面から電線の長さやスイッチの個 数などを拾い上げ、具体的な費用の見積りを作成する仕事。 非常に細かく、根気のいる仕事なのですが、じつは前々から 女性に向いている仕事なのではと思っていました。そして実 際、現在の彼女たちの仕事の精度の高さ、成長のスピードに は目を見張るものがあります。二人ともまったくの未経験か らスタートしたとは思えないレベルです。会社の利益創出に も貢献しています。彼女たち自身は「まだまだ全然できない んですよ」と言いますが、その仕事ぶりには確かな自信も感 じられるようになってきました。今後は図面を描くことがで きる女性や、現場で施工管理を任せられる女性も育てていく ことができたらと考えています。
会社全体の能力も
増えることで、
身の周りに女性社員が
改めて、中小企業が女性社員を採用する 魅力はなんですか ?
女性に対する男性社員の意識が変わることも大きな効果 だと思います。中小企業は、大企業に比べると、まだまだ女 性が少なく、その職責も低い傾向にあります。そうした中、 自分の身の回りで活躍する女性が増えていくと、自然と女性 全体を見る目も変わっていきます。結果、妻に対する態度も 変わってくるかもしれません。さらに、女性の細やかさや丁 寧さに触れることで、自分の仕事のやり方を見直すきっかけ になったり、男性社員も気遣いを覚えていくようになる。す ると、最終的にお客様の満足度の向上にもつながります。そ ういう意味では、女性採用には会社全体の能力を高める効 果があると言えるのではないでしょうか。しかし、まだまだ 問題も山積みです。たとえば、建設業界は一社で仕事が完 結することはまずありません。つまり、自分たちの会社だけ ワークライフバランスの意識が変わっても仕方ないのです。 協力会社なども巻き込みながら、今後もあらゆる社員の「働 きやすさ」と「働きがい」を真剣に考え、行動し続ける会社 でありたいと思います。
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- 建設
株式会社
専務取締役 相沢升平さん
春峰園
横浜市を中心に造園工事、植栽工事、樹木管理業務、各種庭園工事のほかに、道路工事や下水工事な ど幅広 く事業を展 開し ている春峰園様。1976 年の創業から、地元に根付いた活動を行っ ています。現在、社員は 10 名。そのう ち女性社員は 2 名。今回は、自身も子どもが生まれたこ と で価値観が変わったと い う専務の相沢升平さんに、女性社員の働きやすい環境づく り について語っ ていただきま した。
最初に、建設業界の女性採用の 状況についてお聞かせく ださい。
じつは建設業界の中でも造園業は昔から女性が働いてい た業界です。とはいっても、近所の主婦や農家の主婦の方々 に除草作業をお願いしていた程度ですが。そういう意味では 男性と同じように技術者として働く女性の数は圧倒的に少な いと思います。日本全体では女性雇用への意識が高まってい ると思いますが、建設業界というフィルターをかけると、女 性が働くというのはまだまだハードルが高いんでしょうね。 腕力を必要とする仕事も多いですし、更衣室やトイレなどの 環境整備の問題もある。また、 この業界で働く男性の中には、 建設業界に飛び込んでくる女性に対して勘違いしている人も 少なくありません。きっと、男っぽい性格で、何を言っても 大丈夫だろうと思い込んでいる。全然、大丈夫ではありませ んから。女性ですから。そこを理解し、現場で男性が女性を サポートする体制を作らないと、この業界の女性雇用は進ま ないと思います。言葉遣い、服装などを含め、女性に対して 気配りを行うこと。そうすれば、一緒に働く女性社員だけで なく、お客様に対しても良い印象を与えることができる。こ うして少しずつ業界全体の印象を変えていかなければと思い ます。
女性社員をサポー トする上で 気をつけているこ とはありますか ?
私たちの会社でいえば、新卒の女子学生が入社してきたと きに会社のサポートについて切実に考えるようになりました。 就職は人生の中でも大きな選択の一つ。その大切な場面で 私たちを選んでくれたわけですから、いい加減なことはでき ないですよね。まず、どんな意見であれ、相談であれ、若い 人たちの話に耳を傾けるようにしています。この先ずっと会 社で働くのは、若い世代。だからこそ、彼女たちの意見はで きるだけ採り入れていきたい。仕事でも私たちの世代では思 いつかないようなアイデアを提案してくれることもあります し、何より若い女性は感性が豊かです。細かいところもよく 見ていますよね。造園業の仕事ではそうした感性、丁寧さ、 気配りが役立つ場面も少なくないのです。実際、自治体から 受注する公園の指定管理という仕事では、応募時に公園管 理のイメージがわくような写真をたくさん用いた提案書の提 出が欠かせないのですが、こうした仕事を女性に任せるとそ の能力をフルに発揮します。過去に私が作成していた提案書 では一度も受注できなかった案件も、彼女に任せた途端、受 注できたり(笑) 。やはり適材適所ですよね。彼女は若いな がら、完全に私たちの会社の貴重な戦力になっています。
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- ⃝所在地:横浜市金沢区釜利谷東 8-3-20 ⃝従業員数:10 人 ⃝業種: 建設・造園 ⃝女性支援制度:時短勤務制度/出産休暇制度/育児休業
Real Voice
(2015 年入社)
加藤真歩さん
就職活動では造園の仕事に携われる会 社を探していました。この会社に興味を 持ったきっかけはホームページがポップ だったから。話しやすそうな雰囲気がデ ザインからも感じられ、実際に話しやす い専務でした(笑) 。面接のときは「若い 人にさまざまなことを任せたい」と伝え られたことが印象に残っています。そし て実際、学生の時から興味のあった公園 の指定管理の公募案件にも 1 年目から挑 戦させてもらえたり、現場監督を任せて もらえたり。想像していた以上にやりた いことをやらせてもらえていると思いま す。現在は公園の指定管理の仕事で月 1 回のイベントを企画・運営・広報する仕 事がとても楽しい。管理する公園の数を もっと増やしていきたいですね。造園業 は思っているほど、職人、男性の世界と いうわけでもありません。 もし、 公園や緑、 土木などに興味のある女性がいれば、ど んどん挑戦してほしいなと思います。
変えていく。
女性を雇用していく上で、 どんな取り組みを行っていますか ?
ある程度の制度は設けてはいますが、それ以上に相談しや すい雰囲気をつくっておくことが重要です。たとえば、子ど もが熱を出して急きょ休みたくても、言い出せる雰囲気がな ければ、いくら制度を整えても意味がありません。大切なの は、相談してもらうこと。人数が少ない会社だからこそ、職 場の雰囲気が働きやすさに直結すると思います。あと、これ は自分自身が子供を持ったことで大きく意識が変わったので すが、やはり社員の家族ともどもお付き合いできるような職 場にしていきたい。子育ての悩みを会社の中で気軽に相談 できたり、子供が親の職場に「ただいま」と元気よく帰って くることができたり。社員の家族にとっても居心地の良い会 社にすることができたら理想ですね。その一貫というわけで はありませんが、週末の金曜日の夕方はよく会社の隣でバー ベキューパーティーを開いています。仕事が終わったら、子 供たちも一緒に集まりたい人が集まる。もちろん強制ではあ りませんが、普段の仕事場とは異なる和気あいあいとした雰 囲気だからこそ、話せることもあると思うのです。こうした コミュニケーションの機会を数多く用意することが、仕事に おいても、人間関係においても良い効果をもたらすと感じて います。
業界の未来を
会社の仕事を、働き方を、
女性社員の存在が
最後に、今後の「女性の活躍推進」に ついて思う こ とを教えて く ださい。
「女性の活躍推進」という言葉が広がり、いろいろな業界 で「女性を積極的に採用しよう」という動きがありますよね。 国や自治体といった行政が旗を振ってくれることで、より雇 いやすい、より働きやすいムードができることは有り難いで すね。ただ、雇う側である経営者が女性の能力や女性と一 緒に働くことの魅力を正しく理解していないと、お互いに不 幸になる。まずは、招き入れる側の私たち自身が女性雇用に 対する意識を変える必要があると思います。ちなみに、建設 業界でいえば、もし女性社員だけの建設会社とかできたら面 白いと思いませんか。男性社員の意識を変えるといったレベ ルの話をする必要もなく、女性たち自身で建設業界における 女性の新しい活躍の仕方をつくっていくことができる。男性 も油断していられません。そうした楽しい想像、前向きな変 革を促すことができるのも、女性の活躍推進を進める魅力だ と思います。
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- 建設
代表取締役 河野裕規さん
北海工業 株式会社
平成 7 年から一般土木、舗装、上水道、造園工事、電力設備工事など幅広 く事業を展開する北海工業様。設立当初は、 電力設備や共同溝工事、管路工事な どを中心に手掛け、現在は神奈川県や横浜市が発注する公共工事に も積極的に取り組ん でいる会社です。社員数は 20 名。そのう ち 4 名が女性社員です。今回は、 代表を務める河野裕規さんに男性中心と い うイ メー ジが強い建設業界における、女性の働き方や活躍しやすい環境づく り についてお話いただきま した。
建設業界における女性の働き方について、 どのよ うに考えていますか ?
建設業界の中でも女性採用が進んでいるのは、建築関係 です。あとは大手ゼネコン。私たちのような中小企業は、簡 単にはいかないのが本音です。大手であれば建設現場に事 務所を構えて、そこに女性の働く場所を確保することができ ますが、現場が日々移動する土木工事は難しい。ただ、そこ で諦めるのではなく、女性を配置できる現場、できない現場 を明確にしていけば、採用もしやすくなります。また、ずっ と現場で働けない場合は、現場の検査書類作成や原価管理、 写真整理など、細やかな気配りができる女性のほうが向いて いる仕事もあるので、一般採用後に興味がある方には「やっ てみませんか?」とお話することもあります。従来の現場主 体の仕事ありきで考えていたら、女性が建設業界に入り込め ないままですからね。特に中小企業は、その入口を広げるこ とが求められるため、私たちの会社でもハローワークを通し て全国に募集を出しています。また、横浜市は官民共に仕事 量も多いですし、文化的にも自然環境的にも魅力の多い街で す。そこに身を置くことで、個人としても成長していける環 境だと思います。
女性社員を採用する上で 気をつけているこ とはありますか ?
女性社員に限ったことではありませんが、 「会社にとって、 あ なたが必要な存在なんだ」と態度や行動で示すこと。弊社は 女性が 4 名。 数字としては少ないかもしれませんが、 社員が多 いか少ないかは問題ではないと思います。 問題は本質を見失 わないこと。 子育て支援制度の一環として保育園からの急な呼 び出しがあれば、素早く退社させて、 場合によっては休みを取 得するように支援しています。 今の保育園は熱が少し出るとす ぐに呼び出しがあるのですが、 そのとき女性が何を望んでいる か。家に帰って子供と一緒にいたいというのであれば、 「完全 に治るまで子供と一緒にいてあげてください」 とお伝えしてい ます。 男性社員もそうですが、 自分の現場スケジュールを見な がら、 休みを自分たちで決めているので1ヶ月休むことも可能 です。今までの連続休日取得はリフレッシュ休暇を利用した 40日という実績があります。 制度を整えても利用してもらわな いと意味がありません。 子供と一緒に出社してキッズルームで 遊ばせながら仕事することもできますし、 乳児の場合はベビー ベッドも設置可能です。 子育てに対する安心感が、 集中力につ ながることも少なくありません。 とにかく、 会社と社員が対等な 立場でいることが大切。 お互いが、 「この人のためなら」 「この会 社のためなら」 と思い合える関係構築に力を入れています。
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- ⃝所在地:横浜市旭区都岡町 44-11 ⃝従業員数:22 人 ⃝業種: 土木工事・舗装工事・上下水道工事 ⃝女性支援制度:出産休暇制度/育児短時間勤務制度/育児休業制度/看護休暇制度
Real Voice
(2008 年入社)
深澤槙さん
美大で油絵を専攻していたこともあり、 大学卒業後も仕事と制作活動を両立させ たいという思いがありました。この会社と の出会いは、家に近く、大学時代にアル バイトとして働いたことがきっかけです。 正社員として採用された後はまず簿記3 級の資格を取得し、その後、建設業経理 士2級を取得。少しでも会社に貢献でき ればという思いと、自信につながればとい う思いから勉強を始めたのですが、この 頃から仕事と向き合う姿勢が変わってき たように思います。仕事の幅が広がり、自 分から主体的に動くことも増えました。広 告デザインの仕事を任されるなど、やりが いも大きくなりました。また、社長の好意 で、私の描いた絵を社内に飾っていただ けているのもうれしいですね。この会社の 魅力は何と言っても社員一人ひとりがイキ イキと働いていること。お互いがお互いの 仕事を認め合って働いているため、活気 にあふれています。私自身、子供を連れ て出社することもありますが、皆さんが温 かい目で迎えてくれるのも心強いですね。 この後、再び産休に入りますが、また必 ず戻ってきます。今度は建設業経理士の 1級も目指したい。自分を大切にしてくれ る会社に、もっと恩返ししたいですね。
女性が活躍できる職場環境を整えたことで 経営への効果はありますか ?
女性の視点やセンスが、会社全体に良い効果をもたらし ています。女性に限らず、社員が話しやすい場を設けていま すが、経営面でも女性の役割が大きな支えになっていると感 じています。会議ではどんどん意見を出してもらいますし、 たとえその意見が多少的外れだとしても好きに発言してもら う。そういう場づくりを行なっていくと、積極的な発言だけ でなく、リーダーシップを発揮する社員も増えてくるんです。 これは嬉しい誤算でしたね。さらに長い目で見て、こういっ た環境づくりは会社の将来にもつながると思います。また、 社内に子供を遊ばせられる環境を設けたところ、オフィスが 非常に整理整頓され、これまで以上に清潔に保たれていると いう利点も出てきました。会社に子供がいると雰囲気も良い ですしね。名前を呼んだり、手をタッチしたり。銀行や役所 の方が来社されることもあるのですが、この環境にみなさん 共感してくれます。私も子供を 5 人育てましたが、今更なが ら子供のパワーというものを実感していますね。働きやすい 環境整備を進めていることで、様々な面で良い効果があると 感じています。
本当の支援になる。
本質から考えることが
何が最善なのか。
社員にとって
最後に、昨今の「女性の活躍支援」に ついて思う こ とはありますか ?
活躍支援で言えば、やはり環境づくりが重要だと思いま す。建設現場においては、 女性専用トイレや休憩室、 更衣室、 セクシャルハラスメントなどの相談窓口の設置など現場環境 を整えること。さらに幅広い業務で活躍できるよう、教育制 度や資格取得支援などを整えて、スキルアップを図ること。 ただ、女性活躍支援に力を入れすぎて男性蔑視が起きない ように、バランスのとれた職場環境づくりを行うことが一番 大切だと思います。最近では男性も子育てに積極的に参加 するようになりました。専業主夫になる人もいます。子育て に積極的に取り組みながら仕事をしていく男性の支援も進め ていかなればいけません。今は、家庭環境もさまざまです。 会社としてはプライベートには決して口を出さないようにし ていますが、相談があればどんな相談にも乗るという体制を 作り上げています。その中で大切にしていることは、その人 を見ること。立場は違いますが、人間としては対等です。人 を見ずして制度を整えたことに満足していては、女性にも男 性にも失礼です。そこに境界線なんてありませんから。問題 の本質は何か考えることが、活躍支援につながると考えてい ます。
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- 製造
株式会社
代表取締役 江森克治さん
協進印刷
横浜市神奈川区で昭和 34 年から3代続く協進印刷様。現在は印刷だけでな く、企業や団体の広報支援、さ らには地域で 活動する NPO の情報発信支援と いったソーシャル・マーケテ ィ ングに も力を入れている会社です。社員数は 12 名。そのう ち約 半数が女性社員とのこ と。今回はその協進印刷様の代表を務める江森克治さんに、女性の雇用や働き方について、経営観や 人生観も交えながらお話しいただきま した。
いつぐらいから 女性採用に力を入れ始めたのですか ?
もともと採用において「男性だから、女性だから」と区別 したことはありません。第一、私たちのような中小企業は男 女を選り好む余裕なんてありませんから。ただ、 「仕事にお ける男女」について考え直すきっかけになった出来事はあり ました。今から十数年前、私が代表に就いたばかりの頃の話 です。当時の私は、男性社員も女性社員も同じ環境で働き、 同じ基準でフラットに評価することがフェアだと考えていま した。 しかし、 ある時、 すごく優秀だった女性社員が 「もう限 界です」と突然辞めてしまったのです。聞けば、家事や子育 てとの両立が難しい、と。その時に、会社の中だけで考える のではなくて、家庭での負担の増減も考慮して、生活全般を 通しての負担がフラットになるようにしなければ、本当の意 味でのフェアな待遇や評価にはならないと思ったのです。女 性社員のサポートに力を入れ始めたのはその頃からですね。
女性社員をサポー トする上で 気をつけているこ とはありますか ?
まず、女性社員だけに限らず、働く人たちを一括りにする ことに無理があると感じています。なぜなら、仕事を通じて 追求する「幸せ」は社員一人ひとりによって異なるからです。 たとえば、同じ女性でも仕事を一番の生きがいにバリバリ頑 張りたいと思っている人もいれば、仕事はほどほどにプライ ベー トの充実を大切にしている人もいる。 そこで、 私たちの会 社では正社員だけでなく、短期間勤務社員、パートタイム社 員といくつもの働き方を用意しました。 加えて、 独身の時は正 社員で働いて、育児中はパートタイム、子供が手を離れたら 正社員に戻るといった雇用形態の変更が何度もできる制度も 整えています。 ちなみに、 この 「制度を整えている」 というのが、 じつは社員をサポートする上での大きなポイント。かつては 当社のような十数人の会社であれば、困ったことが出てきた 時に都度対応すればいいと考えていたのですが、それは大間 違い。制度として用意し、常に広報することで初めて、社員 は安心して活用することができるのです。何をサポートする かに加えて、どうサポートするかの視点が欠かせません。
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- ⃝所在地:横浜市神奈川区大口仲町 108 ⃝従業員数:9 人 ⃝業種: 印刷 ⃝女性支援制度:短時間勤務制度/雇用条件変更制度/介護支援制度
Real Voice
(2013 年入社)
真島愛子さん
社長の事業や仕事に対する考え方に共 感し、入社しました。現在は主に総務の 仕事を担当していますが、 周囲のメンバー の手が足りない時は編集のお手伝いやお 客様との打合せに同席することも。この 会社で特に気に入っているのは、月1回 の「ありがとうの日」 。日頃お世話になっ ているステークホルダーに自分たちで企 画し、形にしたものをプレゼントするの ですが、この活動を通して「私は、誰の ために、何ができるのだろう」というこ とを日々考えるようになりました。ちなみ に、前回私が担当した時は、近隣の幼稚 園や子育て拠点に「勤労感謝の日に働い ている人に感謝の手紙を贈るオリジナル レターセット」をプレゼント。保護者の 方にも、 地域の方にも喜ばれ、 私自身も 「仕 事でこんなに嬉しい気持ちになれるのか」 と驚きました。今後もここで長く、誰か の力になり続けていきたいです。
「幸せ」は人それぞれ。
女性が活躍できる職場環境を整えたこ と で 経営への効果はありますか ?
それは大いにあります。女性社員だけに限ったことではあ りませんが、社員が働きやすい環境を整えることで、より主 体的に働くようになり、結果、仕事の生産性がすごく上がり ました。だって、人間ですから、嫌々やるより、気分良く働 いた方が調子も出ますよね。加えて、品質も高まる。実際、 当社の場合、女性を採用し、働きやすい環境を充実させて いくことで、これまでより少ない人数で同等以上の仕事が回 せるようになった上に、ミスの数が圧倒的に減りました。特 に、女性はコミュニケーション能力が高く、細やかな気遣い のできる方が多いので、安心して任せられますね。また、当 社では今後、より様々なタイプの社員を採用しようと考えて います。子育て中や介護中の女性、障害を持った方など、何 かしらの負担を抱えている社員を雇うことで、会社にその人 たちを活用する仕組み、ノウハウが溜まっていきます。そう すると、どんな人が来ても活躍できる会社になっていく。こ れは、採用力の弱い中小企業にとって、大きな強みとなるは ずです。そこで現在、横浜市の助成金を活用し、テレワーク の仕組みも導入しようと検討しています。
働いてもらいたい。
あらゆる社員に気分良く
仕事を通して求める
最後に、昨今の行政が行っ ている 「女性の 活躍支援」について思う こ とはありますか ?
本来は一人ひとりの人生観やライフスタイルに合った支援 を行うのが望ましいのでしょうが、行政だけですべてを担う ことはできないと思います。だからこそ、私たちのような民 間の中小企業が経営力の強化策として、もっと力を入れてい くべきだと思うのです。当然、大企業のように給与や福利厚 生を充実させられるわけではありませんが、そもそも仕事を 通して求めている「幸せ」は、先にも述べたように人それぞ れです。決して、全員が高い給与に幸せを感じるわけでは ありません。そこで、私たち中小企業がもっと自社らしく社 員に提供できる「幸せ」は何なのかを真剣に考え、自分たち の会社の社員の能力を最大限に生かすための努力をすること で、今よりたくさんの女性が活躍できるようになるでしょう し、雇用した企業の経営力ももっと強くなると考えています。 予算がない、体力がないと嘆くのではなく、知恵と工夫で解 決策を見つけていく。中小企業の女性の活躍支援こそ、イノ ベーションが求められているのではないでしょうか。
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- 製造
代表取締役 木田成人さん
昭和精工 株式会社
1954 年に創業。以来、精密加工、精密金型の設計製作、自動機、専用機の開発に携わってきた昭和精工株式会社様。 半世紀を超える経営の中で培われたモノづく りの技術力 とノウハウによ っ て、世界を相手にビジネスを展開する様々 な企業からビ ジネスパー トナー と しての厚い信頼を獲得している会社です。現在、社員は 97 名。そのう ち女性は 19 名。今回は、代表取締 役社長を務める木田成人さんに、 女性が少ないと言われる製造業界において、 女性の採用や働き方ついて語っ ていただきま した。
いつ頃から女性採用に 力を入れ始めたのですか ?
本格的に開始したのは約 5 年前。 私が社長になってからです。 かつての製造業界は 3K の職場と言われ、 「きつい、 汚い、 危険」 というイメージがありました。特に中小企業の製造現場はその イメージが強く、以前までは女性の就職先として候補に挙がら ないという状況でした。また、製造現場では 5 年 10 年と時間 をかけて技術を磨いていきます。途中で結婚や出産で職場を離 れるのであれば、男性を中心に採用した方が良いという考えが 企業側にもありました。しかし、私は男性だけが採用の対象で はないと考えています。男性だけの世界だと当たり前になって いることが、女性が入ることで一変する。古くから凝り固まっ た働き方や考え方を新陳代謝できる、と。 そうした中、我が社にも本気でモノづくりに取り組みたいと いう技術職志望の女性が入社してくれました。男性しかいない 製造現場に飛び込むというのは、相当の勇気が必要だったはず です。 彼女の採用は、 会社としてもすごく大きな出来事でした。 1人でも女性が工場で働いていると、 次年度の採用のとき工場 見学で訪れた女性に 「私も働けるかも」 と思ってもらえるんで すね。 女性が働きやすいように制度をどれほど整えたとしても、 実際に働いている女性社員がいなければ、 不安になる。 そういう 意味でも、 彼女の入社は本当に大きな出来事だったと思います。 19
女性を採用するこ と で 製造現場への効果はありま したか ?
以前までは、 仕事を教えるというより「背中を見て覚えろ」 というような職人気質の考えが現場にはありました。ただ、 それでは今は人が育ちません。もっと丁寧に教えるべきでし たが、なかなか改まる機会がなかった。それが、女性が入 社したことで変わっていきましたね。優しくなったというか、 しっかりと後輩へ教育ができるようになったのです。男性中 心だった世界で女性が力を発揮し、戦力となっていくのを目 の当たりにすると女性に対する先入観がなくなり、技術を継 承していこうと考えるようになったのだと思います。 現在は、各部署に 1 名以上、製造現場だと各セクション に分かれていますが、それぞれ最低 1 人はいる状況までに なりました。女性社員同士の交流も盛んです。部署を問わず 全体の女子会を自主的に開催し、率先して職場の雰囲気作 りをしてくれています。
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- ⃝所在地:横浜市金沢区福浦 1-4-2 ⃝従業員数:95 人 ⃝業種: 製造業 ⃝女性支援制度:出産休暇制度/育児短時間勤務制度/育児休業制度/看護休暇制度
Real Voice
(2012 年入社)
伊従恵美さん
前職はビルの警備を担当する仕事に就 いていました。シフト制で夜勤もあり、体 力的にきつくなったのが、 転職を考えはじ めた理由です。 「自宅の近所、デスクワー ク」 という条件で会社を探すなか、 当社の 求人と出会いました。 社長をはじめ、 社員 の方々の雰囲気の良さに惹かれたんだと 思います。 現在は営業事務として、 お見積 書の作成やお客様への連絡、 書類の整理 などを中心に担当。 現場で働く社員の方々 から頼りにされるとうれしいですね。福利 厚生などに関して言えば、 入社する前は 「女性が少ない職場で、 産休や育休を取得 できるだろうか」 という不安もありました。 しかし、面接の時点で私の希望を全て正 直に話していたこともあり、社長に妊娠を 告げた時は 「予定通りだね。 おめでとう」 と 言っていただき、 休暇も取得しやすかった です。復職後も同じ仕事を何人かの営業 事務で対応できる体制を整えていただく など、仕事と育児の両立がしやすい環境 づく りをしていただいています。中小企業 への転職を考えている皆さんにお伝えし たいことは、 「とりあえずやってみる、 言っ てみる」 ことが重要です。 女性社員の要望 に真摯に向き合い、 環境の方を変えようと 考えている会社も少なくないと思います。
変わっていく。
会社は働きやすい場所へと
女性社員が増え、
女性社員がいるから、
女性社員にはどのよ うな活躍を 期待していますか ?
女性社員だけと言わず、誰もが挑戦できる環境を整えて います。これはモチベーションに関わることですから男女区 別なく、平等にチャンスを設けています。もちろん女性には もっと活躍してもらい、さらに人数を増やしていきたいです ね。ゆくゆくは管理職に就く女性社員が当たり前になり、少 なくとも社員数の 3 割が女性になるように。ただ、当社は女 性雇用を始めたばかりのようなもの。課題点と向き合いなが ら、 活躍できる場を作っていくという現状です。 例えば、 残業。 どうしても忙しい時期があるのでやむを得ないのですが、在 宅勤務できる環境を整えることができれば、さらに活躍の場 は広がると考えています。まずはその仕組みを作ること。今、 日本には 100 年企業と呼ばれる長寿の会社が増えています。 会社としてはそこを目指していきたいです。当社には他業界 のように積極的に転職しようと考える人が少なく、長く働き たいという人が集まっています。当社で働きながら、結婚や 出産を経験していく社員はもっと増えていくはず。だからこ そ、活躍を期待しつつも、それ以上に会社として社員が活躍 できる場を作っていくことが重要だと考えています。経営を 安定させることで、今以上に安心して子育てができるような 会社にしていきたいですね。
最後に、 これからの「女性の活躍支援」 に ついてお聞かせく ださい。
これは女性だけの課題ではなく、社会全体の課題だと思い ます。働き方に対する意識が、女性も男性も変わり始めてい る中、どんな職場環境をつくっていくか。そこに向き合わな ければいけません。我々の製造業界で言えば、例えば工場 や倉庫が集まっている工業団地に保育園を作ってみる。そこ で働く女性たちが職場の近くに子どもを預けられたら、さら に働きやすくなると思います。急に保育園から連絡が入るこ とがあると思いますが、近所だからすぐに迎えに行ける。精 神的な負担も少なくなって、仕事に集中できる。そうすると 「工業団地は女性が働きやすい環境が整っている場所です」 と言えます。これは横浜市への要望になってしまいますが、 モデルケースとしてそんな工業団地を作ることができれば、 製造業界も工業団地の価値も変わるはずです。また、工業 団地の側には、住宅地があります。わざわざ家から離れた場 所に子どもを預けて、離れた場所で働くのではなく、近くで 働くという選択肢が生まれます。私たち製造業界の雇用も促 進でき、お互いに WIN-WIN の関係になれると思うんです。 そういったアイデアをもっと発信していくことも、女性の活 躍支援につながるのではないでしょうか。
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- 製造
ニ ッパ株式会社
代表取締役 秋本りつ子さん
昭和 36 年、ダンボール加工業をメイ ン と した新羽紙業株式会社と し て創業。平成 2 年に、現在のニ ッパ株式会社と改称し、 事業部門を多角化。ダンボール包装の企画、デザイ ン、製造、さ らに災害時のダンボール製簡易トイ レやトイ レッ トペーパーな ど幅広 く手がけています。現在、社員 48 名中、女性社員は 9 名。今回はご自身も子育てを経験してきた代表取締役の秋本り つ子さんに、女性の働き方や意識改革についてお話しいただきま した。
いつぐらいから 女性採用に力を入れ始めたのですか ?
そもそも採用に関して、性別で区別したことはありません。 私が結婚を機に、この業界へ足を踏み入れたのは、日本経 済が上り坂だった時代。大手企業でさえ働き手を探している のに、私たちのような中小企業が人材を選ぶなんて余裕はあ りませんでした。とにかく働いてくれるのであれば、男性で も、女性でも、障害者であっても関係ありません。今でこそ、 女性活躍推進や障害者雇用と言われるようになりましたが、 そんな言葉がなかった頃から、当たり前のように採用に力を 入れてきたのです。それが今も活きているだけ。女性活躍推 進と言われるようになったから、取り組んでいるわけではな いんです。企業は人なりと言いますが、人がいなかったら会 社は成り立ちません。また、経営は継続ですから、一時的に 儲かってもダメ。瞬間的に力を発揮するというより、コンス タントに力を発揮し、着実に成長していってくれる人を求め ています。そういう意味では、女性は持続性が高く、仕事に も飽きずに取り組んでくれるため、非常に助かっています。
女性社員をサポー トする上で 気をつけているこ とはありますか ?
もちろん、育児休業法など一般的なものは、昔から取り組 んでいます。それだけではなく、当社では「細切れ労働」や 「つなぎ労働」 といったシステムを採用しています。たとえば、 お昼に幼稚園などのお迎えに行くとき。一時的に会社から抜 けて、また子どもを別の人に預けたら、戻ってきて働く。同 じように、病院に検診へ行くなら、数時間抜けても大丈夫で す。私自身も経験してきたことですが、途中抜けできるシス テムがあれば、仕事を辞めたり、休んだりする必要がありま せん。また、子どもを会社に連れてくることも認めています。 なにか悩みや相談事があれば、 その度に話を聞いて、 どうやっ たら解決できるのか考えるようにしてきました。ただし、単 に要望に応えるだけがサポートではないと思っています。女 性自身に社会と関わりたいという強い意識を持ってもらうこ とも重要です。これは障害者も産休からの復帰者も同じ。な ぜ働きたいのか。そこを考えてもらうこと。いくら制度を充 実させても、本人の仕事への意識が変わらなければ、会社 だけでなく、家族や周りの人からの協力も弱くなってしまい ます。長く仕事を続けてほしいからこそ、女性の意識も変え ていかなければ、本当のサポートにつながらないのではない でしょうか。
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- ⃝所在地:横浜市港北区新羽町 1508 ⃝従業員数:48 人 ⃝業種: 紙器加工販売 ⃝女性支援制度:出産休暇制度/育児短時間勤務制度/育児休業制度/看護休暇制度
Real Voice
(2002 年入社)
衣越康子さん
新しい仕事にチャレンジしてみたいと 思い、この会社に転職しました。現在は、 二人の子供を育てながら総務の仕事に携 わっています。ただ 15 年のキャリアの中 で大きなピンチもありました。二人目の子 供の保育園がなかなか決まらず、このま までは会社を辞めなければいけないと悩 んだ時期があったのです。しかし、そうし た私の不安を察したのか、秋本代表のほ うから声をかけてくださいました。 「幼稚 園という選択肢も考えてみたら?仕事の途 中に抜けて、 お迎えに行けばいいんだから」 と提案してくださったんです。あの時は本 当にうれしかったですね。働き続けたかっ たですし、子育てをしていても社会との接 点は失いたくなかったですからね。 現在は、 まだ子供たちが 10 歳と 4 歳ということも あって時短勤務で働いていますが、もう少 し大きくなったらフルタイムに戻りたいと 思います。この会社にはママさん社員とし ての先輩も多く、 育児の相談もできますし、 子供も参加できる家族ぐるみの交流イベ ントもあります。何より、代表自身が働く 女性ということも心強いですね。仕事をど うすれば続けられるかを考えながら、今後 も会社に貢献していきたいと思います。
活躍しやすい環境づくりになる。
女性社員の意識を変えることで
甘やかすことではない。
サポートとは、
働き方を多様化したこ と で、 現場への効果はありま したか ?
情緒や思いやりが生まれたと思います。社内を子どもが元 気に走り回っていることもあるので、男性社員も自然とにこ やかになるようです。集中して仕事をしているときは知らん 顔していますけど、ふと息抜きしたときに、そういった姿を みると、優しくなれますよね。独身の男性社員も、 「自分が 結婚して、いずれ子どもができたら…」という目で見ている と思います。 事実、 自分の奥さんが子育てしながら、 どこかで 働くようになったら、同じように誰かに迷惑をかけるかもし れない。 ここで不満を言っていたら、 自分がそんな状況になっ たとき、誰も協力してくれなくなります。お互い様ですよね。 障害者雇用も同じです。もし、あなたの家族に障害を持って いる人がいて、働くときに「障害があるから…」と言われた ら嫌でしょう。自分の子どもが障害を持つこともあり得ます からね。また、女性がいることで、新しいビジネスも生まれ ました。 特許を取得した緩衝材は女性たちが考えたものです。 もともとゴミだったものを活用したものですが、男性目線か らはなかなか生まれない優れたアイデアだと思います。
最後に、 これからの「女性の活躍支援」 に ついてお聞かせく ださい。
まず、目標として、営業職の女性を育てたいと考えていま す。この業界は、なかなか育たないんです。不思議なことな のですが、他社でも見かけたことがなく、仮にいたとしても 長続きしません。私はその理由の一つに、女性の珍しさがあ ると思います。とくに、女性の営業職は珍しいため、お客様 の反応も男性社員の対応と違ってくる。そのことに女性社員 も悩み…といった悪循環に陥るケースが少なくありません。 ただ、能力的には優秀な女性もいますし、営業を希望する女 性もいます。なんとか打開策を考えて、仕事として活躍でき る場所を増やしていきたいですね。だって、悔しくないです か。そもそも、女性の活躍推進と言われること自体が、女性 への偏見ではないかと思います。特別に力を入れて取り組む ことではないと思うんです。実際、 これから少子化が進めば、 必然的に労働力が減少していきます。自然と女性が労働力と して活躍しなければいけない時代がくるのです。そのとき、 女性自身の意識や受け入れる企業の意識が変わっていかな いと、この課題は根本的に解決できないと思います。
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- 製造
日之出産業 株式会社
取締役 藤田香さん
昭和 51 年から水処理薬剤の販売を通じて環境問題に取り組み、現在は薬剤の製造や新薬の研究開発、水質分析、微生 物研究まで幅広いサービスを提供し ている日之出産業株式会社様。女性がまだまだ少ない業界において、役員・従業員あわせ 12 名中 4 名の女性が活躍し ています。今回は神奈川県の 「テレワーク導入促進業務事業」のモデル企業でもある会社の顔と し て様々 なセミナーで登壇し、女性活躍推進にも積極的な藤田香さんに、女性の雇用やテレワーク導入の魅力についてお話しい ただきま した。
いつぐらいから 女性採用に力を入れ始めたのですか ?
いつから力を入れたということはなく、40 年前の創業時 から女性社員を事務職として採用していました。さらに、近 年は技術職でも採用を行っていましたが、あまり長続きしま せんでした。原因は、先を見据えた雇用体制がうまく機能し ておらずそれぞれのライフステージに対応できないこととモ チベーションの低下。とくに、 中途入社してくる女性社員は、 以前まで専門職だったのにライフステージの変化によって転 職せざるを得ない人もいます。積み重ねてきた実績や経験を 活かせる門戸を広げた採用が、 重要だったのです。そのため、 現在は就労規則の整備はもちろん、これまでの実績や専門 分野に近い部署へ配属するようにしています。また、私たち は女性雇用を支えるというより、一緒に前へ進むことを大切 にしています。弊社は女性社員が 4 名と決して多いわけでは ありませんし、女性自身が一般的に知っている業界でもあり ません。その中で男女問わず、活躍できる場があるというこ とを理解してもらうことに力を入れています。
女性社員をサポー トする上で 気をつけているこ とはありますか ?
一業務二人担当制のダブルアサインメントを採用していま す。ダブルアサインメントであれば、忙しい時期や子供の急 病時に助け合うことが可能です。また逆に一人で複数の専 門分野や担当を受け持つダブルタスクメントも導入していま す。大切なのは、社員の可能性を狭めないこと。仕事量を増 やしすぎてもいけませんが、様々な仕事ができる能力を磨き 続けてもらいたいのです。普通、多くの人は中小企業なんか で働きたくないと思っています。ただ、結婚や出産などの理 由で働くことになる。そのとき、仕事へのやりがいも諦めて いる人が多い。それは会社としても、社会としても大きな損 失です。だから、弊社は仕事にやりがいを見出してもらうた めに、彼女たちの担当する仕事を限定し過ぎず、様々な仕事 に取り組んでもらっています。今、女性活躍というと女性の 社員数や女性視点を取り入れたことをアピールする企業も数 多くありますが、ことさら女性を強調する必要はないでしょ う。特に今は流行の節もありますが、流行で終わらせても意 味がありません。
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- ⃝所在地:横浜市都筑区池辺町 3854 ⃝従業員数:17 人 ⃝業種: 排水処理薬剤・排水処理設備の設計施工、アフターサービス、分析 ⃝女性支援制度:フレックス制度/テレワーク/外国人材・女性の専門職への登用および支援
Real Voice
井上佳代子さん
(2011 年入社)
前職では河川水や海水、土壌などの化 学分析の技術職として働いていました。 とてもやりがいを感じていましたが、 結婚 を機に退職。家から通いやすい会社の事 務職を探していた時に、当社と出会いま した。 入社後、 取締役の藤田から 「せっか くの知識や技術を活かさないのはもった いない」と言われ、事務職と並行して週 1日ほど技術職としても働くことに。最初 は不安もありましたが、 やはり自分のこれ までの経験を活かせることは、とても嬉 しいですね。 やりがいも増えました。3 年 目には第一子を授かり、産休・育休を取 得しました。復職時には個人面談をもと に「残業ゼロ」の働き方を提示していた だき、安心して職場に戻ることができま した。現在は事務職の仕事とともに、技 術職としての仕事の幅ももっと広げよう と資格の勉強中です。当社は大きな会社 ではない分、自分の力が求められている こともよくわかりますし、今後も仕事に家 庭、勉強も頑張っていきたいと思います。
女性が活躍できる職場環境を整えたこ と で 経営への効果はありますか ?
基本的にどの職種も男女の能力差はないと思っています が、業務の効率化という点で効果はありました。女性は時間 の配分が上手です。 予定があると下準備を午前中にするなど、 空いている時間を効率良く使って対応してくれます。おそら く視点が広く、物事に固執しないからだと思いますが、新規 開拓という点でも従来の水処理の営業方法にこだわるのでは なく、水を綺麗にするということを広く多角的に考えるので 心強いです。また、2 年前に初めて出産を経験した女性社員 のために、横浜市の女性活躍推進事業でテレワークのため の助成金申請をしました。おそらくこの事業では第一号だと 思います。これは子育てだけではなく、シニア世代の介護と いう問題にも対応できるでしょう。 昨年、 神奈川県のテレワー ク実証試験にベテラン女性社員を参加させました。そこで、 何ができて、何ができないのか。セキュリティはどうなのか。 あらゆることを実証してもらいました。就業規則とテレワー ク規則を整備できたことは、今後の経営に大きな効果をもた らしていくと思います。
環境を用意したい。
様々な仕事に挑戦できる
可能性を信じ、
女性社員の
今後の「女性の活躍支援」について お聞かせく ださい。
国からは「2020 年までに女性管理職 30%」という目標も 示されていますよね。当社としてはこれからもこれまで通り 持続的にそして積極的に女性の管理職を増やしていきたい です。就業規則などの制度を整えるだけでなく、責任者とし て働いてもらいたいからです。現在、どの部署にも女性社員 が活躍できるよう、部門横断型の会議を試していますが、な かなか時間の関係や私の運営のスキルが足りなくて、成功ま ではいっていません。できれば部門横断型でプロジェクトを 実現し、新たなことに挑戦して経験を積んでほしいし、女性 活躍支援に止まらず、 ダイバーシティとなることが目標です。 アフリカの若者のための産業人材育成研修「ABE イニシア ティブ」では、9 名を弊社でインターンシップの受け入れを しました。そのうち 2 名は女性研修員です。アフリカの女性 たちの活躍を見ていると、 日本の女性は随分恵まれています。 だから、もう少し頑張ろうという気持ちです。まだまだ課題 は多いですが、外国人であれ、女性であれ、活躍できる会 社を実現したいと思います。
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- 製造
フ ォ ルム株式会社
常務取締役 小林陽一さん
1950 年に創業。以来、ト ラ ック・バス部品の製造を一貫し て取り組んでいる フ ォルム株式会社様。国内主要ト ラ ック メーカー や乗用車メーカー との取引を通じて成長し、横浜市にある本社のほか、関連子会社が国内に 2 社、イ ンドネシアに 1 社と、世 界に向けて発展しています。現在、315 名いるスタ ッ フのう ち、女性スタ ッ フは 21 名。今回は常務取締役の小林陽一さんに、 男性中心の業界における女性の雇用や働き方、課題点について、お話しいただきま した。
いつ頃から女性採用に 力を入れ始めたのですか ?
この業界は、昔から男性社会。以前は、高卒の女性を総 務や経理などの事務職として採用していた時期もありまし た。ただ、育成したとしても、早くに社内結婚をして退職。 会社の男性陣によって戦力を失ってしまうケースが続きまし た(笑) 。とはいえ、私たちのような中堅企業にとって優秀 な女性は貴重な人材です。ここ数年は再び、 文系理系問わず、 良い女性がいれば積極的に採用し、一から教育するようにし ています。そして、そのためには、会社として制度や設備を 整えていく必要がある。産休・育児休暇というのはもちろん、 子どもが急に病気になって休みたいとき、周りの人間が協力 的になれるような風土づくりも重要です。さらに、女性が快 適に働けるように現場のトイレを増やしたり、休憩室を作っ たり。女性だけではなく、障害者採用にも対応できるように 事務所をバリアフリーにしたり、エレベーターを設置したり。 まだまだ取り組むべき課題が山積みですが、今後はこうした 環境面にももっと投資をしていこうと考えています。
女性を採用するこ と で 経営への効果や期待はありますか ?
社員の日頃の小さな悩みの相談窓口になってくれていま す。とくに、技術系の社員は CAD を使って図面を書いたり、 パソコンと向き合ったり、一人でやる仕事が多く、孤独にな ることが多いんです。また、上司とのコミュニケーションで 悩む社員もいます。そんなとき、女性は細かな気づきや配慮 ができますし、悩んでいる社員も女性のほうが相談しやすい ようです。逆に男性は、そういった部分に少し疎いですから ね(笑) 。どうしても雑な部分が見えます。事実、仕事に関 しても、会社の改善活動として月に一度発表する機会がある のですが、女性陣の発表は細やかで論理的です。一部では 女性は感情的だと言われていますが、まったく違います。相 手の立場で話ができるので、監督者や管理職としても、営 業や資材バイヤーとしても育てていけると考えています。ま た現場においても、クラッチやブレーキなどの部品の組み立 て作業は細かなものが多いので、女性が活躍できる場です。 品質保証という面から考えると、客観的に考えられる女性の ほうが向いています。ここ 1、2 年で、とくに女性の必要性 を痛感しているのですが、まだキャリアアップした女性社員 がいないことが、今後の課題ですね。
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- ⃝所在地:横浜市港北区高田西 1-1-47 ⃝従業員数:本社 35 人・茨城工場 272 人 ⃝業種: 自動車部品の製造(開発・金型・治具設計・製作・プレス・溶接・塗装・組立) ⃝女性支援制度:出産休暇制度/育児短時間勤務制度/育児休業制度/看護休暇制度
Real Voice
(2016 年入社)
門向想子さん
もともと、ものづくりが好きで、製造 業の企業を探していました。 ただ、 性格上、 営業というより働く人を支える仕事がし たくて。そんなとき、出会ったのがこの 会社です。経理や総務といった仕事はま さに私の求めていた役割だったため、入 社を決めました。現在の仕事内容は、主 に勤怠管理や給与管理、採用活動、あと は社員が食べるお弁当の発注など、もの づくりを行う人をサポートする仕事に従 事しています。この会社の社員のみなさ んは人柄が良くて優しい人ばかり。話し やすいので、相談も気軽にできます。ま た、英語講座をはじめ、法律講座や産業 カウンセラー講座に通わせてもらったり、 衛生管理者の資格を取らせてもらったり、 現在、会社のサポートのもとさまざまな 勉強をさせていただいています。今後の 目標は、これらの知識を、仕事に、会社 に還元していくこと。とくに産業カウンセ ラーは、女性だから話しやすいこともあ るはずです。女性としての強みを活かし、 会社に貢献していきたいと思います。
生きがいのある職場へ。
女性社員をサポー トする上で 気をつけているこ とはありますか ?
職場環境だけではなく、生活面にも気を配るようにしてい ます。まずは、休暇制度の強化。これは女性社員のために、 というより全社員のために必要なこと。当社では余った休暇 を積み立てできる制度があります。たとえば、病気で長期休 暇が必要なときは通常の休暇ではなく、積み立てた休暇を利 用する。今はご両親の介護で休まなければならない社員も増 えています。そんなときは積み立てた休暇を利用する。私自 身も両親の介護で月に一度は休みを取って、実家に帰省し ています。現在、 この積み立て休暇には上限があるのですが、 今後ルールを変えていく予定です。また、育児休暇も期間の 延長を検討していますし、時短勤務の導入も考えています。 次に、生活面。今は福利厚生として社員寮があるのですが、 老朽化が進んでいるため、建て替えを検討しています。その タイミングで女性寮の建設も検討中です。設備面を充実さ せることで、余計な心配をしなくてよく、心に余裕が生まれ ます。まだ、女性採用に力を入れ始めて 1 年。サポートにつ いては、長期的に見て、課題が出る度に向き合っていこうと 考えています。
働きがいと
全社員が
女性社員だけではなく、
最後に、 これからの「女性の活躍支援」 に ついてお聞かせく ださい。
女性のために何かすることで、全体的に働きやすさのレベ ルが上がることが重要ではないでしょうか。社員のために、 と考えること。結果的にそれが社内の意識改革につながると 思います。入学式などのイベントがあるのであれば、誰もが 休んでいいよと言える環境であること。女性だけはなく、男 性にも当てはまることですから。 また、 国や県、 市などの行政 に対しては、保育園や介護施設の充実もさることながら、た とえば、インフルエンザ予防接種の補助や風邪の子どもを預 かってくれる施設など、健康面の支援を強化してもらいたい ですね。健康面は経営に直結しますから。何か起こる前に予 防することが重要です。また、仮に子どもが病気になったと しても、仕事が終わるまで協力してくれる制度があれば、社 員は安心して働けると思うんです。そういった面で何か支援 があれば、働きやすさはさらに向上していくと考えています。
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- 製造
株式会社
代表取締役社長 吉岡優さん
吉岡精工
1961 年創業の吉岡精工様。自動車のエンジンバルブ金型製造を中心に成長し、現在は半導体製造装置の精密部品を中心 に事業を展開されています。社員数は 20 名。そのう ち 5 名が女性社員です。今回は、社長を務める吉岡優さんに製造業とい う環境の中で、どのよ うに女性を雇用し、活躍し ても らえる環境を整えているのかについて語っ ていただきま した。
まず、製造業界全般の女性採用の 状況についてお聞かせく ださい。
ゼロというわけではありませんが、男性に比べると圧倒的 に少ないのが現状です。どこの工場へ行っても、第一線で活 躍されている女性を見かけることは、あまりありません。製 造業は、汚い、キツイ、危険という昔ながらのイメージがあ りますから、女性としても「私には難しいかも…」と考える 方が多いと思います。昔はトイレや更衣室も男女兼用だった り、女性にとって働きやすい環境とは言えませんでした。で も、今は少しずつですが、女性を雇用するために環境を変え ようと動いています。トイレや更衣室を分けたり、重たいも のを運ぶために道具を利用して簡単に持ち運びができるよう にしたり。けれど、環境を整えて優秀な女性を雇用できたと しても、長く働いてもらうには女性のライフステージの変化 に対応できる職場にしなければというさらなる課題もありま す。私たち経営者がこの状況を理解し、課題解決に向け真 摯に挑戦し続けなければ、製造業界の女性雇用推進は進ま ないと思います。
貴社では女性を採用するこ と で どのよ うな変化がありま したか ?
私たちの会社では 2000 年頃から積極的に女性の採用を始 めました。ほとんどの製造業の中小企業が女性を採用するこ とをまだ真剣に考えていなかったこともあり、採用は思いの ほか順調でした。さらに、当時は仕事においても技術職の女 性社員がお客様先を尋ねると、それだけで大きなインパクト を与えることができました。製造業は男性がするものと思い 込んでいるため、最初は「女性で大丈夫?」と不安がるお 客様もいるのですが、その女性技術者が優秀だとそのギャッ プがお客様との関係構築にも大いに役立つことがわかりまし た。また、女性の魅力のひとつとして丁寧な仕事をしてくれ ることが挙げられます。 私たちの製造する精密機器の部品は、 ほんの少しの傷や汚れがあるだけで NG です。扱い方を間 違えたり、ぶつけてしまったりしたら、そこで終わり。仕事 のスピード以上に手先の丁寧さや細やかな気配りが必要にな るのですが、その点は男性以上に女性が向いていると思って います。性格も根気強いですし、仕事を見ていても非常に安 心感があります。女性としての物珍しさではなく、ある部分 では男性以上にこの仕事に向いていると思いますし、私たち の会社としても欠かせない存在です。
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- ⃝所在地:横浜市鶴見区末広町 1-1-49 ⃝従業員数:21 人 ⃝業種: 精密部品加工 ⃝女性支援制度:時短勤務制度/出産休暇制度/育児休業
Real Voice
我妻真理子さん
(2000 年入社)
大学の先生のご紹介でこの会社と出会 いました。最初の印象はいくつもの機械 が雑然と並んでいるし、油のにおいもし ていました。正直、 「本当に、町工場だ」 と(笑) 。ただ、私自身はものづくりが大 好きだったこともあり、当時から長く働き たいと思っていました。仕事内容は、入 社後まず出荷検査に携わり、その後は設 計、技術営業といろいろなことに挑戦さ せてもらいました。産休・育休中に社長 から「もし興味があれば、在宅でできる 範囲で仕事を手伝ってくれないか」と相 談を受けたときはうれしかったですね。 家庭とは別に社会との接点ができたこと で精神的にも楽になりましたし、何より 会社の状況がわかるようになったことで 復職時の不安がすごく軽減されました。 現在は生産管理というまた新しい仕事に 挑戦中です。今後も業務の幅は広げてい きたい。そして、実力を蓄えながら、長 く働き続けることができればと思います。
意識から変えていく。
女性社員をサポー トする上で 心がけているこ とはありますか ?
正直なと ころ、 大したことはできていませんが、 一番心がけているの は風土づくりです。 たとえば、 子育てをしながら働いていれば、 当然、 早退や遅刻をしなければならないと きもあります。 そのとき、 周りの社 員から不満が出ないような職場にしておかなければなりません。 大企 業であれば、 今や当たり前のように育休後の時短勤務があって、 その 制度を利用している女性も多くいると思います。 すると、 周囲の社員 もその状況を受け入れやすく なります。 しかし、 も とも と女性の少ない中 小企業の工場では、 その女性の扱いが特別なもののように映ってしま うのです。 だから、 私はことあるごとに 「子育てをすれば、 誰もが通る 道。 そのときに自分が同じような目で周りから見られたら、 嫌だよね。 であれば、 みんなで協力してやろう」 と社員全員に向けて話をするよ うにしています。 また、 制度づく りも重要ですが、 その都度フレキシブ ルな対応ができることはもっと重要です。 風土づく りの成果が少しず つ現れてきたのでしょうか。 家庭の事情で朝早く出社できない女性 社員のために、 これまでは朝礼後すぐに開いていたチームミーティン グの時間を変えるなど、 社員たちが自分たちの判断で対応するように なりました。 いかに効率良く、 ミスなく作業を進めるか、 時間の制約の ある女性社員は常に時間との戦いです。 このような条件の下、 働く社 員と一緒に働くことで会社全体のコミュニケーションが盛んになり、 無駄な時間を削るため、 社員全員がより協力し合うようになりました。
社員と業界の
風土づくり。
制度づくりより
今後の「女性の活躍支援」について お聞かせく ださい。
製造業界の中小企業の中でも、 「女性を採用したい」と 考える企業は昔と比べて圧倒的に増えました。10 年前か ら比べれば、経営者の意識も大きく変わったと思います。 しかし、 まだまだ女性から見た 「ものづくりの現場」 のイメー ジはさほど変わっていないのではないでしょうか。町の部 品工場を積極的に受けてみようと思う女性はやはり少ない ようです。今後は女性の採用を強化していくためにも、業 界全体でイメージを変えていかなければなりません。私自 身、 具体的なアイデアを持っているわけではありませんが、 横浜市さんのような行政にお願いがあるとすれば、もっと 中小企業の魅力を伝える場を作ってほしいと思います。大 企業とは異なる中小企業の魅力を、直接、求職者にアピー ルできる機会がもっともっと増えると良いと思います。特 に、大学生のような若い方にアピールできる機会があると うれしいです。どうしても大学生や、大学の先生方は大き な企業ばかりに目が行きがちです。でも、きっと大企業よ り、中小企業の方が向いている学生もいるはずです。そう した良い出会いを横浜市さんと一緒につくっていくことが できたらいいなと思います。
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- IT
代表取締役 村尾周三江さん
明日の 株式会社
2005 年、 前身 「村尾 CO.」 をスター ト し、 2008 年 「明日の株式会社」 設立。 「いま、 明日をつく る。 ‐笑顔の明日へ‐ 」 をミ ッショ ン と し、WEB サイ ト制作・運営、DTPデザイ ン、ブランデ ィ ングな どを手がけるデザイ ン会社です。横浜市青葉区にオフ ィスを 構え、現在 20 名のメンバー と共に、新事業も立ち上げ、本業以外に地域活性化イ ベント 「HAPPY 桜台発! わがママーケ ッ ト 」 や地元学校でのキャ リア講話、商店会企画な ども積極的に取り組んでいます。今回は代表取締役の村尾周三江さんに、ご自身 の仕事観や女性採用についての考え方を伺いま した。
女性の働き方について 考え始めたのはいつ頃ですか ?
日本でもインターネットニーズが増え始めた頃、 私は、 その中でもも のすごい勢いで成長している会社に勤めていました。 当時、 その会社に も育児制度は整っていましたが、 実際には、 女性男性問わず、 いったん 育休や介護で仕事を離れると、 IT 業界の変化や会社の成長のス ピード には付いていけず、 ポジションへ復帰することは難しいというのが現状 でした。 これは他業種でも、 様々なシステムは整っていても働くことへ の課題と感じ、 私自身もこれから先をみたときに、 ライフスタイルを大切 にしながら長く勤めることは難しいと感じていました。 企業や行政だけ がんばってもらうのではなく、 私たち自身のみらいをどうしていきたい か。 ずっと自問自答していました。 その後、 独立してネッ トショ ップ運営 から始め、 WEB コンサルティング業務など幅広くクライアント契約で きるようになった頃、 現在も当社で志事している女性デザイナーと知り 合い、ぜひ一緒に働きたい! と思っても、 彼女は 4 人の子育てもしてい て、 毎日の事務所通いはとても難しかったのです。 また、 一緒に会社を 立ち上げた妹や、 他メンバーもはたらく母親たちでした。 その当時はま だ、 テレワークという働き方はさほど注目もなかったのではないでしょ うか。 当社は、 彼女たちの活躍の場づくりに取り組むことは必然でした し、 今となっては私たちにとってはこれが常識ですが (笑) 在宅、 時短、 地方勤務など、一人ひとりに合わせた働き方は、 子どもたちの成長と共 に、 当社での変化しつづける課題として、 ずっと創作し続けています。 29
働く人に合わせた制度を整えたこ と で 経営への効果はありますか ?
いちばん体現していることは “ 働き方に正解はない ” と いうこと。会社の売り上げはもちろん大切ですが、ひとり ひとりのライフステージに合わせ、笑顔で志事できること。 私たちの掲げている「いま、明日をつくる。-笑顔の明日 へ-」は、 まずは、 日々のメンバーのコミットからなのです。 これから何十年も働き続けるには、変化に合わせて、強 さよりも優しさを持ち、しなやかな考えであること。この ミッションや柔軟さを共有していることは、会社組織でか かせません。そして、メンバーがお互いに尊重し合い挑 戦している姿勢は、そのままクライアントを大切にし、新 しい提案の幅をひろげる社風を築いています。大変ありが たいことに、私たちを応援してくださるクライアントが多 く、 紹介での依頼もいただいております。また、 横浜市「よ こはまグッドバランス賞」などの賞も数々いただき、当社 の認知度も上がり、メンバーの志事への誇りにもつながっ ています。とはいえ、支えてくださる方々へ甘んじること なく、クライアントにもみなさまにも、常に期待以上のも のを提供し、気持ち良く豊かにご一緒できるよう、メール や電話でのコミュニケーションでも、丁寧に聴く姿勢をも ち、 細かな気遣いこそ、 毎日初心忘れず、 心がけています。
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- ⃝所在地:横浜市青葉区桜台 25-1 桜台ビレジ 1B-103 ⃝従業員数:5 人 ⃝業種: WEB、SHOP、DTP、WORK 制作、地域活性化イベント企画、ゲストハウス運営 ⃝女性支援制度:短時間勤務/時差出勤/在宅業務/介護をしながら働けるなど
Real Voice
(2005 年入社)
村尾朋子さん
私は、 もともとアパレル会社で働き、 バイ ヤー、 販売、 店長業務などを経験。 2005年、 現代表取締役の姉と共に、会社の前身「村 尾 CO.」を登記し、レディスアパレルネッ ト ショップを立ち上げました。そこからネッ ト ショッピング、 WEB 制作と事業ステージを変 えていく中、 私自身の仕事内容も変わり続け、 キャリアとなっています。現在は WEB ディ レ クターとして、 クライアント窓口となり、 ブラン ディングから始まり、 デザイン案、 WEB 仕様 決定など、 制作全般の進行管理を担当してい ます。誰でも最初がありますが、 私もスタート 時には WEBに関する知識やスキルは少なく、 とにかく苦労の連続 (笑) 。 “すべてが学び”と、 都内 WEB 会社で 1年間修行! もさせていた だきました。今の志事でのやりがいは、なに より、クライアントからいただける「ありがと う」のことば。みなさまの会社に対する熱い 想いや事業などの詳細を伺うことから始まる 制作は、完成してご一緒に喜んでいただいた 時こそ最高ですね。 また、 新規事業として、 地 域雇用採用窓口も担当しています。 都内に通 わなくても、 ここ地元で家族のそばで志事で きる環境をつくっています。そして、 このハッ ピーなモデルケースをつなげていくことも目 標のひとつですね。 ぜひ多くの方々と一緒に、 自らも新しい働き方づく り していきましょう。
では、女性の採用に関しては どんな取り組みを行っているのですか ?
当社では、 仕事は 「志事」 とあらわしており、 それぞれ、 会社 に仕えるのではなく、 志を持ち、 自ら生み出す場を大切にしてい ます。 しくみとしては、 在宅勤務メインですが、 働きやすい環境 づく りは、 毎日の掃除だったり、 感謝を声かけあうことだったり、 女性らしくはたらくことってほんとうにシンプルで、 みえないと ころこそ、 日々 !の積み重ねもありますね。 「女性の採用」に関 して考えているのは、 女性に限らず、 この多様性社会では、正 社員というひとく く りのしくみを望んでいない人も多くいるとい うこと。 たとえば子どもの成長をいちばんに考えたライフスタ イルとしたら、 働き方もそうですが、 そもそも生き方ややりがい も求めています。 ここ数十年としても、 システムはどんどんバー ジョンアップしていますが、 ひとの想いや生きる姿勢は大きく変 わっていないはず。 いつでも人ありき。 みんな社会へ貢献した い人たちです。 母親だからと自身で制限したり、環境状況しだ いではなく、 先に与えること。 お互いの理解し合う姿勢はますま す重要。 昨年は、障がい者採用も始めました。技術面でもまだ まだ課題はありますが、会社内でのコミュニケーションの変化 や成長の伸びしろ、 なによりこのワクワクは、 私の想像などとっ くに超えるものがありました。 なんでもやってみないと、 挑戦の その先は、 実は誰もわからないことばかりではないでしょうか。
会社にしたい。
笑顔あふれる
すべての人が志を抱き、
仕事は、志事。
最後に、世の中全体の働き方に関して 思う こ とはありますか ?
私たち世代は、未来につながる生き方を働き方をつく り続け る責任者。 これからの一人ひとりの在り方は、 ますます多様化さ れ、 もう眼の前にひろがる少子高齢化社会を支えていくひとり として、 考え、 行動していくこと。 子育て、 介護、 だれもがある家 族のそれぞれのみらいは、 一人では生きていけません。 当社に 集まる子供たち、 はたらき方だけではなく、 子育て、 介護もある みなさんと、あきらめずいろいろなことにクエスチョンを持ち、 じぶんたちでつくり出すセンスが必要ですね。 この私たちの毎 日は、 どこにつながっているのかを考え続け、 未来を明日を共に つくりましょう。 最後に、 女性の活躍支援! と聴かれると、 いつ も、 女性女性と、 くくる必要はないと思いますが (笑) お互い活 躍する場をつくること。男性の力はもちろん必要ですし、 子育 てや介護にこそ、 協力や想いやりは欠かせません。 得意なこと は男女関係ありませんよね。 私のまわりには、料理上手な男性 もたっくさんいますし、 外ではたらくことが大好きなママたちも 大勢います。 そのパワフルなご両親をみて、育っていく子ども たちも、 可能性しかありません。 志事に小さい大きいはありませ ん。 一社でも多くの会社さんへ、 組織へ、 一緒に働き方をつく り 続ける魅力を知ってもらい、 世の中は、 とっくにこうした人あり きの働き方、 志事は当たり前!時代は、 もうすぐそこまでですね。 30
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- IT
株式会社
代表取締役社長 矢津達彦さん
アローズ・システ ムズ
1999 年に創業。イ ンターネッ トの成長を感じ、当時は少なかった WEB エンジニアを育てるな ど先を見据えたビジネスを行っ てきたアローズ・システ ムズ様。企業の業務改善や効率化のためのシステ ム構築からデジタルマーケテ ィ ングまで、幅広 く事業を 展開し ています。現在、社員数は 150 名。そのう ちの約 3 分の 1 が女性です。今回は、代表取締役社長を務める矢津達彦さ んに女性の採用や活躍支援について語っ ていただきま した。
いつぐらいから 女性採用に力を入れ始めたのですか ?
創業時から「女性を積極的に採用しよう」と意識したこと はありません。というのも、エンジニアは性別に関係なく活 躍できる職種だからです。正式に女性社員を採用したのは 創業から数年後です。男女を問わずエンジニアとして優秀な 人を採用してきた結果、自然と女性も増えてきました。
女性を採用していく上で、 どんな取り組みを行っ ていますか ?
育児休業やお子さんが体調を崩した時の子の看護休暇な ど、子育て中の社員を支援できる体制を整えています。女性 社員からの要望によって改善されたのが、子の看護休暇の 取得形態です。これまで日にち単位でしか取得できなかった 休暇を、時間単位で細かく区切って取れるように変更しまし た。時間で区切ることで、子どもの通院や緊急時のお迎えな どに対応でき、これまでより活用しやすくなったと喜ばれて います。当然、会社全体としてルールは設けますが、社員に よって抱える事情は異なりますから、なるべく柔軟に対応で きるよう心がけています。今後もこうした職場環境の改善を 進めて、従業員みんなが働きやすい会社に育っていけばいい と思っています。
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- ⃝所在地:横浜市西区みなとみらい 2-3-1 クイーンズタワー A ⃝従業員数:単体 150 人、グループ計 320 人 ⃝業種:ソフトウエア ⃝女性支援制度:育児休業/子の看護休暇/介護休業/介護休暇
Real Voice
(2012 年入社)
島麻衣子さん
新卒で入社した会社では WEB 開発を担 当していましたが、 結婚 ・ 出産を機に退職しま した。 エンジニアという職種柄、 正社員で短時 間勤務をすることは難しいと考え、 しばらくは 派遣社員として複数の会社で働きながら二 人の子どもを育てました。 そのうちの一社がア ローズ ・ システムズです。 派遣 ・ 正社員の壁な く接してくれる、 とてもいい雰囲気の職場だと 感じました。 入社したのは、 二人目の子どもが 1 歳になる頃。 再就職先を探していたところ、 声をかけてもらったことがきっかけです。 短時 間勤務制度も整っており、 子育てをしながら 働く ことに協力的な職場だと実感しています。 入社後にも、 短時間勤務が当初の未就学児ま でから小学校 6 年生までに延長されたり、 子 の看護休暇が 1時間単位で取れるようになる など、 育児に関する制度がさらに改善されて います。 私も子どもの急な病気のときにも対応 できるようになり、 とても助かっています。仕 事面では、 WEB 開発に加えて新卒研修に携 わる機会も増えています。後輩には、エンジ ニアとして技術的なことを教えるのはもちろ ん、 仕事と2人の子どもの育児を両立する先 輩社員としての姿を見てもらえるよう意識し ています。 出産や育児、 職場復帰など女性が 仕事を続ける上では不安になることも多いで すが、 後輩たちが私を見て 「両立できるんだ」 と自信をつけてもらえたら嬉しいですね。
〝 女性だから 〟よりも、
多忙なイメージのあるエンジニアの働き方に ついて、心がけているこ とはありますか?
確かに、長期に渡って残業が続くようなプロジェクトも過 去にはありました。ただ、そういったプロジェクトを担当し た社員の中には、次のプロジェクトが稼働するまでにまとめ て休暇を取った者もいます。次の案件に備えて空いた時間に 勉強や準備をすることも重要ですが、体調を整えるために休 暇を取り、リフレッシュする事も大切と考えています。エン ジニアには開発の仕組みについて考えることが好きなタイプ が多く、プライベートでも常に仕事関係のことを考えている 社員もいるので、ON・OFF を上手く切り替えさせる事が重 要だと思っています。育児休業に関しても男女平等に活用で きる制度ですから、 男性も取得できて当然だと考えています。 実際に男性が取得した実績もあります。
会社を目指したい。
みんなが働きやすい
エンジニアとして
最後に、 これからの「女性の活躍支援」 に ついてお聞かせく ださい。
女性活躍の一環として、国が女性の管理職の割合を増や すことを目標に掲げていますが、私は単純に数字を上げれば いいとは思っていません。個人によって事情が異なるため、 性別よりも総合的に考える必要があると考えています。企業 として悩ましいのは、活躍して来た女性に管理職の打診をし ても、家事や育児による時間の制約があって断られたり、結 婚・出産などのライフイベントを機に退職してしまったりす るケースがあること。企業としても、優秀な人材を手放すこ とはできれば避けたいです。そういった女性が長く働き続け るための取り組みとして、現在、在宅勤務も含めて働き方の 多様性について社内で検討を始めています。在宅勤務を選 択肢の一つとして持てるようにすれば、より働きやすい職場 環境につながるのではないかと感じています。
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- IT
株式会社
代表取締役 原 江里子さん
イ ーツー・イ ンフ ォ
Web システ ムの開発会社と し て 2005 年に 3 名で創業し、13 期目を迎える株式会社イ ーツー・イ ンフ ォ様。創業以来、オー プンソースのカスタマイズを強みに様々 なクラ イ アン トからの信頼を積み重ねてきま した。 現在では、 EC サイ トの構築やアプリケー ショ ンの開発・保守・運用な ど、事業の幅も さ らに拡大し ています。社員は全部で 15 名。そのう ち 8 名が女性社員です。2014 年に代表に就任した原 江里子さんは、創業メンバーの 1 人。ご自身も仕事と家庭の両立に励む原さんに、IT 業界における女 性の働き方、採用に対する考えな どについてお話しいただきま した。
女性社員の採用は いつぐらいから力を入れ始めたのですか ?
採用に関して、男女を意識したことはありません。優秀な 人材を採用していったら、たまたま、女性社員の割合が高く なったという感じです。私たちの会社ではエンジニアでもお 客様とコミュニケーションを図る機会が多いため、人柄の良 い人、苦手でもそれ克服しようと頑張る人を採用してきまし た。その結果、女性が増えたのかもしれません。また、2014 年には「中小企業新戦力発掘プロジェクト」という中小企業 庁の取り組みに参加し、3 名の女性の実習を受け入れ、その うち 1 名が入社しました。この時、 「もともとエンジニアで 働いていたけれど、出産後の再就職が難しい」と話す彼女 たちを見て、本当にもったいないと感じましたし、私自身も 同様の経験があり、なんとかしてあげたいと思いました。エ ンジニアは急なトラブル対応などもあるため、どうしても男 性が多くなりがちです。しかし、女性は細かい部分まで配慮 することができるなど、じつはエンジニアに向いています。 なのに、出産などのブランクで戻れない現状があるのです。 また、当社では、2011 年の震災を機に、 「家から近い地元で 働きたい」と応募してくる子育て中の女性も増えました。
子育て中の女性社員に対して どんなサポー トをしているのですか ?
まず、彼女たちへのヒアリングを行い、勤務時間などはで きるだけ希望にそうようにしています。また、ヒアリングし ていると、 「子供は熱があるのですが、自分は元気なので働 きたい」といった意見もあったため、普段はみんなで顔を合 わせて働きながら、いざという時には自宅でも仕事ができる ようにテレワークを導入しました。あとは、日頃から社員ど うしの交流を深め、協力しやすい雰囲気をつくっておくこと も大切です。とはいうものの、主婦の方が多いと仕事帰りに 飲み会を開くのは難しいですよね。そこで、当社では週1回 のランチミーティングでコミュニケーションを取るようにし ています。その際、みんなで仕事に関する情報や知識を共有 するなど、就業時間内である程度の勉強もできるようにして いるのです。 また、 仕事と家庭の両立は、 家族の協力があって、 初めてできるもの。社員旅行や忘年会、 新年会、 バーベキュー といった会社のイベントにはご家族の方も招待しています。 先日もお子さんだけでも 10 名ほど参加してくれました。
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- ⃝所在地:横浜市西区花咲町 6-145 横浜花咲ビル 9 階 ⃝従業員数:20 人 ⃝業種:WEB システム開発/ソフトウエア開発 ⃝女性支援制度:出産休暇制度/育児短時間勤務制度/育児休業制度/看護休暇制度
Real Voice
(2013 年入社)
山崎祐子さん
この会社に転職する前は、都内の広告 代理店でマーケティングに関わる仕事を していました。しかし、子供が保育園か ら小学校に上がっていくにしたがって、 自宅のある横浜から都内への通勤が、時 間的にも、体力的にもつらくなっていった のです。そこで、自宅から通いやすい横 浜市内で会社を探しはじめ、当社を見つ けました。みなとみらいという場所はもち ろん、会社の規模に対して女性社員が多 く、アットホームな雰囲気だったことも入 社の決め手になりました。現在は、営業 として、 お客様先にヒアリングに伺ったり、 保守のサポート業務を行ったりしていま す。仕事はもちろんですが、働きやすい 環境づくりに関しても、みんなでより良 くしようとしている点が気に入っています ね。今後の目標は、会社の成長とともに 自分も一緒に成長することです。転職を しようかどうか、迷っている女性の皆さ ん。なんとかなります。まずは、 思い切っ て一歩を踏み出してみてください。
なんとかしたい。
女性社員が多いこ とのメ リ ッ ト と 今後の課題を教えて く ださい。
オフィスがきれいになります (笑) 。会社の雰囲気も明るく なりますね。あと、男性社員の意識が変わり、外出したらス イーツをお土産に買って帰ってきてくれるなど、気配りがで きる社員が増えましたね。さらに、社内への気配りだけでな く、 お客様への気配りにも良い影響を与えていると思います。 結局、社員の仲が良くなり、会社の雰囲気が明るくなると、 お客様も安心して仕事を頼みやすくなりますよね。こうした 一体感はこれからも大切にしていこうと考えています。ちな みに、私たちがクライアント先に社員を常駐させず、社内で 開発を行うのもそのためです。また、課題に関してですが、 システム開発はどうしても納期が近くになると忙しくなりま すし、障害が起こった時は夜中でも対応しなければなりませ ん。 そうした時、 時間に制限のある社員が増えると、 どうして も時間に制限のない社員の負担が大きくなります。この辺り をどうケアするかは、今後の課題です。アイデアレベルです が、たとえば、朝が苦手な社員は午後から出社して夜まで働 いてもらうなど、もっとワークシェアリングを徹底させるこ とで、 より納得ゆく働き方を提供できるのかもしれませんね。
女性エンジニアの現状を
出産や育児のブランクで働けない
スキルや経験はあるのに、
最後に、 「女性の活躍推進」については どうお考えですか。
女性、女性と言い過ぎるのはどうかと思いますね。ワーク ライフバランスを大切にしたい女性もいれば、仕事を最優先 にバリバリ働きたい女性もいると思います。結婚や出産だっ て、全員が希望しているわけではないですよね。さらに、女 性が働きやすい会社にすることで、男性社員が働きづらく なったら意味がありません。男女問わず、いろいろな立場、 いろいろな考えの方々を、どうサポートしていくかというこ とが大切ではないでしょうか。しかし、その一方で IT 業界 におけるエンジニアの枯渇は大問題です。求人広告を出し ても、応募すら来ないこともあります。さらに、中小企業に は未経験者を採用して育てるほどの余裕もありません。そう なった時に、スキルや経験はあるけれど、出産や育児のブラ ンクによって働いていない主婦の方々は本当に貴重な戦力で す。そういう意味での「女性の活躍推進」は今後ますます重 要だと感じます。
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株式会社
代表取締役 大西寿郎さん
セン ト ラ ルシステ ムズ
昭和 58 年、基幹業務システ ムの設計・開発を専門と してスター ト したセント ラルシステ ムズ様。現在は業務システ ムや組み 込みソフ ト ウ ェアな どの開発から、イ ンフラの構築やシステ ムの運用・保守、医療系クラウ ドサービスな ど、幅広いサービスを展 開している会社です。社員数は 140 名。そのう ち 28 名が女性です。今回は、社員一人ひと りの主体性と自立心を尊重する代 表の大西寿郎さんに、女性の働き方について経営観も交えながらお話しいただきま した。
最初に、システ ム業界における 女性雇用についてお聞かせく ださい。
ひと昔前まで、システム業界で女性が働くことは本当に珍 しかった。とくに開発担当の SE になると数えるほど。私も 今の会社を設立した当初は、女性の採用をほとんど行って いませんでした。積極的に採用するようになったのは、2000 年代に入ってから。少子高齢化問題もあり、日本は労働力が 減少している事実がありました。そこで女性に注目するよう になったのです。ただ、実際に採用してみると、女性の力が システム業界の企業にとって今後大きな力となっていくこと を実感しています。まず、視野が広い。今、何をすべきか、 物事の優先順位のつけ方が上手です。さらに顧客視点で動 いてくれるので、コミュニケーション能力も高い。その特性 を営業やマネジメント、経営に活かすことができれば、シス テム業界で女性の活躍する場がさらに広がっていくと思いま す。事実、弊社でも技術者として経験を積んだ女性社員た ちがクライアントのニーズを引き出し、分析するといった営 業やコンサルタント的な業務でも活躍していますから。
女性社員をサポー トする上で 気をつけているこ とはありますか ?
現在、28 名いる女性社員のうち、小学生以下の子供を持 つ社員が 4 名います。その中で育児休暇中が 1 名、シフト 勤務が 1 名、在宅勤務が 1 名おり、子育て中の社員向けの 制度や育休から復帰した社員の就業場所への配慮など、長 く働けるように支援しています。制度を整える上で大切にし ていることは、育児中の女性だけではなく、全ての社員が安 心して働ける環境づくりをすること。目指しているのは、ダ イバーシティの推進です。そのとき重要となるのが、制度化 にこだわらないこと。 個別に抱えている事情は違いますから。 今、女性社員たちと話しているのは、ケースバイケースで決 められるようなルールづくりです。例えば、時短勤務でも一 律に 4 時退社にすればいいわけではありません。ルールづく りの根底には、いかに当事者を楽にできるかという視点が求 められます。中小企業の良いところは、そういったとき、一 人ひとりを見ながらルールづくりができること。制度や仕組 みだけの構築ではなく、社員全員に女性活躍推進・ダイバー シティ推進の必要性を浸透させて、社内風土として根付か せていきたいです。
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- ⃝所在地:横浜市西区みなとみらい 4-4-2 横浜ブルーアベニュー 13 階 ※ 2020 年 3 月に上記へ移転 ⃝従業員数:145 人 ⃝業種: ソフトウェア ⃝女性支援制度:出産休暇制度/育児休業制度/時短勤務制度/シフト勤務制度 1 時間単位の有休取得制度
Real Voice
大脇美由紀さん
(2001 年入社)
大学卒業後、ソフトウェア開発会社に プログラマーとして就職しました。当時 はまだ女性がシステム業界で働くことも 珍しい時代。結婚を機に「やめるんだよ ね?」という暗黙の会社のプレッシャー から退社しました。でも、やっぱり社会 との繋がりがないとつまらないんですよ ね。数年経って事務職として再び働き始 めました。ただ今度は、単に働くだけで はやりがいがない。システム開発の仕事 もしたいと思っていた頃に、セントラルシ ステムズと出会いました。技術者として のブランクを心配していたのですが、社 長が人間性を見てくれたことが入社の決 め手となりました。システム開発の仕事 は山あり、谷あり。心身ともにしんどい 時もありますが、リリース後にお客様か ら「ありがとう」 「助かった」と言われる と本当にうれしい。また、この会社は一 人ひとりをしっかり見てくれていると実感 できるので働きやすいですね。育休明け の働き方も実情を見ながら、細かに対応 してくれましたし、子供を育てる上でも 今の会社を選んで良かったと思います。
組織づくりにつながる。
女性を採用していく上で、 どんな取り組みを行っていますか ?
今後、企業の存続をかけた重要な部分を、多くの女性が 担っていくと考えています。そのため、女性の採用は、私た ちの会社にとって、ものすごく大きなファクターになります。 そういう意味でも、育休や時短勤務など支援体制を整えるこ とは基本です。ただ、 女性を積極的に採用したいと考えても、 こちらの支援制度について簡単には伝わらない。そこで制度 を利用する社員向けの社内説明資料を大学の合同説明会で 渡したことがありました。そうしたら、採用した 10 名のうち 5 名が女性と、会社設立以来一番多くの女性を採用すること ができたのです。それから、ダイバーシティ検討会というも のをつくって、年に数回、働き方について会合を開催するよ うにもなりました。もちろん、男性社員向けにも開催してい ます。今、さまざまな社員がいる中で、個人にあった働き方 を見つけていかなければいけません。女性だってキャリアを 意識して、将来像を描いている人もいます。逆に、立場が上 になると責任が重くなるだけで嫌だという人もいます。その 選択肢を個人にあわせて提供していける。それが中小企業 の魅力だと思います。
それが信頼関係のある
大切にすること。
一人ひとりの個性を
最後に、 「女性の活躍推進」において、 何が重要だと考えますか ?
国や自治体の施策が重要となってくるのはもちろん、そこ に期待するだけではなく、企業として何ができるかを考え、 行動していくことが重要だと思います。そのためには、社員 を頭数として把握するのではなく、一人ひとりを個性の異な る別人格として意識すべきです。何度も言いますが、男女問 わず、個人の適正や能力はみんな違います。その上で人を 活かすこと。企業と社員の信頼関係が構築できないと必要と される制度も支援も生まれないと思います。さらに女性の長 期就業を考えたとき、男性の協力が欠かせません。子育て や介護などライフイベントは、まだ女性の比重が大きいのが 現状です。軽減できるのは男性しかいませんから。また、将 来的には、 女性に取締役を担ってもらいたいと考えています。 優秀な社員が増えているというのもありますが、女性が自ら 主体的に活躍する場を設けることも支援策のひとつとして重 要だと思います。
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- 運輸
サンタ ク シー 株式会社
代表取締役社長 馬場正治さん
昭和 28 年創業のサンタクシー様。まだ車を手に入れるこ と さえ難しい時代から、車を現物出資する形でスター ト しま した。 営業エ リアは主に横浜市内。社員は約 120 名で、そのう ち 8 名が女性です。最近では、旅行客を横浜や鎌倉に案内する 「観 光タクシー」 やチャ イルドシー トを完備した 「子育てタクシー」 な ど、 サービスの幅を広げている会社。 「お客さまの喜びがドラ イバー の喜び」とい う考えを持たれている馬場正治さんに、女性の採用や働き方について、これまでの経験談も交えながらお話しいた だきま した。
いつぐらいから 女性採用に力を入れ始めたのですか ?
業界としては努力しているものの、タクシー業界の女性ド ライバーの割合は未だ 1.4%です。そうした中、当社は 1997 年の労働基準法の改正により、女性に対する深夜労働や残 業、休日労働の制限が撤廃されたことをきっかけに、他社に 先駆けて女性ドライバーを 2 名採用しました。当時としては 珍しい試みで注目を集めました。ただ、当時の深夜タクシー は今よりお客様とのトラブルも多く、女性を真夜中に一人で 働かせることだけは不安でした。そこで、 「昼間だけの勤務 にしたらどう?」と提案したところ、彼女たちから「いいえ。 私たちも男性と同じように働きたいです」という言葉が返っ てきたのです。私自身もタクシードライバーの仕事自体は女 性に向いているのではと思っていたので、最大限のケアはし つつも男性社員と同じようにフルタイムで働いてもらうこと に。結果、彼女たちはお客様とのトラブルに巻き込まれるこ ともなく、その後、当社が女性ドライバーを採用し続けてい く大きな礎となりました。
女性社員をサポー トする上で 気をつけているこ とはありますか ?
女性のライフサイクルやそれぞれの生活に合わせて働き方 を調整しています。たとえば、介護や子育てで朝や夜の勤務 が難しい女性ドライバーには、その時間帯を外して勤務して もらうなど。また、横浜に住んでいる女性ドライバーであれ ば、休憩時間を利用して自宅へ戻ることも許可しています。 その時間を使って用事を済ませるなど、フレキシブルに働い てもらえる仕組みにしているのです。融通の利きやすいタク シー業界ならではの働き方ですね。さらに、タクシードライ バーの仕事は、ある程度の収入を長い期間にわたって得るこ とが比較的可能な仕事です。人と接することや運転が好きな 方でしたら、誰でも働くことができます。実際、当社にはマ マさんドライバーをはじめ、様々な制約を持ちながら働いて いる社員が数多く在籍しています。しかし、生活が不規則に なりがちな仕事のため、ドライバーの健康管理は業界として も大きな課題。女性だけではなく、すべての社員が安心して 働くことができる職場環境づくりを目指しています。
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- ⃝所在地:横浜市中区かもめ町 20 ⃝従業員数:120 人 ⃝業種: 旅客自動車運送事業 ⃝女性支援制度:子育てを応援!一時預かり金補助制度(幼稚園児限定)
Real Voice
(1996 年入社)
下市浄美さん
出産・育児からの復職を考えていたと き、 「柔軟な勤務体制で、働く時間を自 分で調整できる仕事」として目に留まっ たのが、タクシードライバーの仕事でし た。その中でも、家庭と仕事のバランス に最も配慮してくださったのが、サンタ クシー。未経験で入社する社員に対して のサポートもしっかりしており、私が二 種免許を取得するまでの給与も保証して くださいました。現在の仕事内容は、お 客様を目的地までお送りする通常のタク シー業務に加え、 「観光タクシー」も担当。 横浜や鎌倉、東京の観光コースをお客 様の都合や時間に合わせてご案内してい ます。タクシードライバーの仕事を始め てから毎日、様々なお客様との出会いが あり、とてもやりがいにあふれています。 今後は「観光タクシー」がもっと多くの お客様に知れわたり、誰もが当たり前の ように使ってくださるサービスになってい けばと思います。
女性が活躍できる職場環境を整えたこ と で 経営への効果はありますか ?
周囲の男性ドライバーの変化をとても感じます。とくに、 女性社員への気遣いやマナーの向上です。さまざまなお客 様への対応の仕方を教えたり、彼女たちのタクシーの洗車作 業を手伝う社員も出てきました。そして、その気遣いが女性 に対してだけでなく、たとえば新入社員に対しても芽生えは じめ、彼らを指導する際の姿勢なども変わってきました。ま た、女性ドライバーが日常的に花やお菓子を職場に差し入れ ることで、職場の雰囲気もぐっと良くなりましたね。彼女た ちを採用して本当に良かった。女性ドライバーは運転も丁寧 な方が多く、男性と比べても事故を起こす割合が低いという メリットもある。さらに、当社では最近、 「観光タクシー」に 力を入れ、 横浜市で2位の運行実績(年間約 500 件)を誇っ ていますが、そこにも女性ドライバーの活躍が貢献していま す。 「子育てタクシー※」も女性が担当することで、より利 用者の安心につながっているのではないでしょうか。
※子育てタクシー…保育園や学童保育所など保護者の代行としての お迎えなど子育て世代に優しいタクシーです。子育てタクシー認定ド ライバーが安全に送迎いたします。
していきたい。
タクシー会社に
自分らしく働ける、
男女関係なく、
今後の「女性の活躍支援」について お聞かせく ださい。
業界内では力を入れている方だとはいえ、当社の「女性の 活躍支援」はまだまだ道半ばです。とくに、子育て中の女性 ドライバーに対して、お子さんを託児所に預けて安心して働 いてもらうための支援は喫緊の課題。他企業と連携して託児 所を運営するという選択肢も考えていますが、この部分は横 浜市など自治体にもいっそう力を入れていただきたい部分で す。また、施設面でも、女性用の休憩所や浴室を設けるな ど、制度だけでなく女性社員が快適に過ごせる環境の整備 も重要だと考えています。事業面では、 今後、 「観光タクシー」 を柱にインバウンドビジネスを強化するためにドライバー向 けに英語の勉強会を実施。同時に、 もう一つの柱として、 「介 護タクシー」にも挑戦していくつもりです。男女問わず、お 客さまの笑顔を見るために勉強し続けられる環境を提供して いきたいと思います。
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- 卸売
グラ ンコーヨー 株式会社
代表取締役 大庭公善さん
創業は 1974 年。地元の文房具屋と し てスター ト し、時代の変化と と もに取扱商品や展開地域を広げていったグランコーヨー 株式会社様。現在では横浜・川崎市内の教育機関 (小・中学校、幼稚園、保育園)向けに学校教材をはじめ、事務用品やパ ソコン、複合機な ど、教育現場で求められるあらゆるモノを扱っ ています。また、施設の改修工事やイ ベントの企画・運営な ど、 “コ ト ” も含め、学びの現場を トータルサポー ト。創業当時から地域に密着した経営を行っ ている会社です。20 名の社員のう ち、 女性社員は 10 名。今回は、代表取締役である大庭公善さんに、女性の働き方や取り組みな どついてお話しいただきま した。
まずは、女性社員の雇用を 始めたきっかけを教えて く ださい。
もともと会社として、小・中学校や幼稚園、保育園など、 お客様が教育機関だったこともあり、学校が夏休みになる 8 月は閑散期。子育てのある社員にも長期の休みを取っても らうなど、無意識に今でいうワークライフバランスのベース のようなものが出来上がっていました。そのため、昔から当 社には小さいお子様のいるご近所のお母さんがよくパートと して働いてくれていたのです。やはり、夏休みに子どもと一 緒に休んで出かけられるのは魅力ですからね。また、会社と しても、そうした子育ての意識の高いお母さんが働きやすい 環境づくりに務めていたので、たとえば、社員のお子さんが 会社に寄って、お母さんの横で宿題をやっている光景もよく 見ていました。授業参観がある時も「行ってください」と抜 けてもらったり(笑) 。また、ご近所の方が多いので、昼休 みに夕飯の買い物を済ませたり、雨が降り出したから洗濯物 を取り込みに戻ったり。昔から、夫の扶養の範囲内で働きた いといったニーズをお持ちの女性にとっては働きやすい職場 だったこともあり、常に社員の半分くらいは女性でした。私 たちとしても、学校の休みに合わせて休んでくれるパート社 員の存在は大きかったですし、ある意味、WIN-WIN な関 係のビジネスモデルがある程度、完成していたのです。 39
そ こから、さらに力を入れるよ うになったと 伺いま したが…?
2008年に私は父親からこの会社を引き継いだのですが、 ちょうどそ の頃から、 女性社員に限らず、 社員の働き方に関して考えるようになり ました。 もっと言えば、 「良い会社ってなんだ? 「 」どういう会社が長く続 くのか?」 と考えるようになったのです。 客観的な指標がほしいと思っ ていた時に、 「よこはまグ ッ ドバランス賞」 の存在を知り、 多くの中小企 業が働く環境づく りに積極的に取り組んでいることに刺激を受けまし た。 「うちも絶対こういう会社になりたい」 と思い、 そこから改めて、 自分 たちのワークライフバランスを見直しました。 そして、 突き詰めていく と、 休みやすい会社にすることが必要だという結論にたど り着き、 会社 の体制を大きく変えることにしたのです。 これまでは1人の営業に対 してサポー トするスタ ッフ (主に女性社員) を1名付けるという体制だっ たものを、 10人の営業を10人のスタッフでサポートするチーム体制に 変えました。 さらに、 営業の担当エリアを2人で重ねるようにし、 急に休 む社員が出ても、 もう1人がフ ォローできるようにしたのです。当然、 情報共有のやり方など、 これまでとは違う新しい働き方に馴染む努 力は必要でしたが、 変更した直後に女性スタ ッ フの一人から 「じつは、 これまでは自分の代わりがいないことで責任が重く、 つらかったんで す」 と打ち明けてもらえるなど、 効果はすぐに現れました。 また、 こうし た取り組みが横浜市からも評価され、 これまでに5年連続で 「よこは まグ ッ ドバランス賞」 も受賞。 私も、 社員も大きな励みになっています。
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- ⃝所在地:横浜市保土ヶ谷区新桜ヶ丘 2-24-25 ⃝従業員数:23 人 ⃝業種:学校教材・OA 機器・事務用品の販売など ⃝女性支援制度:出産休暇制度/育児・介護休暇制度/看護休暇制度 時短勤務制度/所定外労働の制限/時間単位年給
Real Voice
新居麻衣子さん
(2016 年入社)
横浜市には、家を購入したことがきっ かけで、引っ越してきました。入社する きっかけは、子どものピアノ教室の近く で見つけた募集広告。会社が家の近くで あるという立地や働く時間に魅力を感じ て応募しました。現在は、荷物の検品と 品出しを担当しています。具体的には、 会社に届く荷物の受け取りから、中身に 破損などがないかを検品し、担当営業の 方が納品先に持っていきやすいように袋 に詰めて仕分ける作業や、また、そのた めの在庫管理も行っています。仕事は 3 人の女性社員で担当。同世代ということ もあって連携はとても良いですし、仕事 のことだけではなく、子育てについての 相談や悩みなどプライベートの話もでき るため、一緒に働いていて楽しいですね。 また、3 人で休みをカバーし合えるのも、 良いところだと感じています。会社の制 度面はもちろんなのですが、急な子ども の病気や学校行事などをお互いに助け合 えることがワークライフバランスにつな がっているのかもしれません。
もう立派な女性活躍だと思います。
今後、女性社員には どのよ うな活躍を期待していますか ?
現在は営業社員のサポート業務が中心ですが、 今後はもっ と表に出るような働き方をしてくれる女性社員も現れてくれた らと考えています。 具体的には女性の営業職や、 いきなり営業 職は難しくても、 納品サポートでお客様先に商品を届ける役割 などをお任せできる人が増えたらうれしいですね。 また、 私か ら見て、 女性の強みはネットワーク構築力が高いこと。 口コミ などの情報共有力、 発信力は、 男性にはないものですよね。そ うした強みを生かして、 新商品の開発なんかをお願いできる 人が現れたらいいですね。 とはいえ、 現状ではまだ難しいです し、 社員が望む働き方やキャリアはいろいろあっていいと思っ ています。それでも、 企業にとって、 一番大切なのは 「人」 なの で、 その 「人」 に対するサポートはこれからも強めていきたいと 思います。そうそう、当社では 「読書感想文手当て」 というも のがあり、 本を読んで読書感想文を書いたら、 わずかですが手 当てがつく制度も作りました。お客様が学校ということもある のですが、 社員に単なるキャリアップではなく、 「内面のキャリ アアップ」 を期待しているのです。 そして、 その結果、お客様 から 「この人から買いたい」 と思ってもらえるような社員が一 人でも増えたら。 結局、 私たちのような中小企業こそ、 人の教 育に力を入れ、 人で差別化することが重要なんだと思います。
一つずつ増やしたら、
知識やスキルを
出産や育児で働けなかった女性が、
最後に、 これからの「女性の活躍支援」 に ついてお聞かせく ださい。
まず、女性活躍という言葉があまり良くないですよね。活 躍しない社員なんて、いませんから。できることが一つでも 増えたら、それはもう成長です。さらに、出産や子育てで働 けなかった女性が、社会に出て自分の知識やスキルを少しず つ増やしていく。 もう、 それだけで十分な活躍ではないでしょ うか。大企業に入ってプロジェクトチームのマネージャーに なって働くことだけが活躍ではありません。家族との関係も あり、その働き方を選ばない方もいます。つまり、それぞれ の立場や能力、価値観に合う仕事を、その人にマッチングさ せることこそが支援。そのために会社がすべきことは必要な 環境を整え、居場所をつくることです。また、行政に対して 思うことは、雇用に関する大きな成功事例だけでなく、たと え小さな事例であっても紹介してほしい。それが結果的に社 会の活性化にもつながると思います。人は誰でも何かしらの 才能がある。それを活かすことで、社会をより良くすること ができますし、さらに男女が協力することではじめて社会を 動かすことができると思っています。
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- 小売
株式会社
代表取締役社長 白鳥公彦さん
ダ ッ ドウ ェイ
「お父さんの子育てをも っ と面白 く、楽し く したい」と い う想いから平成 4 年に創業。まだ父親の育児参加と い う考え方が浸透 していない時代から、ベビー用品や玩具、アウ ト ドア用品な どの販売を通じて、男性の育児参加を積極的に促している株式会 社ダ ッ ドウ ェイ様。現在、社員数は 302 名。そのう ち 238 名が女性社員です。今回は、多く の女性社員が働く会社の代表取 締役社長であり、 男性に子育ての醍醐味を伝える白鳥公彦さんに、 女性の採用から考える経営観についてお話しいただきま した。
いつぐらいから 女性採用に力を入れ始めたのですか ?
正直にお話しますが、これまで女性採用に力を入れたこと もなければ、 特別な意識を持ったこともありません。 もともと、 夫婦で始めた事業だったので、男性、女性を分けて考えたこ とがなかったのです。起業当初から知り合いなどを通じて女 性社員が在籍していましたから。はじめは近所の主婦だった 方に手伝ってもらう形でスタート。その後、 修理担当として、 また近所の主婦の方が入社。次に私のアウトドア仲間だった 女性が加わりました。むしろ、男性は私一人でしたね。その 後、義妹の紹介で、ようやく営業担当として男性が入社しま した。現在も女性が圧倒的に多く、特に直営店の販売員は、 ほぼ全員が女性です。20 代から 60 代まで幅広い年代の方 が働いています。本社でも男女半々くらい。物流センターも 商品をきめ細かく丁寧に梱包することを付加価値としている ので、女性が多く活躍されています。商品特性から自然と女 性が多くなっていると思いますね。
幅広い年代の女性を採用するこ と で 経営への効果はありますか ?
たくさんあります。その中でも、一番は心強さだと思いま す。若手から見れば、年配の方は人生の先輩。出産や子育 て等、いろいろ経験しているので、これから結婚や出産を迎 える女性にとって、 仕事面や家庭面で参考になります。今は、 出産しても産休後に復帰することが当たり前の時代です。復 帰後に活躍する先輩の姿を間近で見ることで、仕事面など の不安は少なくなっていると思います。気軽に相談もできま すから。経験者である先輩からの「大丈夫」という一言は、 重みが違います。また、マネージャークラスのポジションに も女性がいるのですが、男女の視点の違いを感じますね。男 性では気づかない細かい指摘をしてくれます。今日も朝の会 議で、私たちが気づかなかったことを女性マネージャーがズ バッと言ってくれました。男性は変に気を遣ったり、上を立 てたりするので。もともと、男女だからと言って評価に差を つけていないのですが、鋭い指摘をしてくれるのは、女性社 員のほうが多く感じます。
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- ⃝所在地:横浜市港北区新横浜 2-15-12 ⃝従業員数:303 人 ⃝業種: ベビー用品等の企画、開発、輸入、製造、販売 ⃝女性支援制度:1 時間から取得できる有給休暇/ファミリーサポート休暇など
Real Voice
(2005 年入社)
関友里さん
以前は、別の会社のコールセンターで 働いていました。しかし、3 人の子供を 授かり、子供を保育園に毎朝送った後 で電車に乗って通勤することがしんどく なってきたのです。そこで、電車に乗ら ずに通勤できる新横浜駅周辺で転職先 を探し、当社と出会いました。今でこそ、 メンバー 11 人を抱えるマネージャーとし て働いていますが、入社当時はこんなに バリバリ働き続けるなんて思ってもいま せんでした。それでも社長や副社長であ る社長の奥様が、家庭との両立をケアし つつも責任ある仕事をどんどん任せてく れて、 私自身もどんどん仕事が面白くなっ てきたのです。会社自体がものすごい勢 いで成長していく様子を見ていたことも、 このまま働き続けたいと思った要因の一 つかもしれません。4 人目の子供を出産 した時は迷わず復職。当然、仕事を離れ る不安はありましたが、社長も副社長も メンバーも全員、出産を喜び、復職時は あたたかく迎えてくれました。実は、今 年私は産業カウンセラーの資格を取得し ました。女性社員の多い職場です。今後 も私なりの形で少しでも彼女たちの力に なることができればと考えています。
1番に考える。それが
つながっていく。
女性社員をサポー トする上で 気をつけているこ とはありますか ?
これも女性に限った話ではありませんが、 創業時からその人 の本質を見て評価するようにしています。 その人の長所は何か。 好奇心を持って観察しています。加えて、 今、 何をしたいか、 こ れから何をしたいか、 ということを聞きます。 本人の意思をでき る限り尊重したほうが、 圧倒的に効率的ですから。 生き生きと仕 事をしてくれますし、 周りにも良い影響を与え、 良い相乗効果 が生まれます。 また、 同じ社員でも調子の波はある。長い人生、 山も谷もあるでしょう。 社員一人ひとりに寄り添っていくことが 必要だと思います。 ただ、 気をつけなければいけないのが、 この 一人ひとりに対する柔軟な対応がフェアではないと受け取る社 員もいるということ。 たとえば、 子育てを経験していない社員か らすると、 子育て中の社員に対して 「なぜ彼らばかり優遇される の?」 という声も上がります。 そこで社員数が増えた現在は、会 社の制度としてきちんと明記するようになってきました。 とはい え、 制度が使いづらいものになっては意味がありません。 社員の 意見を取り入れながら、 たとえば有給休暇は1時間から取得で きるようにしています。 また子育てや介護があると急に休まなけ ればならないこともあります。 家族を応援する特別休暇として 「ファミリーサポート休暇」 を導入しました。 すべては、 社員とそ の家族の幸福の最大化を目指すために取り組んでいます。
働きやすい会社作りに
社員と家族の幸せを
女性社員が多い会社の経営者と して、 「女性 の活躍支援」についてお聞かせく ださい。
雇用を確保するためには、女性が活躍しやすい制度が必 要不可欠です。つまり、経営者自身の考え方を変える必要が あります。ただ、いくら一社が頑張っても、今度はその会社 にしわ寄せがきてしまう。だから、日本全体の文化を変えて いく必要があるのではないでしょうか。女性が活躍できる働 き方の制度だけではなく、家事や子育て、余暇の使い方。一 番は、男性の意識かもしれません。そこを高めていくような 改革を国でやらなければならないと思います。時間はかかる でしょう。誰もが幸せな働き方を実現するために、少しずつ 風穴を開けていくしかありません。もちろん、何十時間残業 してでも、 仕事を一生懸命したいという人もいます。そういっ た人たちも満足するような制度でもある必要があります。長 い人生設計の中で、幸せな働き方をその時々のステージに合 わせてマネジメントしていく。私自身も社員の人生を考えた 上で何ができるか。まだわからない部分も多いですが、少し ずつ取り組んでいくつもりです。
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- 不動産
株式会社
代表取締役 鎌田友和さん
WAKUWAKU
「いま までにないワクワクを ! 」をテーマに、2013 年に創業した株式会社和久環組 (現 : 株式会社WAKUWAKU) 。 「中古購入 + リ ノ ベーショ ン」で自分ら しい暮ら し方を、資金計画から不動産購入、リ ノ ベーショ ンの空間設計、施工、イ ンテ リ ア提案、専用住宅ローン、アフ ターサービ スまでワンス ト ッ プで実現。 「日本住を、愉快に ! 」 、 「QOL (Quality of life)を最大化する ! 」をテーマにお客様一人ひ と りのラ イ フスタイ ルに 合わせた住まいづく り をサポー ト しています。さ らに、全国のお客様にご提供するために、国内最大級のリ ノベーショ ン・プラ ッ ト フ ォー ム 「リ ノベ 不動産全国ネッ ト ワーク」 を展開。 北海道から沖縄まで全国 38 都道府県170 拠点 (2018 年 2月時点) に拡大中です。現在、 社員は 50 名。 その 約半数が女性です。今回は業界に新風を吹き込む代表取締役の鎌田友和さんに、女性の雇用や今後のビジョ ンについて語っ ていただき ま した。
まずは、女性社員の雇用を 始めたきっかけを教えて く ださい。
創業時から雇用に関する男女を意識したことはありません。 当社のリノベーションコーディネーターも60%超は女性です。 一般的にこれまで建物自体の立地や部屋数、面積、また最近 は設備など機能面に関するスペックが魅力の尺度と言われる事 が多く、 営業は旧態依然の 「もの売り」 になってしまいがちです。 すると、 自ずと労働時間の長時間化やそれに伴うフィジカル的 なタフさが求められ、 男性社員が増える傾向にあります。 しかし、 当社ではコーディネーターがお客様の自分らしいライフスタイ ル、 理想の暮らし方についてヒアリングし、 ゼロからリノベー ションをして、機能性だけではなく空間デザインも含めて思い 描いているライフスタイルを実現するため、お客様への共感力 が求められます。 そして、 この共感力の感性は、 やはり女性の方 が高い。 結果、 当社では女性社員が多くなっているのではない でしょうか。 そもそも、 私自身が起業を考える際、 「ワクワク」 と いう魅力的な言葉と出会い、 「お客様にワクワクできる価値を提 供する会社をつくろう」 と志しました。 事業者側の効率が優先さ れる日本の不動産・住宅業界に風穴を開け、人々の暮らしの質 を高める QOL (Quality of Life) 産業として事業を拡大したいと 考えたのです。こうした創業時の想いも通常の不動産会社・建 築会社とは一線を画す社員構成比の理由かも知れません。 43
女性社員の活躍を よ り具体的に教えていただけますか ?
たとえば、現在最も実績を挙げているコーディネーターも 女性です。ちなみに、 その女性社員をはじめ、 当社のコーディ ネーターのほとんどが業界未経験者。アパレル業界や自動車 ディーラー、アクセサリーのバイヤーなど、他業界の出身者 をあえて採用しています。その理由は、業界の固定概念にと らわれず、自分たち発信で新しいサービスや価値を生み出し ていきたいからです。また、コーディネーター以外の職種で も女性が活躍しています。住まいづくりでは女性が主導権を 握ることが多いため、設計部門でも女性目線の細やかな気配 りやアイデアは喜ばれています。それから当社では活躍場所 だけでなく、働き方ももっと自在に広げられればと考え、試 行錯誤中です。オフィスに毎日出社する必要はないですし、 集中したい作業などは自宅や自分の好きなカフェなどで行っ ても良いのではと考えています。さらに、正社員という形に もこだわっていません。実際、マーケティング部門で活躍し ている女性社員はパートタイム社員。自分の仕事を自分で管 理でき、成果を出すことができるプロフェッショナルでさえ あれば、社員の働き方はもっと自由で柔軟なものにできると 考えています。
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- ⃝所在地:横浜市神奈川区鶴屋町 1-1-2 INUYAMA BLDG. 1・2 階 ⃝従業員数:80 人 ⃝事業内容: I T×リアルを融合した中古住宅プラ ッ トフ ォーム事業/国内最大級リ ノベーショ ンブランド 「リノベ不動産」運営/国内最大級オシャレ建材 EC サイト「HAGS- ハグス」運営/リ ノベーション WEB メディア「& Reno」運営/ 「住」に特化した写真共有サイト「fully」 運営/業界特化型マーケティ ングオートメーション「Custmer now!」開発・運営 ⃝女性支援制度:39 制度/出産休暇制度/育児短時間勤務制度/育児休業制度
Real Voice
(2016 年入社)
内田朋美さん
新卒からずっとアパレル業界。大手企業 からベンチャー企業の立ち上げまで、 10年間 で様々な経験をさせてもらったこともあり、 次はアパレル業界とは異なる業界に挑戦し たいという思いで転職活動をしていました。 人材会社から当社を紹介された時は、 「正直、 もうベンチャー企業は…」という思いもあり ましたが、 社長の “ワクワク” に対する熱い 思いや “熱狂して働く” という姿勢に惹かれ、 入社を決めました。やはり私自身、楽しく全 力で働ける会社が好きなんでしょうね(笑) 。 現在は、コーディネーターとして日々お客様 と向き合っています。もちろん営業として結 果を出すことも大切ですが、お客様との関係 性をつく り、一緒になって住まいを完成させ るプロセスが一番楽しいですね。その結果、 1年目からトップセールスを達成できたこと は大きな自信になりました。 また、 この会社の 大きな魅力は仲間たち。 それぞれが熱い思い や目標を持って働いている環境は心地よく、 本当に自分らしくいさせてくれる場所です。 今後はマネージャーへの挑戦も視野に入れ、 私自身ももっと成長し続けていきたいと思い ます。最後に、転職を考えている皆さんへ。 自分自身が楽しく働く姿を想像し、新しい一 歩を踏み出すことをおすすめします。ワクワ ク、キラキラと働く日々は充実していますよ。
いずれは世界に発信したい。
では、女性社員の活躍が 職場全体に与える影響はありますか ?
まず、社内がとても明るくなりますね。やはり女性には男 性には発揮できない華がありますから。加えて、女性を採用 することでマネジメントに対する意識が大きく変わると思い ます。 男性は上司と部下という縦の関係を重視しがちですし、 「背中を見せる」というようなコミュニケーションの取り方も 男性ならではです。一方、女性をマネジメントするには「納 得」や「共感」をつくる必要があると思います。さらに、女 性は「良いものは良い、悪いものは悪い」と自分の思ってい ることを遠慮せずはっきりと伝えてくれますからね(笑) 。そ ういう意味では、女性の多い職場というのは、上司のマネジ メント能力が鍛えられる職場と言えるかもしれません。 また、 上司だけではなく、私たち経営者も鍛えられます。彼女たち がきちんと共感できるようなサービスを生み出しているか、 経営を行っているか。ごまかしのきかない環境は、経営者や 会社を強くしてくれると思います。
全国に循環させ、
横浜発の「ワクワク」を
共感力の高い女性社員たちとともに、
最後に、今後の目標や ビジョ ンを教えて く ださい。
社内に目を向けると、男女関係なく、もっと社員のライフ スタイルに合わせたサポート体制を充実させていきたいです ね。当社には若い社員が多いということもあり、出産などの ライフイベントを迎える社員はまだ少ないですが、これから 生まれてくる状況ひとつ一つに対して当社らしいサポートを 考え、実践していきたいと考えています。ちなみに最近、産 休に入る社員に 3 万 9 千円分のオムツを贈る「39 制度」と いう制度をつくりました。社員全員からの「Thank you」の 感謝の気持ちを込めています。また、社外に対しては、当社 は不動産業でも、建設業でもなく、ワクワクを創造するサー ビスを提供する QOL 産業だと考えているため、住まいだけ ではなく、ライフスタイルのあらゆる分野において新しい価 値を発信し続けていきたいと思います。それも、横浜という 大好きで、大切な場所から。日本の暮らしをもっと自由に、 もっと自分らしくするために、いままでにないワクワクを創 造し、いずれは日本・横浜発の「WAKUWAKU」として、 世界中に発信していきたいですね。
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- 飲食
株式会社
代表取締役社長 林兼正さん
萬珍樓
明治 25 年に創業。125 年続く広東料理の老舗と し て横浜中華街で営業し ている株式会社萬珍樓様。ひと きわ目を引 く純中 華風の建物が異国情緒を漂わせ、日本国内はも ちろん、世界中のお客様から愛されている。現在、従業員は社員 137 名、ア ルバイ ト108 名。そのう ち女性従業員は 114 名です。今回は、代表取締役社長を務める林兼正さんに、どのよ うに女性の魅力 を引き出し、働きやすく活躍しやすい環境を整えているかについて語っ ていただきま した。
はじめに、飲食業界の女性採用の 状況についてお聞かせく ださい。
飲食業は女性が活躍している業界というイメージをお持ち だと思いますが、実際その通りだと思います。ただし、女性 だから必ず活躍できる業界というわけではなく、やはり、そ の人の頑張りや能力次第です。ちなみに私たち萬珍樓の場 合、これまで性別、年齢、国籍などで評価を変えたことはあ りません。ずっと実力主義です。また、採用では社員一人ひ とりが何を大切にしているかということを確認します。たと えば、夜は家族との時間を過ごしたいという希望があれば、 早番だけお願いする。調理もホールも事務も警備も、その人 の能力と希望に合った働きをしてもらう。そこで実力が高い 人を評価し、上長に抜擢するようにしています。ただ、私が いう実力が高いというのは、スーパーマンのような何でも一 人でできる人ではありません。周りの人間と調和できる人。 コミュニケーション能力が高く、人を動かすのが上手い人で す。部下を育て、自分の代わりをやってもらえるような指導 ができると、 お店や部署全体の質が向上しますからね。逆に、 上長が休むと質が下がってしまうような仕事をされては困り ます。そういう人にはよく「早く下を育てないと管理職とし ては足りないよ」とプレッシャーをかけています(笑) 。
御社ではどのよ うな女性が、 どのよ うに活躍しているのですか ?
萬珍樓では、厨房長も人事課長も女性です。抜擢した理 由は先ほどからお話しているように能力が高いから。男性と 女性の特性だと思いますが、具体的に言うと女性は多角的に 物事を見ることができ、同時にいくつもの作業ができます。 たとえば、ホールマネージャーであれば、視野が広く、どの お客様にも絶えず気配りができないといけません。女性はお 客様の顔を見て、お茶がほしいのか、水がほしいのか、観 察し、すぐに察することができる。それが男性だとお得意様 だけを気にしてしまい、周りに気づかないことがある。別に 男性が劣っているという話ではなく、 適材適所だと思います。 男性は集中力を高めて一つの物事に取り組む能力が高い人 が多いので、そういう場所で力を発揮してもらうほうが、本 人としてもお店としても良いですよね。人事も同じです。面 接し、人を採用するということは、分析力が問われます。女 性は、冷静にどこで働いてもらうと効果的なのか判断できる んです。世の中では「もっと女性の活躍推進を」などと言わ れていますが、何をいまさらと言った感じです(笑) 。会社 の経営層が女性の魅力を引き出すことができれば、すぐにで も活躍の場はたくさん用意できると思います。
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- ⃝所在地:横浜市中区山下町 156 ⃝従業員数:社員 114 人 アルバイト 98 人(女性従業員 119 人) ⃝業種:飲食業 ⃝女性支援制度:出産休暇制度/育児短時間勤務制度/育児休業制度/看護休暇制度
Real Voice
(2008 年入社)
家村美樹さん
萬珍樓に入社する前は、東京の企業で 人事や労務の仕事に携わっていました。 当時、横須賀の実家から 2 時間近くかけ て通勤していたのですが、もう少し近く で働くことができたらと思い始め、横浜 を中心に転職先を探していました。萬珍 樓に決めたのは、面接の時にお会いした 女性役員の方がすごく素敵だったから。 昔、食事に来たことがあり、良い印象を 持っていたことも大きいと思います。現 在は、母として子供を育てながら、人事 ・ 労務課の課長を務めさせていただいてい ます。じつは一度、自分の中だけで仕事 と育児の両方を抱え込み過ぎてしまい、 悩んでいた時期がありました。その時に 社長に相談したら、 「気づいてあげられな くてごめんね。子供はみんなで育てるも のだから。あなたが一人で抱え込まずに すむよう、みんなで考えよう」と言って くださったのです。本当にうれしかった ですし、気持ちがすっと楽になりました。 今後は人事・労務のプロとして、萬珍樓 をもっと誰もが働きやすい、働きたくなる 場所にしたい。 そのためにも私自身ももっ と勉強し、この会社に、そして社長に恩 返しできればと考えています。
幸せになる場所に。
女性従業員をサポー トする上で 気をつけているこ とはありますか ?
私は、セクハラとパワハラを絶対に許しません。これは、 何か制度を設けるというより前に重要なことです。徹底的に なくさなければ、女性が活躍できる職場づくりなんてできま せんよ。これは断言できます。以前、忘年会の時期に、酔っ 払ったお客様がお帰りになる際に、受付の女性社員にセクハ ラをしたことがあったんです。ちょうど私もいたので、何が あったのかすぐに聞きました。お客様は悪気もなく、まだ良 い調子でいたので、冗談じゃないと思いました。ただ、一番 問題だと思ったのは、ホールマネージャーがすぐに対応しな かったこと。あえてホール中に聞こえるほど大きな声で、 「部 下を守れないなら支配人を辞めろ」と叱りました。彼女だけ でなく、働いている社員、お客様にも伝えたかったのです。 接客業とはいえ、嫌なことは断る。上司は部下を守る。会社 は全社員の幸せを考え、徹底的に守る、という当たり前のこ とを。また、萬珍樓には社長直結の意見ボックスも設置して います。気になったことは誰でも私に意見できます。社員が さまざまなことに我慢しながら働かなければならないような 会社に未来はありませんからね。
社員全員が
社員の魅力を引き出し、
会社は経営者のものではない。
最後に、従業員が働きやすい 環境づく りについてお聞かせく ださい。
じつは、 2002年に火事で萬珍樓本店が焼失したとき、 再建を 止めようかと考えました。賃貸ビルを建設して家賃収入を得な がら暮らせばいいと本気で思っていました (笑) 。 ですが、 アメリ カやインド、 中国と世界中からお見舞い金が次々と届くんです。 以前、 ご利用していただいたお客様が「大丈夫ですか」 「思い出 のお店の復活、 待っています」 と。 中には給与明細入りの見舞金 を置いていく人までいました (笑) 。 そのとき、 気づいたんです。 萬珍樓は、 私のものではない。 ここは、 もう、 お客様のものなん だと。 また、 閉店してしまうと、 働いていた社員たちも新たに仕 事を探さないといけなくなる。 だから、 ここはお客様のものであ り、 社員のものでもある。 すぐに再建しようと思いました。 そし て、 それからはこれまで以上にお客様のアンケートを大切にす るようになりましたね。 日々、 ご意見をいただき、 その度に問題点 を改善していく。 さらに、 お客様の満足を支えている社員の声に も耳を傾け、 もっと働きやすい環境をつくるために、食堂を作っ たり、 仮眠所を作ったり。 そうすることで、 お客様だけでなく、 社 員の居心地も良くなります。女性はもちろん、 すべての社員が 働きやすく、 活躍しやすい場所になっていく。 それこそが、 私の 目指す萬珍樓の姿です。まだまだ改善点はありますが、萬珍樓 がもっと笑顔であふれる場所になるようにしていきたいですね。 46
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- サービス
株式会社
代表取締役 増田信夫さん
(ミ ック) MIC
創業 1986 年の株式会社 MIC (ミ ック)様。代表取締役を務める増田信夫さんが前職でのコンサルテ ィ ング経験を活かし、 ガソ リ ンスタン ドの集客企画の立案・支援からスター ト した会社です。現在では、こ う した業務に加え、自社でもガソ リ ンスタン ドを軸に整備やレンタカーサービス も提供する トータルカーショ ッ プ拠点 「ニコニコステーショ ン」の運営を展開し ています。社員 は 267 名で、そのう ち女性の正社員は 110 名。非正規雇用社員を含める と 7 割以上が女性です。今回は代表取締役の増田信 夫さんに、女性社員の採用や活躍、様々 な働き方に対する取り組みについてお話を伺いま した。
女性社員の採用を 始めた経緯は?
独立当初から私以外の社員は、前職でも私の部下であっ た女性リーダーや私の妻など女性ばかりでした。また、パー トを雇うにしても、 当時は妻の知り合いの主婦の方々が中心。 創業時から女性に囲まれた会社だったため、女性社員の採 用に関してほとんど意識したことはありませんね。ただ、都 内どころか横浜市の中心からも少し離れた住宅地の会社で は、女性の働き手は貴重な存在です。とくに、結婚など家庭 の事情でビジネスの最前線から遠ざかってしまっている優秀 な女性は今も昔も少なからずいます。当社はそういう女性社 員に支えられ、今日まで成長してこられたと言っても過言で はありません。そもそも私の採用に関するモットーは、仕事 があるから人を採用するのではなく、良い人を採用するから 仕事が生まれるというもの。さらに、私自身が大企業の歯車 となり、自分の気持ちに嘘をついて定年まで働きたくないと 思い独立しました。 だから、 働くことを楽しいと思え、 仕事を 通じて自己実現ができ、人としての喜びを感じられる集団を つくることに共感する方々に働いてほしいと考えています。
男性社員、女性社員 それぞれの魅力はなんですか ?
たとえば、ガソリンスタンドで働く整備士はまだまだ男性 が多いのが現状です。しかし、店頭での販売業務は女性の コミュニケーション力が生かされていて、とくにシングルマ ザーの活躍はめざましいものがあります。自分の腕一本で子 どもとの生活を支えようと頑張る姿勢が、結果にも現れてい ると思います。また、女性の強みとして感じるのは、決めた ことをきっちりとやり切る真面目さです。一方で、男性の場 合、女性よりも働き方の融通が利く社員が多く、長距離の出 張が可能といった強みがあります。それぞれの長所や得意な ことを活かすことができる会社にしたいですね。また現在、 当社では「どこにもないガソリンスタンドをつくろう」とい う目標を掲げ、 「ニコニコステーション」といった新たな業 務形態を開発し、5店舗の直営店を展開しています。一般 的なガソリンスタンドの店長の数段上をいく収入、 やりがい、 社会的なプレステージを整えてあげたいですね。
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- ページ: 49
- ⃝所在地:横浜市都筑区仲町台 1-27-20 プラザ仲町台 ⃝従業員数:360 人 ⃝業種: サービスステーション運営/コンサルティング ⃝女性支援制度:チャイルド・ケア・スキーム/出産休暇制度 育児短時間勤務制度/育児休業制度/看護休暇制度
Real Voice
(1998 年入社)
藤原咲恵さん
前職では宝石の商品企画や販売促進を 担当。その経験を活かせる職場を探して いる最中に、MIC と出会いました。入社 して感じたのは、とても風通しの良い会 社だということ。自分の意見やアイデア を言いやすく、上司や社長とも話しやす い会社です。現在の仕事は、お客様であ るガソリンスタンドが当社の「ニコニコ レンタカーサービス」を導入するための 支援全般。各種ツールの納品や研修の手 配、ホームページの制作などにも携わっ ています。日々の仕事で実感しているの は、お客様の役に立てた時のやりがいで す。先日も、とあるガソリンスタンドで、 お正月に実施する企画を提案したのです が、お客様から「10 年目だね。今年もよ ろしく」と言っていただけた時はうれし かったですね。また現在、私には子ども が 1 人おり、 「チャイルド・ケア・スキー ム(CCS) 」を利用中です。残業もなく、 仕事と家庭の両立も比較的できていると 思います。ガソリンスタンドは現在、過 渡期。 今後、 様々な変化があると思います。 しかし、その変化を前向きに捉えて会社 と一緒に成長していきたい。ぜひ、私た ちと一緒に盛り上げていきましょう。
自分たちの会社で証明したい。
女性社員のサポー ト体制について 教えて く ださい。
当社では、子育て中の社員を支援する「チャイルド ・ ケア ・ スキーム (CCS) 」 という制度を 2007 年から導入しています。 これは午前 9 時から午後6時までの間であれば、自分の都合 に応じて 6 時間以上の勤務時間をどこにでも設定できるとい う制度です。加えて、 この制度の利用中は「残業をするのも、 させるのも絶対に NG」という強いルールも合わせて用意し ました。その結果、この制度を利用する女性社員以外の社員 の残業時間も少なくなりました。これまでは上司が「帰って いいよ」と言っても帰りづらい空気がどこかあったんでしょ うね。 社員は早く帰れるようになったし、 会社は残業代が減っ たし、この制度を設けたことで会社の収益は大きく上がりま した。さらに、この制度の利用期間を小学 6 年生まで伸ば したり、子どもの保育園料の半額を会社が負担したり、現場 の声を聞きながら女性社員の働く環境を日々進化させていま す。せっかく仕事を覚えてくれた社員が結婚や出産で辞めて しまっては、会社にとっても大きな損失ですからね。
元気ということを
働き続けるから
元気だから働き続けるのではなく
最後に、世の中の「女性の活躍支援」に 関して どうお考えですか ?
正直、いまさらという感じもしています。むしろ、 「男性 同様に女性が活躍することをどう受け止めていいかわからな い」という古いタイプの男性の意識の方が問題として浮き彫 りになるかもしれません。また、定年という考え方も見直し が必要でしょう。男女ともに働き続けるようになって、 「定 年後」 「老後」というものとの向き合い方も改める必要があ ります。ちなみに、当社の定年は 65 歳。その後は再雇用と して働いてくれる社員も多くいます。が、私個人の考えとし て、定年というものをなくしたい。それは決して元気なうち はずっと働けということではなく、働いているから元気なの だということです。そういう意味では、できるだけ長く働く ことができる環境をつくっていきたいですね。さらに、子ど もをもつ社員が利用できる社内の保育園も作りたい。どこか ら手をつければいいのかわからない状況ですが、行政にサ ポートしていただける仕組みができてくると、職場環境がよ り改善していくのではないでしょうか。
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- Inter view
女性従業員イ ンタ ビ ュ ー
女性活躍推進を実感して働く
建設 p.51-52
製造 p.53-54
株式会社キクシマ
岩井の胡麻油株式会社
製造 p.55-56
製造 p.57-58
株式会社荏原精密
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山陽印刷株式会社
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- ページ: 51
- IT
p.59-60
IT
p.61-62
ゾーホージャパン株式会社
ボッシュエンジニアリング株式会社
専門サービス p.63-64
医療 p.65-66
株式会社大山会計
医療法人社団ゆうあい会
サービス p.67-68
サービス p.69-70
株式会社旅コレクション
日総ブレイン株式会社
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- 建設
人と街と女性が輝く未来を育む企業
株式会社
キク シマ
仕事はもっと楽しくなる! 限界を決めずにチ ャ レンジすると
キクシマに入社した理由と 正社員になった経緯を教えてください。
「息子が 5 歳になり、育児もひと段落したところで社会復帰したい と思いました。そこでハローワークに通い、キクシマの求人を見つけ ました。週3回、10 時から 16 時までという無理のない勤務体制と、 マイカー通勤が可能で、通勤時間が 10 分という近さが決め手となり、 息子を保育園に預け、パートを始めました。 入社して 1 年半後に正社員への打診をもらいました。仕事がとても 楽しく、もっとやりたいと思っていたことに加え、息子が小学校に入 学するタイミングで正社員になりました。最初は鉄工部の事務職に配 属に。鉄工部は私以外全員男性。父親くらいの年齢の人もいて、家 族のように温かい環境でした。その中で、徐々に自分が頼りになる存 在だと思ってもらえることが嬉しく、張り切って働いていました」
正社員に採用されたきっかけは?
「パソコンを駆使して、受注管理業務や社員の日報などのシステム を構築し、効率をアップさせたことが評価されました。効率のよいシ ステムを自分から『作りたい』と声を上げ、常務と相談しながら進め たのですが、当時はパソコンに詳しくなかったので、本を読みながら 独学で習得しました」
新たなことにチャレンジするのは 大変だったと思います。 その原動力となったのは?
「当社には、できるできないに関係なく、やる気のある人にチャンス を与えてくれる風土があることでしょうか。例えば、総務部の中途入 社組は全員、事務は未経験者です。 また、今まで総務部だった社員が鉄工部への異動を希望し、今度 異動するのですが、彼女もゼロからのスタートです。当社がそういう 未経験の人を受け入れ、後押しをしてくれるのは、本人の “やりたい” と思う気持ちが、大きく飛躍する可能性を秘めていると考えているか らです。経験や資格のあるなしに関係なく会社は応援してくれます」
総務部の人数と、 仕事内容を教えてください。
「総務部は現在 8 人で、全員女性。ワーキングマザーが 3 人で、 後は全員 20 代です。総務の業務は、経理や人事、建設工事の入札 の管理、広報活動、社員旅行などの社内イベントの企画運営など多 岐に渡ります。ユニークな仕事は、広報活動の一環として『キクシマ ライフスタイル マガジン』という冊子を年 4 回発行していること。 内容は会社のメッセージや社員へのインタビュー、当社が手掛けた 住宅の紹介など。総務の若手が編集長になり、構成や取材、執筆を 何人かで担当しています。女性目線で会社の良さを再発見し、発信 するツールだと自負しています。 私は、これら全ての業務の統括と管理をしています。あとは採用面 接や人事考課などにも携わっています」
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- ⃝所在地:横浜市港南区港南台 4-39-7(本社) ⃝従業員数:69 人 ⃝業種 :総合建設業(注文住宅建築、幼稚園、保育園および公共施設等の建築、 集合住宅、商業施設建築、鉄骨製作等) ⃝女性支援制度: 女性の管理職登用を実施/事務職から技術職への転換/全職 種に対し、積極的な女性登用/女性活躍セミナー、その他外部セミナーへの参 加/育児中社員の学校行事への参加の促進/男女の賃金格差の解消
1964 年、横浜市港南区に鉄骨加工業を創業した「株式会社 キクシマ」 。その後、総合建設業として、注文住宅や集合住宅、 商業施設、教育・福祉施設の建築などを手掛け、 「グッドデザ イン賞」や「神奈川建築コンクール」など数多くの賞を受賞。 さらに社会貢献活動として、横浜のまちづくりにかかわる “ ス トリートファニチャーデザインコンテスト ” や、地元の環境保 全のための養蜂活動などにも取り組んでいます。
Message
現職に就いてから改革されたことはありますか?
「システムの構築の他に、社内の資格制度を作るなど、さまざまな制度がスムーズ に運営できるよう実行に移してきました。当社の総務は女性の立場に立って作り上げ た、いわゆる建設会社らしくない視点を持った部署だと感じています。 日々の業務では、幅広い業務に抜けがないよう、ひとつひとつの作業を詳細に書い た用紙を各人に渡し、月に1回のミーティングで経過報告をしてもらっています。業 務は個人の資質に合わせて割り振りますが、仕事内容は頻繁にシャッフルします。す ると、本人が向いてないと思っていた業務が実は向いていることを発見したり、彼女 たちもアイデアをどんどん出すようになってくれるんです。そういうやる気を見せてく れるのが、自分のことのようにうれしいです」
社長メッセージ
代表取締役社長 菊嶋秀生さん 当社は総合建設業ですが、これからは生 活創造産業として、ライフスタイルそのもの を提案できる企業でありたいと思っていま す。それには、お客様と建築家との信頼関 係を育み、家を建てたその先の展開を考え たり、当社の姿勢を外に発信する人材が必 要不可欠。そのような人材を求めていると、 自然と女性の採用が増えるようになりまし た。社会の変化とともに、企業も変わるこ とが求められます。女性が活躍する企業は、 社内の活性化だけでなく、時代の変化に対 応する力がつき、さらに飛躍していくのでは ないでしょうか。今後取り入れたい女性活 躍のための制度は、テレワークや企業内保 育所です。保育所は、中小の一企業が行う のは難しいですが、地域の企業が連携して 運営するなど、協力しあって課題解決をし ていきたいですね。 また、パートの女性が何人かでひとつの チームを作り、 営業業務等を行うプランも模 索中です。会社に縛られることなく、自分の 能力や経験を生かせる制度なら、いっそう 幅広い世代の採用が見込めるでしょう。社 会との接点を持ち続けて活躍し、輝き続け る女性が横浜に増えることを願っています。
入社 19 年目 総務部 マネージャー
兼本有紀子さん
1994 年、長男の出産時に勤めていた貿易 会社を退社。1999 年、株式会社キクシマ 総務部に週 3 日のパー トタイマーとして入社 します。1 年半後に正社員になり、鉄工部事 務職に配属。2004 年総務部主任、2006 年 総務部係長、2010 年から現職に。 第一線で活躍しながら長男を育て上げ、 現在は実母の介護もしている兼本さん。仕 事への情熱や、モチベーションを保ち続け る理由を聞きました。
ご家族の協力体制はいかがですか?
「私の両親と同居しているので、息子が小さいうちはずいぶん面倒を見てもらいまし た。また、会社の皆さんも、息子の学校行事があるたびに快く送り出してくれて、あ りがたかったです。当時は今ほどワーキングマザーを支援する企業は多くなく、周囲 のママ友からもうらやましがられました。私が楽しく働き続けられるのは、家族の助け と会社の理解があってこそだと思っています。 息子は現在社会人 2 年生。彼が就職活動をしていた頃から、働くことの楽しさや厳 しさを、自分の経験を踏まえて話し合う機会が増えました。息子とこういう話ができ るのは、喜びを感じる瞬間ですね。今は母の体調が優れないので、父と交代で介護を しています。子育ても介護も、家族一丸となって取り組むのは自然な流れだと思って います」
point
我が社のイチオシポイント
皆でくつろぐ休憩スペース
ランチを食べたり休憩したりと、ゆっく りと 過ごすスペースは、家具や内装から BGM の セレク トまで総務部の女性社員が担当しまし た。仕事にもプライベートにも役立つ本も置 きました。大きな窓からは緑も見えてリフレッ シュできます。
管理職を目指す女性にメッセージを。
「自分の限界を決めず、何事もチャレンジしてみることで、可能性は広がります。毎 日仕事を楽しく、やりがいを持って取り組むことが大切なのではないでしょうか。その ひとつひとつは小さいことですが、それが積み重なり、何年もたって大きな結果をも たらすのではないかと思います」
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革新的な経営手腕で “伝統” に新しい風を吹き込む企業
岩井の胡麻油 株式会社
﹁横浜の味﹂作りに情熱を注ぐ
さまざまな職業を経て、 現在の職に就いた経緯を教えてください。
「新卒でアパレルメーカーに就職した時は、 まだ将来の確たるビジョ ンを持っていませんでした。3 年勤めて、この先の自分の姿に想像を めぐらせた時、 手に職をつけたいという思いが芽生え、 ヘアメークアッ プアーティストの道に。独立し、10 年続けてきてハードな仕事である ことを痛感。この先もずっとフリーでやっていくのは並大抵のことで はないと感じていました。 そんな時、社長である父から、当社で 40 年勤務した総務の女性が 辞めることになったので、後任を務めてくれないか、と持ちかけられ ました。デスクワークは未経験でゼロからのスタートでしたが、家業 ならきっと頑張れると思い、入社を決意しました」
仕事と育児をしなやかに両立し
仕事内容はどのようなものですか?
「広報宣伝活動は社長が担っていました。しかし、今まで以上に家 庭用ごま油のターゲット層である女性に共感してもらいたい、という 狙いもあり私が担当することに。まずはたくさんの方に商品を知って いただこうと、全国の百貨店やスーパーマーケットに出向き、試食販 売を始めました。試食は、当社のごま油の特徴である “ 香りとコク ” を一番引き立たせてくれる『ごま油をたらした鶏ガラスープ』 。そのお いしさを味わってもらったうえで、添加物を使わずに作る、こだわり の製法をアピールしました。さらに、ごま油やラー油を最後まで使い きれない、という消費者の声に応えるため、ごま油・ラー油・ねりご まを使った料理のイラストを自ら書き、レシピを添えたリーフレッ トを 作成。お客様に配付しました。主婦だけでなく、 若い人や男性からも、 多彩な食べ方を知って料理の幅が広がった、と好評でした」
今年 5 月に、新商品 「横濱ぶぶあられ」の 販売を開始しました。開発のきっかけは?
「神奈川県の国際文化観光局から、県が主導するクラウドソーシン グ活用型の新商品開発支援事業への参加を打診されたことです。こ の事業のメリットは、1 万人を超す生活者と企業を結ぶ共創プラット フォームを利用し、 生活者の意見を取り入れながら商品が作れること。 2020 年のオリンピック開催に向けて、国内外から横浜を来訪した方 が買い求める観光みやげを作りたい、 と考えて、開発に着手しました。 商品は、横浜の老舗『美濃屋あられ製造本舗』とコラボ。社長の小 森健太郎さんは地産地消活動を積極的に行い、地元ならではの商品 開発を進めていました。2011 年からは、 「横浜胡麻油おかき」と「横 浜胡麻担担」を製品化してくれた経緯がありました。今回も、多彩な アイデアを持つ小森社長とならいいものができると思い、協力をお願 いしました」
開発する う えで大変だったこ とは?
「商品を開発するのが初めてだったので、大変なことの連続でした。 『手軽に食べられて、子どものおやつになるものを』という会員の意 見を取り入れ、ごま油の味わいが楽しめる、小粒状のお茶漬け用あら れにすることを思いつきましたが、試作しても失敗ばかり。そこで美 濃屋あられの小森社長に相談して、ごま油にねりごまを加え、しょう ゆ味にすることで、しっかりと風味の効いたおいしいあられができま した。 また、ぶぶあられを入れる缶を決めるのにもひと苦労。型から作る と割高になるので、既存の型で最適なものを探し回りました。限られ た時間のなかで、情報を集め、アイデアを絞りだし、子どもからお年 寄りまで、さまざまなシーンで手軽に食べられる、お土産にぴったり の商品が完成しました」
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- ⃝所在地:横浜市神奈川区橋本町 2-1-26 ⃝従業員数:31 人 (2018 年取材時時点) ⃝業種:植物油脂および副産物の製造ならびに加工 (食用ごま油、油粕、健康補助食品) ⃝女性支援制度:産休・育休制度/短時間勤務制度
1857 年、千葉県佐倉市で菜種・落花生・ごまなどの搾油業を創業。1893 年、 横浜市神奈川区御殿町に搾油工場設立。何度かの社名変更を経て、1970 年、岩 井の胡麻油株式会社とする。2005 年、本社・工場を横浜市神奈川区橋本町に移 転。ごま・ごま油を通して、 「食の安全、安心」 「健康で美味しく、高品質な商 品」を提供し、食文化の向上に貢献することを基本理念とする。2009 年、横浜 型地域貢献企業認定。2014 年、 モンドセレクション金賞 3 年連続受賞。2016 年、 ISO22000 認証取得(ごま油、調合油、ラー油の設計・開発、製造および配送) 。
Message
社長メッセージ
今回の新商品開発で得られた効果は?
「私にとって、 今回の開発は広報宣伝活動の一環です。 『横濱ぶぶあられ』 をきっかけ にして、当社のごま油のおいしさを、より多くの方に知っていただけたらうれしいです。 また、開発する上でクラウドソーシングを運営する会社の担当者から受けたアドバ イスで印象に残ったのが、 『キッチンにあるごま油を、卓上に持ってくるイメージで商 品を作っては』というもの。それを聞き、料理に使う調味料ではなく、家族みんなが 手に取る商品を作ることで、当社のごま油の可能性はもっと広がるんだ、と目からウロ コが落ちる思いでした。そういう意味でも、この商品を開発したことで、新たな道が 開けたのではないかと思っています」
入社 9 年目 営業部 宣伝・広報 マネジャー
岩井理恵子さん
大学卒業後、アパレルメーカーで販売職に 従事。3 年後、ヘアメイクを目指し退社。美 容免許取得後、ブライダルヘアメイクのアシ スタントを経て独立し、フリーで活動。2010 年に家業の「岩井の胡麻油」に宣伝広報担当 として入社。2018 年から現職。 子育てと両立しながら新商品の開発を手掛 けるなど、精力的に働く岩井さんに、仕事に かける熱意をうかがいました。
※インタビュー内容は 2018 年取材時時点のもの
プライベートでは、2 歳になるお子さんのママの顔も。 産休・育休前後の働き方について教えてください。
「2015年11月から産休をとり、 12月に出産しました。 産前は、 配達などの力仕事を控 える以外は、 普段と変わらない業務を行っていました。 出産後は産休・育休を取得し、 2016年10月に復帰しました。職場復帰してから現在まで、時短勤務で働いています」
女性 活躍推進に力を入れたきっかけは、 2006 年。 家庭用ごま油の販路拡大のため、 女性 の営業職を採用したことです。元々、 業務用と 家庭用のセールスの両方を男性営業マンが担っ ていました。 ところが、 彼らは業務用の大口契約 を次々と決めてくる一方、 家庭用ごま油のセー ルスではクロージングに導くのが苦手でした。 家庭用ごま油を売るためには、百貨店やスー パーマーケットのバイヤーと密にコミュニケー ションをとり、きめ細かなフォローが欠かせませ ん。 これは女性の方が向いているのでは、 と考え、 採用に至りました。 実際に働いてもらうと、コミュニケーション能 力に長けているだけでなく、きちんと戦略を立 てて商談するなど、即戦力になってくれて業績 もアップ。この実績が、女性社員がほとんどい なかった、ごま油の製造・加工業界に風穴をあ けることになりました。 当社が掲げている 「企業経営の指針」 の中に、 「守・破・離(しゅはり) 」という言葉があります。 これは、 『伝統を守りなさい。そして、 伝統を守っ て理解したならば打ち破りなさい。その後、本 来のところから離れて新しいことにチャレンジし なさい』という意味です。私が社長に就任した 2005年、 当社にとって必要な言葉であると思い、 選びました。 現在、 社員 31人中、 11人が女性。 職種も営業 職から生産ラインでの業務など多岐に渡りま す。 その内、 女性管理職は4人。 「守 ・破・離」 の精 神で採用した女性たちが、 新しい風を吹き込み、 ますます飛躍してくれることを期待しています。
代表取締役社長 岩井徹太郎さん
point
我が社のイチオシポイント
みなとみらいの絶景が楽しめる屋上
みなとみらいの観光地を一望できる工場の 屋上が当社のイチオシスポッ トです。 神奈川台 場跡地近くで、以前は造船所のあった場所で す。 今は高層マンションが立ち並ぶ高級住宅地 になりました。 みなとみらい、 横浜ベイブリッジ、 横浜マリンタワー、横浜赤レンガ倉庫など、横 浜の名所を一望できるお気に入りの場所です。
育児と仕事を両立する う えで、重視しているこ とは?
「育児と仕事に集中することです。限られた時間と体力を有効に使うために、余計な ことをしない、欲張らない、頑張りすぎないようにしています。生活をルーティン化す ることで、日々の負担がだいぶ軽くなりました。家事はほどほどにして、元気な状態 で仕事や子育てをするのが、自分にとって大切なことです」
これからの目標や展望をお聞かせく ださい。
「当社のごま油を使って、 横浜の良さを生かした、 ご当地グルメ料理を作りたいと思っ ています。皆さんに、 『横浜と言えばこれだよね』と言ってもらえるものになればいい ですね。現在、横浜産の食材を使った飲食店や生産者の方々と一緒にイベントなどを しているのですが、そこで培ったネットワークを大切にして、夢の実現に向けて駆け 抜けていきます」
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価値ある企業を目指して未来に向けて輝き続ける
株式会社
荏原精密
仕事も育児も成長していきたい 挑戦して努力を重ねてパワーアップ
仕事内容について教えて下さい。
「所属は IT 推進事業室。当社の工場における工程の進捗や納期、 原価などを数値化し、 一元管理することで、 現場の業務を可視化させ、 さらなる改善につなげるための業務を行っています。具体的には、市 販の生産管理システムを運用する上で当社の業務にフィッ トさせてい く作業や、エクセルマクロを使い、パソコンに詳しくない社員でも簡 単にデータが出せるようプログラミングしています。 IT 推進事業室は 2014 年にできた新しい部署。上長と私の 2 人で、 これらの業務をイチから立ち上げました」
新しい業務を構築する上で苦労した点は?
「大学時代にパソコンの勉強はしていましたが、システムに関して はゼロからのスタート。そのためスクールに通ったり、上司に教えて もらいながら仕事を進めましたが、 はじめは壁にぶつかることが多かっ たです。 ただ、常に “ こういうものを作りたい ” と目標を持ちながら挑戦し ていたので、くじけることなく前向きに作業に取り組み、乗り越える ことができました。また、周囲も私の前向きな気持ちを応援して認め、 フォローしてくれたことも大きかったです。その分、できあがったとき の喜びは大きいものでした」
新たなシステムを運用させた効果は?
「作業工程や納期管理を“ 見える化 ”したことで、 皆の認識が変わり、 現場の作業効率がアップしました。また、原価管理などもシビアに数 値化ができるようになったため、経営会議の精度が上がったと評価さ れました。 さらに作業効率を上げるため、IT 推進事業室のアイデアで工場内 にデジタルサイネージを設置。納期までに製品を仕上げる件数がリア ルタイムで表示され、ゴールが目に見えるようになったことで計画的 に作業することが可能になりました。 これからも作業効率を上げ、皆が働きやすいよう問題点などを把握 し、アイデアを形にしていきたいです」
産休・育休前後の 働き方について教えてください。
「上の子を出産したのが 2015 年。当時、就業規則に産休・育休制 度はありましたが、女性社員は皆、すでに子どものいる人ばかりだっ たため、私が取得第一号となりました。出産前まで出荷梱包作業をし ていたので、重いものを持つときは男性に手伝ってもらうなど、負担 を軽くしてもらいました。 2015 年 4 月に IT 推進事業室に異動。その年の 9 月に産休・育 休を取得し 2016 年 4 月に職場復帰。その後、第二子出産に向けて 2017 年 12 月から産休に入り、2018 年 2 月に出産。2019 年の 4 月 に復帰予定です。 現在は、 スムーズに職場復帰できるよう、 社内で導入しているグルー プウェアでスケジュールや社内ニュースなどを自宅でチェックするほ か、上長などから会社の情報を送ってもらっています。また、月に1 ~ 2 回は出社し、 上長とミーティングをしたり作業をすることも。ずっ と休んでいるよりも、会社の状況を常に把握している方が安心できる んです」
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- ⃝所在地:横浜市港北区箕輪町 2-19-6 ⃝スタッフ数:26 人 ⃝業種 :精密プレス部品、 精密板金、 絞り加工部品、 切削部品、 試作部品、 プレス金型設計および製作、 治工具設計および製作(航空部品、 船舶部品、 自動車部品など内装金属部分) 、I Tシステム(プロダクト)設計・開発 ⃝女性支援制度:育児休業制度/看護休暇/介護休暇/時差出勤 短時間正社員制度/時間単位有休制度/テレワーク制度
1972 年、東京都大田区荏原町に荏原精密金型工業所を創立。1978 年、横浜市港北区箕輪町に工場を移転。1986 年に株式会社荏原精密 に社名変更。2012 年に新工場竣工。 2014 年、 IT 推進事業室設置。 「尊 重と信頼」 「気付きと想像(創造) 」 「プラス思考と 『楽しもう』 」を基本 理念とし、生産活動およびサービスを通し、社会満足、顧客満足、従 業員満足を実現する、 「価値ある企業」 を目指す。2015 年、 「横浜型地域 貢献企業」として認定。
Message
社長メッセージ
代表取締役 中島 一 郎さん
育児が大変な中で、 仕事へのモチベーショ ンを保つ秘訣は?
「私にとって仕事は、常に挑戦できる場所。挑戦して、時には失敗して、それでも 努力を重ねて成功に導く。取り組んできたことが形になっていくのは、やりがいにつ ながっています。また、仕事は自分で計画を立てて努力すれば、必ずゴールに到達す ることができる。そこもモチベーションを保てる理由のひとつです。子育てとの両立は 大変ですが、そんなやりがいがあるからこそ、仕事への情熱が絶えることはないです」
入社 6 年目 IT 推進事業室
清水悠さん
2013 年、 新卒で入社。業務課(現営業課) で出荷梱包作業を担当。2015 年から現職に。 プライベートでは 2015 年に結婚。現在は第 2 子の育児休業中です。2019 年春の職場復 帰に向けて、 すでに準備を進めている彼女に、 仕事にかける情熱について聞きました。
仕事と 育児を両立する上で重視している こ とはあ り ますか ?
「職場と自宅が近いので、通勤時間がかからないことは大きいですね。終業後、会 社から保育園に迎えに行き、家に帰るまで短時間だと子どもに負担をかけなくてすみ ますし、触れ合う時間も長くとれます。さらに実家も自宅のすぐ近くにあるので、子ど もが熱を出したときなどは母にお願いすることも。夫もこまめに手伝ってくれるので助 かります。仕事をするうえで、職住近接の環境と家族の協力は欠かせませんね」
女性活躍の推進に力を入れたのは、 今から15 年ほど前。 製造の現場で働いていた女性のスキ ルが高く、 パートから正社員にステッ プアッ プした 後も頑張り続ける姿を見たからです。女性の能 力をもっと生かせる職場にしたい、 という気持ち が高まりました。製造業は男性社会であり、 女性 は男性の補助的な業務につくことが一般的です。 なんとかその溝を埋め、女性も現場に出るのが 当たり前、 という考えを浸透させたい。 そのため、 女性が働きやすい環境作りに取り組みました。 まず、6年前の新工場の竣工にあたり、安全 面に配慮した機械の導入やエレベーターの設置 など、ハード面を強化しました。ソフト面では、 子育て中の女性が働きやすいよう、短時間正社 員制度を導入。始業・終業時間を個人の都合で 決められるので、子どもの保育園の送り迎えや、 学校の始業や帰宅時間などに合わせられると好 評。女性が正社員で働くことをあきらめず、仕 事も子育ても充実した毎日を送ってほしい、とい う思いを形にできました。 また、社内で女性活躍を進めるには、現場の 声を吸いあげてくれる社員の存在も欠かせませ ん。彼らがこまめに情報を収集して問題提起を するからこそ、より社員に優しい制度を作り上 げることができます。 そのようにイニシアチブを 取ってくれる人材を育てることも大切でしょう。 製造業は、日本の発展を支えた礎のひとつで あり、 世界に誇れる技術を持っています。ここに、 女性が活躍するフィールドはたくさんあります。 働きやすい環境を整える製造業も増えつつある と思います。だから、 どんどんチャレンジをして、 働くことを楽しんで下さい。
point
我が社のイチオシポイント
社員の似顔絵が描かれた “ ワーキングレギュレーション ”
当社の “ワーキングレギュレーション”(就 業規則)は、表紙に社員の似顔絵が描かれ、 挿絵つきの冊子にまとめられた、ユニークなも の。社員の皆の 優しさや温かな 雰囲気がにじみ でるようなデザ インで、見るた びに心がなごみ ます。規則内容 も、従業員目線 でわかりやすく 書かれていて親 しみがもてます。
これからの目標や展望をお聞かせください。
「IT 推進事業室を、社内になくてはならない事業にしていきたいと思っています。現 在は製造業がメインで、IT 推進事業室はそのサポート役。ですが、将来的にはシス テムの開発なども行い、事業化できるよう努力していきたいです」
育児と仕事を両立させて働きたいと 願う女性にメッセージを。
「両立は大変ですが、仕事は楽しいものですし、子育ての他に新しい生きがいがで きる場でもあります。仕事をしていると、どんどん成長できるしパワーアップしていけ ます。それを肌で感じることで、もっと輝く自分になることができるのではないでしょ うか。臆せず飛び込んで、自分がどんな風に輝けるか、チャレンジすることが大切な のでは、と思います」
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メディアミックスを武器に豊かな創造力を伝える企業
山陽印刷 株式会社
現在の仕事内容について教えてください。
「入社 4 年目から既存のクライアントへの提案型営業を行っていま す。当社はポスターやチラシ、会社案内などの商業印刷を請け負って いますが、企画・デザインを特に重視し、デザイン、編集、製版、印 刷、 製本まで社内一貫体制で行うのが特徴。 営業はクライアントのニー ズを把握し、集客や販売促進につなげるためにさまざまなツールを駆 使して提案し、デザイナーなどと協力して実現に導きます。クライア ントの思いにマッチしたアイデアを生み出していくのが、この仕事の だいご味のひとつです」
2つの仕事で明日をきりひらく
営業とアートディレクター
どのようなチームで仕事を進めるのですか?
「案件によってチーム編成は変わります。ひとつひとつが個別のプロ ジェクトとして動くので、常に誰に依頼するか適性を考えていますね。 生産管理部(デザインチーム) やライターなどに仕事を振り分けた後、 打ち合わせを経て制作に入ります。 営業は指揮をとるのが仕事ですが、 場合によっては動画撮影でのインタビュアーなどを担当することも。 アイデアを出したり、 制作に関わったりと、 多彩な役割が求められます」
案件を成功に導くために大切なことは?
「最近は、制作したデータをメールで送ったりとスピーディーに仕 事が回せる分、クライアントとのコミュニケーションが希薄になる場 合があります。そんな時、気をつけなければいけないのが、クライア ントと営業やデザイナーとの間に起こりがちな、制作物に対する “ 認 識のずれ ” です。営業は “ ずれ ” が起きないよう、両者の橋渡し役と して双方としっかり話し合うことが大切になります。 でも、時には “ ずれ ” がなかなか解消できないことも。実は以前、 そのような経験があり、上司に立ち会ってもらおうと相談したんです。 その時、上司から『自分で解決しなさい』とアドバイスを受けました。 上司が代わりに問題を解決したら、私はクライアントから “ ダメな人 ” という烙印を押されるだけ。だからこそ逃げずに、自らの力で解決す るのが大事、と。 以来、どんな時でも最善を尽くし、クライアントの期待以上のもの を提供できるよう全力で取り組んでいます」
今年で 6 回目を迎えた 「会社まるごとギャラリー」の特徴は?
「アーティ ス トが独自の感性で、 インク缶や不織布、 切断紙など工場か ら出た廃材を使って作るアート作品の展示です。 しかもそれを社内の会 議室やフ リースペースに展示するこ とで、 美術館とはひと味違った、 産業 団地ならではの特性を生かした展覧会になっていると自負しています。 ワークショップ活動も魅力。 カメラマンと金沢区の工場を撮影したり、 廃材でミサンガを作ったりと、産業団地ならではのロケーションや人、 技術を体感できると、 参加者に好評です。 新しい発想を求めて、 アート 作品やワークショップは毎年違うアーティストに依頼していることも特 徴。 さらに2015年からは規模を拡大し、 地域の企業や大学とも連携し て開催。廃材とアートの化学反応を来場者に楽しんでもらっています」
「アーテ ィストネッ トワーク+コンパス」の デ ィ レクターになったきっかけは?
「 『アーティストネッ トワーク+コンパス』は、アーティストと地域社 会をつなぐことを目的に、展覧会やワークショップを開催しています。 これは、当社が 1994 年から行っている芸術文化支援(メセナ活動) を発展させたもの。私は 2012 年の発足当時から関わっています。美 術大学出身で、学生時代は学芸員を目指して展覧会の企画や美術批 評を学んでいた経験を買われて、ディレクターに選ばれました。 最初の活動として、2012 年 12 月にアーティストの田中清隆さんと コラボして、親子ワークショップを開催。たくさんの来場者に恵まれ、 成功を収めました。 そこで翌年から、 田中さんがプロデューサーとなり、 当社を会場にして “ ものづく り ” の楽しさを知ってもらう『会社まるご とギャラリー』が始まりました」
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- ⃝所在地:横浜市金沢区福浦 2-1-13 ⃝従業員数:61 人 ⃝業種:出版、印刷物の企画、編集、デザイン、製造、 販売及びマルチメディア開発、販売 ⃝女性支援制度:育児休業/キャリアアップのための外部セミナーサポート制度
1948 年、横浜市南区に創業。1976 年、知識集約型産業化の ため、デザイン部門を新設。1990 年、横浜市金沢区福浦に新工 場を建設し、全面移転。若年アーティストの発掘、育成を目的と するアーティストネットワーク設置。“ 「伝える」 という技術 ” を 核にして、従来のオフセット印刷を基盤に、Web や動画コンテ ンツを拡大展開する。2013 年、 「横浜型地域貢献企業」に認定。
Message
社長メッセージ
周囲の反応や効果はいかがですか ?
「地域の来場者がアート鑑賞やワークショップを体験することで、“ ものづくり ” の企 業の新たな魅力を発見していただいていると思います。また、数年前の開催時はアー ト作品を作った美大生が、今は大学助手となり、この展覧会に参加する美大生を指導 するケースも。そんな風に成長した姿を見られることがうれしいです。 でも、 一番喜んでいるのは、当社の社員や協力企業の方々かもしれません。 自分たち が廃材として捨てたものが、 アート作品という宝物に生まれ変わる。 そこに、 みな心をつ かまれているようです。 また、 各社の経営陣の皆様から、 アート作品を展示することで、 社員とのコミュニケーションがより円滑になった、 という喜びの声もいただいています。 そもそも当社の社長や会長が、アーティストと関わり合う中で、いいデザインが生ま れる会社にしたいという思いもあり、始めた活動です。私がディレクションすることで、 自分たちの仕事の “ その先 ” が見えてくるような展覧会になればと考えています」
入社 21 年目 営業部 課長代理
湯浅佳子さん
1998 年、新卒で入社。営業部に所属し、 新規企業の開拓を 3 年務めた後、ルート営業 を担当。2014 年から現職。 営業職のかたわら、2012 年から山陽印刷 株式会社が中心となり運営する「アーティス トネットワーク + コンパス」のディレクターと して、展覧会などの企画と運営に従事。営業 とアートディレクターという両輪を回し、生 き生きと輝く秘訣を聞きました。
当社は、 正社員61人のうち、 女性は15人。 女性が全体の 25%を占めています。私が代 表取締役社長になった 20 年前から、女性社 員は、デザインチームをはじめ、印刷や製本 といった現場の作業にも従事し、出産後の復 職もスムーズに行われてきました。 その理由は、どの仕事も、女性ならではの 感性や細やかさが必要とされているからでは ないでしょうか。 例えば営業職は、 お客様の一歩先まで考え を巡らせる配慮と、 厳しい消費者目線を持ち合 わせていること、 さらに印刷物のデザインを提 案するセンスの良さが求められます。 これらの 資質にかなう人材を選ぶと、 自然と女性が増え ていき、 現在は6人の女性が従事しています。 また、2012 年・2013 年と、商工会議所な どと連携し、地元和菓子店とコラボして、和 菓子の開発に取り組みました。その時は、当 社の女性社員がパッケージデザインやネーミ ング、和菓子作りのアイデア出しを担当。地 域に愛される銘菓が出来上がりました。 出産などで離職し、働くことにブランクが あると、再就職が難しいのでは、と考える女 性が多いと聞きます。でも、それは本人がそ う思い込んでいるだけであって、社会も企業 も女性たちに期待しています。子育てや家事 などを経験している女性はタスク処理能力な ども高く、社会で能力を発揮できる人材です。 活躍を応援しています。
代表取締役会長 秋山桂子さん
営業とデ ィ レクターの仕事、 それぞれの目標についてお聞かせください。
「ディレクターの仕事に関しては、 『会社まるごとギャラリー』を 2020 年まで継続す ることが決まっているので、まずはそれに注力して成功させることが目標です。その 後も近隣企業との絆やアーティストなどと築いた人脈を生かし、面白い企画を考えて いきたいです。 営業としては、動画撮影の仕事など、新しい販促ツールに関する勉強を常に行って、 どんどんチャンスをつかめるようにしたいです」
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我が社のイチオシポイント
多目的に楽しむ社内 BAR
会社が現在地に移転した 20 年前は、周辺 に飲食店がなかったため、仕事終わりに一杯 飲める憩いの場を、と先々代社長が作った社 内 BAR。 「会社まるごとギャラリー」の開催時 はアート作品を展示し、来場者に開放してい ます。今年は、フラワーデザイナー・五十嵐 道子さんの作品を展示。華やかなフラワーア レンジで、訪れる人を楽しませてくれました。
社内での今後の展望は?
「後輩たちが働きやすい職場を作りたいですね。困っていることを集約し、改善する 提案を出すなど、後輩たちの役に立つ存在でありたいです。 営業もディレクターも、どちらの仕事も会社の将来を見据え、自分なりのアイデア を発揮することで、さらなる飛躍を目指していきます」
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- IT
信頼と感謝の心を持ち主体的に “ 価値 ” を創造する
ゾーホージャパン 株式会社
現在の仕事内容と チームの人数について教えてください。
「営業支援部で、営業が受注した後の案件業務を行っています。具 体的には、納品書や請求書の作成と送付、更新案件の見積もり対応 や問い合わせ対応、 ライセンス販売時の発行業務などです。私がチー ムリーダーで、他に女性は 4 人。正社員が 2 人、パートタイマーが 2 人。4 人とも 40 代です」
仕事も育児も充実した日々を
仲間や家族と協力しあって
リーダーとして工夫している点は?
「4 人中 3 人がワーキングマザーなので、子どもの急病などで休む ことがよくあります。そのときは、仕事に支障がでないよう、スタッフ 全員が見られる業務管理アプリを作り、活用しています。 案件を受注するとメンバーが自ら動き、 作業開始。 『作業中』 『対応 済み』 『チェック済み』 などの進捗を登録できるので、アプリを見れば、 どこまで作業が進んでいるか分かります。 誰かが休むと、 他のスタッフ がアプリをチェックして作業を引き継ぎます。私が特別指示しなくて も、皆で仕事の割り振りや引き継ぎをしてくれるので効率がいいです」
上司の指示がなく ても、部下が 主体的に働くのは素晴らしいですね。
「主体的に働くのは当社の理念に基づく行動なんです。この理念は 社員みんなで作り上げました。私が入社した頃の当社は、 『ザ・日本 企業』という感じ。現在の全社員の平均残業時間は月に約 12 時間で すが、当時は深夜まで働くこともよくありました。 会社が変わったのは、2011 年に現社長が就任してからです。さま ざまな改革をしましたが、最初に行ったのが企業理念の構築。始業 前や終業後に社員が集まり、8 ヵ月ほどかけて作りました。そのとき 考えたのが、会社が進化していくための核となり、社員の指針になる ような言葉にしたい、ということ。そして生まれたのが、現在の理念 である『人の役に立ち、人と喜びを分かちあう』です」
2 人のお子さんの出産後は、 ご主人と交代で育児休暇を取得されたとか。 どのように連携をとったのですか?
「長男の出産時は、 2013年4 月から産休をとり、 5月に出産。 その後 育休に入り、 翌年の 4 月から職場復帰しました。4 月は保育園入園に向 けた 『慣らし保育』 期間だったので、 夫が育休を取り 、 面倒を見てくれま した。次男の出産時は、 長男の時には導入されていなかった『テレワー ク制度』 を利用しました。 2017年11月が予定日だったので、 9 月から実 家に帰り、 テレワークをスタート。 出産2週間前まで働きました。 その頃 夫は横浜で長男と生活。夫の母にもサポー トをお願いしました。 自宅で のテレワークという形で仕事復帰したのは 2018年4 月。その月は次男 の 『慣らし保育』 期間だったので、 また夫が 1ヶ月の育休を取りました」
『テレワーク制度』 を利用している期間、 同じ部署の人とのコミュニケーションは どのようにとったのですか?
「基本的にはチャ ッ トでのやりとり。 ただ、 『繁忙期だからピリピリ してい るかな』 という時は、 用件の前に一言 『今大丈夫?』 と声をかけるようにし ました。 また、 混み入った内容の時は電話をして、 意見が行き違うことが ないようにしました。 週に1 回の会議はパソコンから参加していました」
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- ⃝所在地:横浜市西区みなとみらい 3-6-1 みなとみらいセンタービル 13 階 ⃝従業員数:90 人 ⃝ 業 種 :オリジナルソフトウェア製 品 の 開 発・ 販 売・ 保 守サービス(Zoho Corporation Pvt. Ltd. <本社:インド タミル・ナドゥ州チェンナイ CEO: Sridhar Vembu>が開発 / 製造したネットワーク管理開発ツールや企業向け IT 運用管理ソフトウェア、企業向けクラウドサービスを日本市場に提供すると同時 に関連するサポート、コンサルティングなどを提供) ⃝女性支援制度:スーパーフレックス ・短時間勤務/自宅勤務 テ レワーク /ジョブリターン制度
2001 年、アメリカに本 社がある AdventNet Inc.の日本支社 として、日本法人アドベントネット株式会社を横浜に設立。2009 年に 本 社の社名変 更 (ZOHO Corporation) にともない、 社名 をゾーホージャパン株 式会社に変更。2011 年 ZOHOグループ の再編の結果、グループ本 社はインドに移 行、親会社は Zoho Corporation Pte.Ltd (シンガポール) に変更。企業の営業業務等 の運営や IT インフラストラクチャの運営管理の効率・生産性向上 のサポートをすべく、多種多彩な製品やサービスを提供しています。
Message
責任あるリーダーという仕事と 育児の両立は大変ではないですか?
「仕事に関しては、メンバーが皆しっかりしているので、大変ではないし、むしろ頼 もしいくらい。その分、私がメンバーの様子を常に見て、仕事の負荷がかかっていな いか、困っていることはないか、きめ細かくフォローしています。 育児は大変ですが、夫がとても協力的で、ご飯を作ってくれたり、子どもたちの面 倒も見てくれるので助かりますね」
社長メッセージ
代表取締役社長 迫洋 一 郎さん 当社には男性も女性も関係なく、能力の ある社員はたくさんいます。従来の縦割り 組織では埋もれてしまう人財にスポットを 充て、チャレンジできる環境を、と取り入れ たのが『カンパニー』 。これは製品単位で会 社を作り、営業職、技術職、マーケティン グ職、社長格であるカンパニーリーダーを 配置する横割りの仕組みです。予算を与え てカンパニーごとに自由に動くので、ひとり ひとりが主体的に戦略や戦術を考え、協力 し合うように。さらに仲間との絆が深まり、 社員の働きがいにもつながりました。 カンパニーリーダーにはもちろん女性も います。彼女たちの中には出産や育休を経 て、なおリーダーとして活躍する人も。育児 がキャリアのハンデにならないのは、働く場 所や時間に自由度を与える『スーパーフレッ クス制度』があるから。自宅勤務や介護、 出張時などフレキシブルに利用できるので、 女性だけでなく社員全員に優しい制度です。 少子高齢化が進むこれからの社会におい て、従来と同じ働き方では会社が成り立た ないし、個人も成り立たない時代になるで しょ う。 社員の働き方を変えるには、 まず社長 自らが考え方を変え、 働きかける。 そして、 信 頼と感謝の精神で社員一丸となって仕事に まい進する。それがしっかり出来れば会社 の業績にもつながっていくと思っています。
入社 10 年目 営業支援部 営業支援グループ リーダー
平良夏希さん
2008 年、新 卒で 入 社。Zoho 事 業 の製 品 担 当業 務 に 就 業。2011 年 から Manage Engine 事業の営業部で新規案件の受注や案 件管理業務を担当。2013 年から現職に。 プライベートでは、2011 年に社内結婚。 2013 年に長男を、2017 年に次男を出産。い ずれの時もご主人と交代して育児休業を取得 したという平良さん。 場所にとらわれないワー クスタイル「テレワーク制度」や「スーパー フレックス制度」を利用し、仕事、家事、育 児をフレキシブルにこなす秘訣を聞きました。
たい
ら
なつ
き
今は、 業務の時間、 場所の自由度の高い働き方が可能な 『スーパーフレックス制度』 も利用しているそうですね。
「はい。 今は標準勤務時間が8:30~16:30で、 1時間の時短勤務。 夫が朝、 子どもたちを保 育園に送り 、 私はお迎えを担当しています。 最近は長男が習い事を始めたので、 週1回はリ モー ト ワークをして付き添います。 どこで働くかや、 開始と終了時間、 休憩中などの報告は、 当日、 上司にメールやチャ ッ トで報告すれば OK。 また、 夫が自宅で仕事をする日もあります。 そんな日は、 子どもの保育園のお迎えとお世話をお願いして、 私は退社後に友人と食事に 行って息抜きをすることも。 ワークライフバランスが取りやすいのが当社のメ リ ッ トですね」
point
我が社のイチオシポイント
海が見えるワーキングスペース
社内はフリーアドレスなので、好きな席で 仕事ができますが、ここが一番お気に入り。 大きな窓から海やホテルなど、みなとみらい ならではの絶景が見られるので、気持ちよく 仕事ができます。
これからの展望などをお聞かせください。
「最近当社で導入し始めているのが、 『1on1(ワンオンワン)ミーティング』 。隔週に 1 回程度、部下と1対1で面談を行ってコミュニケーションをとり、部下の育成などに 役立てる仕組みです。このミーティングで問題点の洗い出しや課題を見つけ、個々の 成長や、チームがもっとよくなるために、どうしたらいいかを引き出したいです」
育児をしながらキャリア形成を目指す女性に アドバイスはありますか?
「とりあえず実践してみるといいかと思います。 やってみないと、 なにが困難なのかわ かりません。 もし壁にぶちあたったら一人で悩まずに、 仕事の仲間や上司に相談して乗 り越えればいい。 信頼する仲間と一緒だったら、 乗り越えられない壁はないと思います」
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- IT
性別 ・ 国籍 ・ 年齢を問わない“働きやすさ”を実現する企業
ボ ッ シ ュエンジニア リ ング 株式会社
この会社を選んだ決め手は?
「以前勤務していた企業では、表向きは女性の登用推進を謳いつつ も、女性の意見は聞き入れてもらえない環境でした。そのため、“ 女 性管理職 ” が本当に求められている会社で、仕事がしたいと思ってい ました。実際、採用面接時に『女性管理職を増やしたい』と明言いた だいたことが、入社を決める大きなポイントでした」
常に挑戦できる環境がある
女性が戦力として
女性管理職として入社した理由は?
「私の母は、結婚を機に仕事を辞めて後悔していました。 『一生働い たほうがいい』と言っていたので、自然と自分もそう考えるようになり ました。それでも、何がなんでも管理職になりたいとも思わず、せっ かく働くなら任せてもらえたほうがいいな、というくらい。管理職にな れば、もちろん責任は増えますが、仕事の幅が広がったり、自分の思 い描く進め方を任せてもらえる領域が増えます。そこに仕事の面白さ を感じるので、いろいろなことにチャレンジしたいと思っています」
入社前と入社後の印象はどうですか?
「2 年目になりますが、現在までミスマッチを感じたことはありませ ん。少人数の会社なので、女性管理職が次々に誕生することは難し いですが、常にチャンスがあると実感しています。入社後、社内の雰 囲気の良さに驚きました。外国籍の従業員が多いせいか、仕事上の シビアな意見交換も会議室の中だけで、引きずらないカルチャーがあ ります。そのため、誰もが提案しやすく、充実した会議ができます」
現在の仕事内容を教えてください。
「コントローラーの中でも、財務知識をバックグランドにもった管理 会計が専門です。経営陣向けに数字をベースにしたビジネスの判断 材料を提供しています。前職でも同じコントローラーでしたが、経営 陣が(売上なのか、営業利益なのか)どこの数字をポイントにしてい るのか、会社のカラーで異なります。その見極めに慣れるまでは、大 変でした」
今の働き方はどうですか?
「会社のルールはありますが、とても自由に働かせていただいていま す。所属部署の管理範囲が広く、今までのキャリア以外の仕事ができ る楽しさもあります。経験の乏しい分野は部長をはじめ、 皆様のサポー トをいただいている状況なので、サポートがなくても通常業務を回し ていけるようにすることが当面の目標です。現在、コアタイムのない フレックスタイム制度を活用しているので、ストレスのないタイムマ ネジメントもできています。2 年目になり、在宅勤務制度も活用でき るので併用していきたいと考えています」
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- ⃝所在地:横浜市西区みなとみらい 2-3-5 クイーンズタワーC 棟 18階 ⃝従業員数:52 人(女性従業員 11 人、外国籍 10 人) ⃝業種 :情報通信業<自動車メーカー、 エンジンメーカー、 二輪車およびレー シングカー向けのプロトタイプや量産プロジェクトの開発と適合業務を行うほ か、産業機械や鉄道など自動車分野以外への応用開発など、様々な分野でエ ンジニアリングサービスを提供、ならびにモータースポーツ製品の販売>
/在宅勤務制度 ⃝女性支援制度:フレックス制度(コアタイムなし) 時短勤務制度ほか
ドイツで 1999 年に創業したボッシュエンジニアリング GmbH の最初 の海外拠点として、 2006 年に設立。 自動車メーカー、 エンジンメーカー、 二輪車およびレーシングカー向けのプロトタイプや量産プロジェクトの 開発と適合業務を行うほか、産業機械や鉄道など自動車分野以外への 応用開発など、 様々な分野でエンジニアリングサービスを提供、 ならびに モータースポーツ製品の販売も行う。 創業当時からワーク ・ ライフ ・バラ ンスの重要性に着目し、 性別・国籍・年齢を問わず、 従業員の働きやす い環境を実現。2018 年に 「よこはまグッドバランス賞」 の特別賞を受賞。
Message
社長メッセージ
責任ある立場で働く ことに対し、 家族の反応はどうですか?
「親世代にとって、女性が管理職になれること自体が驚きのようで、先見の明がある 会社で『仕事にやりがいがあるのは良い事』と応援してくれています。また、主人の 家族はドイツに住んでいたことがあり、 ドイツでは 『ボッシュ』 の知名度が高いのですが、 そこで管理職をしていることに、主人の両親は私以上に喜んでくれました」
やなぎ ふ み
入社 2 年目 管理部マネージャー
柳 文さん
女性管理職のポジションとして、2018 年 に中途入社。現在 2 年目。管理部で経営管 理(コントローラー)を中心に、幅広く社内 の業務に携わっています。女性管理職につ いて、グローバルな環境での働き方につい て聞きました。
仕事上での挫折はありましたか?
「現職ではありません。そう思えるのは、以前勤務していた企業では女性に発言権 はなく、戦力外という扱いだったから。それでも女性の登用推進を掲げていたので、 疑問を感じながら働いていました。その経験があり、今、最もキャリア形成の中で充 実しています。会議でも的を射た女性の発言が多く、 有意義なディスカッションになり、 女性も戦力であることが分かります」
弊社は、1886 年にドイツで創業したボッ シュ社の電子制御システムをベースに、機 能開発やソフトウェア開発などを国内で提供 するエンジニアリングサービスを行っていま す。創業者のロバート ・ボッシュは「ワーク ・ ライフ ・ バランスは最も経済効果の高い施策」 という理念のもと、従業員の働きやすい環境 づくりを常に心がけていました。その理念を 受け継ぎ、女性だけでなく、男性も外国籍 従業員も、社員全員の働きやすさを考えて います。現在、在宅勤務制度の利用率は約 50%、フレックス制度と併せてフレキシブル で効率的な働き方が浸透しています。また、 外国籍従業員 10 人の出身国はほぼ全員異 なり、そのほとんどが英語を母国語としませ ん。そこで、誰もが疎外感なく働けるよう英 語を社内公用語に。多様な社員同士がコミュ ニケーションをとることで他者理解を深め、 さまざまなアイデアへと繋がっています。 現在、女性管理職は 2 人。女性活躍とい う名目で女性だけを “ 優遇 ” するのではなく、 全ての従業員が働きやすい環境をつくること により優秀な人材が活躍できる職場環境に したいと考えています。そうした中で、上を 目指す女性向けに、グループ会社の女性役 職者とのメンタリング制度を活用し、多角的 な視点で会社や組織を見られるロールモデ ルを育て、女性活躍推進に期待しています。 また、 男性だけでは考えが偏ってしまうので、 女性が活発に発言できる環境、その声が生 かされる組織にしていきたいです。
代表取締役 龍﨑浩太郎さん
point
我が社のイチオシポイント
フリースペース
フリードリンクが常備されたフリースペー スは、ワイ ドのガラス窓から臨むみなとみら いの景色が自慢。ランチをしたり、ブレイク をしたり、 社員全員が集まるコミュニケーショ ンスペースでもあります。
今後の目標を教えてください。
「弊社は、自分が望む以上に働きやすい環境が整っていました。それでも、自分なり に社内環境を効率化できるポイントが見えてきたので、実現できたらと考えています」
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- 専門 サービス
家族のような仲間と協力しあい未来の幸せを導く企業
株式会社
大山会計
お客様の熱意をサポート 積み上げてきたキャリアを生かして
税理士になろう と思った 理由を教えてください。
「私が大学生の頃は、世の中はバブル崩壊で景気が悪く、就職難の 時代でした。そこで手に職をつければ景気に左右されずに働けると思 い、税理士を目指して受験を始めました」
大山会計に入社した経緯は?
「新卒で就職してから 2 回転職をしましたが、いずれも勤務先は会 計事務所でした。当社は税理士だけでなく、社労士・SE・法務関係・ 保険関係の専門家がいます。そういうワンストップサービスができる 事務所に入りたいという希望があり、転職を決めました。社内にいろ いろな専門家がいることは、幅広いサービスを提供することもできま す。また、自分自身の勉強にもなるため、今の環境に満足しています」
働きながら試験勉強をするのは 大変ではないですか?
「私自身は転職後、仕事をメインにしていますので、なかなか勉強 する時間を取っていませんが、社内には何人も税理士資格取得を目 指している同僚がいて、会社帰りに学校へ通学している人もいます。 また、 異業種から転職した人も多く、 簿記の勉強をしている人もいます。 現在は、 資格の勉強だけでなく、 税制改正 ・ 経済動向 ・ 社会情勢など、 新しい情報を得なければいけないため、常にアンテナを張るように心 がけています」
業務部門別にチーム制度を設けていますが、 チームの人数やチーム制のメリ ッ トは?
「社内には監査部・OA 部・監査部の必要とする書類を作成する製 造部・総務部と部署が分かれていて、監査部は 3 グループあります。 年齢は 20 代~ 50 代とさまざま。各グループに会計のキャリアを積ん だベテランが何人もいて、 新入社員への指導や社内研修など、 フ ォロー 体制が整っています。チーム制のメリットは、週に1 回のグループ会 議でそれぞれが担当しているクライアントの課題などを報告しあい、 今後の対応を検討できるところ。 基本的に 1 社を 1 人で担当しますが、1 人では対応しきれない事を チームでフォローできるところがいいですね。このチーム制度は、当 社ならではのスタイルだと思います。リーダーは、私がクライアント への今後の経営計画のアドバイスについて悩んでいると、他の人が担 当している会社への帯同を勧めたりと、解決のヒントを具体的に示し てくれるので勉強になります」
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- ⃝所在地:横浜市港南区港南台 9-29-3 大山ビル ⃝従業員数:41 人 ⃝業種:会計事務所 ⃝女性支援制度:産休・育休制度/短時間勤務/再雇用制度など
1980 年横浜市港南区に開業し、2007 年に法人化した「株式会社 大山会計」 。 「いっしょに働く仲間と、その家族の幸せを追求する。 お客様の成長・発展を通じて豊かな社会を築く」を経営理念に掲げ、 税務 ・ 会計 ・ 経営のプロフェッショナルとして、 経理処理や税務申告、 経営コンサルティングなどを手がけます。また、金融機関から融資 を受けるのが難しい経営者のために「横浜中小企業再チャレンジ基 金」を設立。地元経営者をバックアップする活動も行っています。
Message
現在担当している会社の数は?
「私は 20 社ほどを担当しています。担当する企業の業種はさまざま。他業種を請け 負っているほうが、お客様への対応やアドバイスをする上でも役立つ部分があるし、 やりがいにもつながっています。好奇心旺盛なタイプなので、いろいろな会社を見ら れることが自分の中では楽しみでもあります」
社長メッセージ
代表取締役 大山哲さん 当社が女性の採用に力を入れてきたのは、 開業して間もなく、顧問として担当した企業 の女性社員たちが、責任感を持って積極的 に仕事に取り組んでいるのを目の当たりにし たから。当社にも女性の力を生かしたいと 思いました。 現在、女性社員はパートタイマーを入れ ると 22 人。 意欲があり前向きな人であれば、 専業主婦の期間が長く、キャリアにブラン クがあったとしても採用しています。そうい うプラス思考の持ち主は優秀な人材が多く、 会社の業績を上げるには欠かせない存在。 条件が合わないからといって、優秀な女性 を採用しないのはもったいないことです。 また、仕事へのモチベーションを高めて もらうためには、個人の事情を考慮すること が大切だと考えています。例えば育児休業 制度の他に、子どもの成長に応じて段階的 に勤務時間を増やしていく制度も設け、 女性 がフレキシブルに働けるようにしています。 こういうきめ細かい配慮をした結果、社 員の半数以上が勤続 10 年以上という定着 率の高さにつながりました。また、7 グルー プある部門のうち 4 人が女性のリーダー。 みな積極的に管理職の仕事に就いています。 共に働く社員を家族のように思い、幸せ を追求することで、一人一人が生き生きと 働けるよう全力を尽くしていきます。
働く上で目標にしている人はいますか?
「当社の社長のようなコンサルティングが出来る人になりたいと思っています。会計 事務所の仕事は、できあがった数字を報告するのが基本で、プラスして経営計画を示 すことが求められます。 社長はさらに、 お客様との会話の中から潜在的な力を引き出し、 その会社が目指すべき目標を見い出せる人。社長のコンサルを見て、この仕事は、数 字を報告するだけでなく、そこから未来を導き出す仕事だということを実感しました。 クライアントである経営者の皆さんは、頭の中に目指すべき姿をイメージしていま す。私は、そのイメージを数字に置き換え、分かりやすく示すことで業績をアップし、 未来を明るくするサポートをしていきたいです」
入社 4 年目 監査部
岡田温美さん
大学卒業後、会計事務所で働きながら試 験を受けている岡田さん。会計業務でのさ らなるステップアップを目指して 2 度の転 職後、2015 年、株式会社大山会計に入社 しました。 仕事に傾ける情熱と、これからの展望に ついて聞きました。
point
我が社のイチオシポイント
“ フィロソフィー ” を語る朝時間
これからの展望についてお聞かせください。
「これから起業する人を応援する仕事に力を入れたいです。起業したいけれど、何 をしたらいいか分からない人の話を聞き、新規開業の支援や会社設立に向けての諸手 続きまで行います。会計監査の実力がないとできない仕事で、やりがいがあります。 なにより、 これから何かをしたい、 と思っている人と接するのはとても楽しいです。“ 明 日のジョブズを探そう ” という気持ちで取り組んでいます」
当社の経営理念をベースに、日常業務に 落とし込んだ内容をテーマとし、34 の文章に まとめられている「フィロソフィー」 。朝礼時、 社員が持ち回りで、この内の1 つの言葉を取り あげ、その言葉に対する自分の思いや体験を 3 分間スピーチします。自分が発表する時は かなり緊張しますが、他の人たちの話を聞くこ とで、仕事に対する真摯な姿を知るとともに、 精神を落ち着かせてくれる大切な時間です。
仕事と勉強を両立している人に向けて メッセージを。
「なにごとも、好奇心を持って取り組むことが大切ではないでしょうか。辛い時でも、 その中から楽しいことを見いだしたりと、発想を変えてみるとまた違う道が開けてくる 場合も。そういう風に、ポジティブなマインドを持つといいことがあると思います」
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- 医療
女性のライフイベントに柔軟な働き方を “ 休める” 環境が働きやすさの理由
医療法人社団
ゆうあい会
〝 休める 〟環境が 働きやすさの理由
この会社を選んだ決め手は?
「前職ではウエディングプランナーとして、お客様と向き合い提案 することが好きでした。ですが、朝早く夜遅くの勤務体制に将来的に 働き続けることの難しさを感じ、結婚を機に退職。 『働きたい気持ち』 と『ゆとりを持ちたい気持ち』が葛藤していたときに、当院の産休・ 育休歓迎の雰囲気や女性職員の多さに魅かれて入職を決めました」
現在の仕事内容を教えてください。
「今年から医療連携部に異動し、フルタイムで働いています。医療 連携部で、各病院や医師、企業の皆様に当院の検査内容や受診方法 をご案内していますが、その中で企業向けを担当しています。まだま だ覚えることが多くて大変ですが、ひとりひとりのお客様に対し、 じっ く り向き合って最適な提案ができることに、 とてもやり甲斐を感じます」
時短からフルタイムに。 定時帰宅は大変ではないですか?
「とても大変です。異動して間もないため、引き継ぎや業務内容を 覚えることに必死です。子どものお迎えがあるので、仕事を定時まで に終わらせる必要があります。仕事を覚えていくと “ 優先すべきこと ” の判断がつき、今日やるべきことを集中的にできるようになりました。 当院はフリーアドレス(固定の席を持たず、空いている席を自由に使 い仕事をするワークスタイル)で仕事ができるため、他部署をまたい だ情報交換ができます。また、知らないことを教えあう雰囲気がある こともスムーズに仕事ができる理由だと思います」
産休前に不安はありましたか?
「産休前は不安より “ 皆に迷惑をかけてしまう ” と、申し訳ない気持 ちでいっぱいでした。でも、院内には産休・育休の先輩や同期がたく さんいて、私が思う以上に周りの理解と協力体制が整っていました。 ロールモデルがいることで、気負うことなく産休・育休がとれました。 小さなことですが、重い荷物を代わりに運んでくれたり、風邪やイン フルエンザの流行時期は、看護師がさりげなく体調のすぐれない患者 様との距離をとってくれたり、気遣いがとても嬉しかったです。また、 職場の先輩や同期と育児の情報共有ができることも頼もしいです」
産休・育休からの復帰に 不安はありましたか?
「不安はなく、早く職場復帰したいと思っていました。そう思えたの は、産休 ・ 育休経験者が社内にたくさんいて “ 休みやすく戻りやすい ” ことを分かっていたから。そのため、1 人目が 1 年 4 カ月、2 人目が 7 カ月で復帰しました。子どもの急な発熱で休まざるを得ない場合で も職場の理解があり、“ 休める環境 ” に働きやすさを感じています」
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- ⃝所在地:横浜市港北区北新横浜 1-6-2 ⃝従業員数:122 人(女性従業員 93 人) ⃝業種:医療機関(検査専門クリニック) ⃝女性支援制度:産前産後休業の浸透/短時間勤務制度の推進
2004 年に開院。 「がん」をはじめとする生活習慣病の早期発見を 目的に、“ 治療を一切行わない検査専門のクリニック ” として、健 康な人だけでなく、がん治療中の患者も対象とした高度な健康診断 を行う。脳の病気、女性特有の病気、生活習慣病など、幅広い病気 の検査が可能。開院当初から「楽しく働ける職場」を目指したワー ク・ライフ・バランスを徹底し、2009 年から「よこはまグッドバ ランス賞」を 10 年連続受賞、2019 年に「えるぼし認定」を獲得。
Message
社長メッセージ
育児と仕事の両立。 家族のフォローはありますか?
「私の両親が近所に住んでいるので、ときどき子どもの世話をお願いしています。 家族も協力的で、子どもにも支えられています。そう実感したのは、帰宅すると子ど もからの手紙が置いてあり『ママ仕事頑張ったね』と…なんでもない日に子どもから 褒めてもらえたことが嬉しくて、より一層頑張ろうと思いました。また、幼い子どもの 頃から “ 働く母の姿 ” が自然のことであれば、後々、寂しい思いをさせなくてすむの かなと考えています」
入社 10 年目 医療連携部
藤田麻衣香さん
前職のブライダル関連会社では、ウエディ ングプランナーを務めたのち退職。2010 年、 医療法人社団ゆうあい会 ゆうあいクリニック に入職し、 現職に就きます。 プライベートでは、 5 歳と 3 歳の子どもを育てる二児の母。今年 1 月、本人希望で時短勤務からフルタイムに。 子育てと仕事の変化に柔軟に対応する秘訣を 聞きました。
今の働き方は理想的ですか ?
「入職当時から希望していた部署に配属になったので、今、充実しています。もちろ ん、業務を覚える大変さはありますが、始業から終業まで満足して働けています。当 院は “ 残業しない文化 ” が職員に浸透しており、定時にタイムカードを切る音が鳴り 続けることを “ 幸せの音 ” と呼んでいます(笑) 。時間内に仕事を終わらせる職員の意 識、子どもの都合で急な休みが必要なときに休める環境、当たり前の制度を当たり前 に活用できる、仕事もプライベートも全力で取り組める環境だと感じます」
開院当初から「楽しく働き、まともな暮らし ができる」クリニックにしたいと思い、ワーク ・ ライフ・バランスを徹底した経営方針を考え ました。とくに、 資格職 (医師など) が仕事に専 念できない非効率な医療現場を見てきたので、 資格職をサポートする事務職の存在が重要で した。現在の当院では 122 人中約 60 人が事 務職で、多くの女性が活躍しています。 女性はライフイベントにより流動的な働き方 が求められます。しかし、 それが理由でやむを 得ず離職する人も多いのが現実。だからこそ、 女性が柔軟に働けるよう “ 休みやすい ” 職場 環境を整えました。子どもの学校行事や体調 不良などで休んでも、誰かの負担にならない ように職員の人数を確保しています。そのた め、有休だけでなく、産休・育休の取得率も 高く、復職率はこの 15 年でほぼ 100%。2 ~ 3 回取得する職員が多いのも特徴です。また、 住宅手当に加えて近隣住宅手当を創設したり、 ケガや病気で働けなくなったときの収入を補 償する所得補償保険にも加入しました。職員 が心置きなく休める(=安心して働ける)制 度を常に考えています。 今後は、地域全体で医療インフラを活性化 させ、医療機関同士が相互に補い合い、誰も が効率良く働けるシステムを考えています。 また、 多様な働き方や取り組みが増えていま すが、 仕事は人生のほんの一部。 働いている職 員には、 会社のためではなく、 自分のために人 生を大切にできる“働き方”をしてほしいです。
理事長 片山敦さん
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我が社のイチオシポイント
スタッフが昼休みを過ごす「休憩室」
制服や白衣着用時は外出できないため、 ここで昼休みを過ごします。ウォーターサー バー、自販機、冷蔵庫があり、お弁当の注 文をすることもできます。楽しみは、昼食後 の休憩時間にリクライニングチェアでゆった りくつろぎながらテレビを見たり、同僚とお しゃべりしてリラックスすることです。
今後の目標を教えてください。
「産休・育休でしっかり休ませてもらい、時短勤務でまわりの先輩や同期に支えられ ながら働いてきたので、今度は、私がこの病院に貢献したいです。仕事で必要な知識 をつけるための資格取得も考えているので、直近の目標は部内研修費制度を活用して スキルアップを目指しています」
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- サービス
時代とともに、 女性の働きやすさを柔軟に変革する企業
株式会社
旅コ レク シ ョ ン
働ける会社 キャリアを諦めずに
この会社を選んだ決め手は?
「旅行業にすごく興味があったわけではないのですが、インターン シップの機会をいただき、課題や実務を行うなかで、ス トレスなく働 ける職場だと実感。 任期終了と同時に、 入社を決めました。 就職前の 旅行経験は3カ国程度でしたが、 先輩から旅の話を聞く のが好きで、 ガ イ ドブックや書籍でのリサーチも楽しいと思えたのも理由の一つです」
現在の仕事内容を教えてください。
「社員旅行や視察旅行などを扱う『職場旅行.com』と、オーダー メイ ドの個人旅行を扱う『私の夢旅』の海外旅行手配を担当していま す。流行の移り変わりが早い業界なので、 お客様の希望を叶えるため、 最新情報のインプッ トが欠かせません」
仕事のだいご味は何ですか?
「担当したお客様から 『楽しかった、 また貴方にお願いしたい』 と言っ てもらえることです。個人旅行はリピーターが 9 割なので、お客様の 好みを把握し、より良い提案ができるよう心がけています。また、日 本や海外の経営者向け企業視察ツアーを担当したときは、余暇旅行 と考え方が異なり、視察の “目的” をしっかりと把握してツアーを考え る必要がありました。とても大変ですが、目的に則したツアーの提案 により弊社のツアーに決めていただいたときは、達成感と成長を感じ ます」
スキルアップのための バックアップはありますか?
「社内の研修会や社外の講演会に参加させてもらっています。例え ば、 『職場旅行 .com』では経営者が考える “ 旅の目的 ” に合うツアー を提案することがあります。経営者セミナーに参加したことで “ 経営 者の考え方 ” を知り、“ 何が求められているのか ” をイメージする力 が身に付きました。そのため、以前より提案できる幅が広がったと思 います」
今の働き方はどうですか
「入社当時は、個人裁量による業務が多く、残業も当たり前でした。 しかし、ITの活用が進み業務の細分化・共有化が図られたことで、 社員の残業時間が大幅に減りました。今は毎朝、1日のスケジュール を社員全員が共有し、日に3回(11 : 30、 15 : 00、 17 : 00)進捗状況の 確認をしています。遅れている業務は、フォローし合うことで、1 人 1 人の負担が軽減し、社員の帰宅時間もフラッ トになったと感じます」
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- ⃝所在地:横浜市中区尾上町 3-35 横浜第一有楽ビル 5 階 ⃝従業員数:10 人 ⃝業種:旅行業(神奈川県知事登録旅行業 第 2-1100 号) 、 国内・海外旅行手配、業務渡航、社員旅行ほか ⃝女性支援制度:時短勤務/在宅ワーク制度(2020 年導入予定)
1984 年創業の旅行会社。社員旅行・視察旅行を専門にした Web サイト「職場旅行 .com」をはじめ、オーダーメイドの旅専門 Web サイト「私の夢旅」などの旅行手配を行う。ホスピタリティの高い サービスに定評があり、 多くのリピーターに支持されている。また、 継続して働きやすい職場環境づくりに取り組み、 「よこはまグッド バランス賞」を 2016 年以来、3 回継続して受賞。
Message
社長メッセージ
ターニングポイ ントはあり ますか ?
「新卒採用を担当した 3 年前です。会社説明会や採用面接を通して、就活生の旅行 業への華やかな “ 憧れ ” を強く感じました。旅行業は、お客様の旅のサポートに徹す る “ 裏方 ” としての仕事がほとんど。そのため、 後輩の憧れを崩すことなく育てながら、 裏方仕事に対する調和がとれるか悩みました。このときから “ 働き方 ” に対する考え 方の違いを意識するようになりました」
入社 7 年目 営業主任
加納彩香さん
大学卒業後、行政機関が実施していたイン ターンシップ制度を活用し、 「旅コレクション」 にて約 4 カ月就労。その後、正社員として入 社し、現職に就きます。仕事を通して “ 旅が 好きになった ” という加納さんに、会社の魅 力と働き方について聞きました。
働く上で、ロールモデルはいますか ?
「旅行業はトレンドの変化が激しく、時短勤務が難しいことから、復職を諦める人が 多くいます。ですが、弊社には他社で一度キャリアを諦めた人も週 3 日時短勤務で働 いています。結婚や子育てなど、ライフステージやライフスタイルに合わせた働き方 ができるので、将来を見据えて働けると感じています」
今後の目標を教えてください。
「人材育成制度の成功事例を作り、フォーマット化していきたいです。その理由は、 新卒採用や新人教育を担当し、後輩の能力をもっと引き出す方法があると感じたため です。新卒採用をはじめて間もない弊社には、人材育成制度がまだないため、社内制 度として構築することで考え方の方向性が定まり、今後の会社のためになると考えて います」
女性活躍推進を意識しはじめたのは、6 年 前。ITの進化とともに旅行業務も変化し始め たことがきっかけです。 特に、 航空券手配が主 な業務だった時代は、 最初から最後まで 1 人 で仕事をするため、 個人裁量に任せきり。 その ため能力差による業務時間のバラつきが課題 でした。 ですが、 web サイトを通じた旅行手 配に変わると、以前よりも業務を分担しやす く、 業務の共有ができるようになりました。 現在、1日のスケジュールを社員全員が毎 朝共有し、日に 3 回(11:30、15:00、17:00) 進捗状況を確認します。遅れている業務は シェアし、フォローし合う体制にしています。 また、 ホスピタリティ ・ コーディネーターや 旅行業務国家資格などスキルアップのための バックアッ プをはじめ、 適宜、 研修会や講演会 に参加することも。 そのほか、 月 1 回の面談を 行い、 社員 1 人 1 人の現状を把握し、 社員全 員が働きやすい環境づく りに努めています。 今秋から、在宅ワーク制度を検討中。週 3 日は時短勤務、週 2 日は在宅ワークをトライ アル導入していきます。旅行業での在宅ワー クは難しいとされてきましたが、IT 化が進み 在宅が可能な業種に変わりつつあります。ま た、ノー残業デーも設けます。 女性はライフステージにより、 仕事が左右 されるだけでなく、 思い切り働きたい人もい れば、 家庭を優先したい人もいます。 だからこ そ、 社員が求める“働き方”を尊重し、 “働き方” を割り切ることも大切だと感じています。旅 行業は一度キャリアを断ち切ると、 戻るのが 難しいと言われています (トレンドの変化が 激しく、 時短勤務が難しいなど) 。 だからこそ、 優秀な女性が好きな仕事でキャリアを断ち切 らず、 無理なく働き続けられる環境を整える ことは、 これからの時代に必要なこと。 女性が働くことが当たり前の時代、仕事に やりがいを、自分に生きがいを感じて欲しい です。
代表取締役社長 荒井佳代子さん
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我が社のイチオシポイント
コーチング型の朝礼
1日のスケジュールを共有するだけでなく、 司会者を立てたコーチング型の朝礼を行って います。教材「13 の徳目」を読み合わせるこ とで、ビジネスに必要な思考力や伝達力など を鍛えています。また、個々の意見を発表す る場でもあるので、互いを認め合う有意義な 時間でもあります。
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- サービス
女性が生き生きと働く ことで豊かな生活を創造する企業
日総ブレイ ン 株式会社
好きなことを仕事に、と化粧品会社で 働いていましたが、人材サービス業という 違う道へ転職した理由は?
「通っていた専門学校も入社した会社も化粧品関係。好きなことを 仕事にするのは当たり前だと思っていましたが、ある時友人から『好 きなことを仕事にしている人は一握りだよ』と言われて、ハッとしまし た。多くの人が、より良い環境と適性を求めて仕事を探しているなら、 私がそのサポートをしたい、 と。それには人材派遣の会社がイチバン! と思い、当社へ就職しました」
仕事と育児にベストを尽くす
度胸の良さとスピーデ ィーな対応で
この会社を選んだ決め手は?
「面接を担当した役員が、 『仕事に不満や悩みを持つ人を、いい方 向に導くことが当社の使命』と言っていたことに共感しました。また、 私の思いを受け止めてくれたことも入社の決め手となりました。当社 の営業は女性も多く、トップでバリバリ働いている人もいる、と聞き、 私もここで頑張りたいと思いました」
現在の仕事内容とチーム体制について 教えてください。
「営業本部 NB(ニュービジネス)課で、派遣先の企業を新規に開 拓する仕事です。課には上長が 1 人、メンバーは私ともう 1 人で、2 人ともベテランの 40 代男性。当社の営業は、NB 課の他に既存の取 引先企業を担当する課がありますが、そちらのスタッフは 10 人ほど。 NB 課は少数精鋭部隊です。 新規企業開拓が仕事なので、電話で当社の取り組みを説明してア ポを取るか、外に出て飛び込みで営業をかけます。人事の方とお会 いできるのは 1日 3 社ほど。その後、ニーズをうかがいながら話を詰 めていき、案件をいただきます。当社の派遣スタッフのコーディネー ターから、こういう仕事をしたい人がいる、と依頼を受け、企業に売 り込む場合もあります」
飛び込みでの営業は 大変ではないですか?
「私の担当エリアはオフィスビルが多いので、移動も楽ですし、な により、いろいろな企業の方とお会いできるのが楽しいですね。 大変だなと思うのは、前職との “ お客様 ” への接し方の違い。前職 の化粧品会社の “ お客様 ” は、商品を買いにきてくれた個人で、ほと んどが女性。 自分の体験を交えて接客することで共感を得ていました。 でも、今の “ お客様 ” は企業。しかも人事担当者の大半は自分より 年上の男性が多く、共感を得るまでに苦労することも。そんな時は、 社内で配られる、人材派遣業にまつわるホッ トなニュースを読んだり、 上長に相談して、得た知識を営業に生かします。あと、分からないこ とは『分からない』と正直に伝え、相手の話をよく聞き、理解に努め ています」
この仕事のだいご味は?
「相手企業と何回か打ち合わせを重ね、案件をもらったところで、 やっとスタート地点に立ちます。次は社内のコーディネーターと打ち 合わせをして、最適な派遣スタッフを人選します。その企業に働くこ とが決まった派遣スタッフから、 『ありがとう』と言われると、とても うれしいですし、 『やってて良かった』と感じます」
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- ⃝所在地:横浜市鶴見区豊岡町 28-26 ⃝従業員数:68 人 ⃝業種: 人材派遣業、人材紹介業、委託事業 ⃝女性支援制度:産前産後休業の浸透/短時間勤務制度の推進/養育休暇
1986 年、総合人材サービスの日総工産株式会社の OA 事業部を 分離し、 日総オフィス ・ エム ・ ツー株式会社を横浜に設立。1999 年、 日総グループの技術者派遣部門であるニッソークロダ技研株式会社 を統合し、総合人材派遣会社として社名を日総ブレイン株式会社に 変更。横浜エリアを中心に事業展開する人材サービス会社であり、 女性が活躍できる社会の実現に向けて貢献します。2008 年から 3 年連続で「よこはまグッドバランス賞」を受賞。
Message
社長メッセージ
産休・育休前後の 働き方について教えてください。
「2017 年 2 月から産休をとり、3 月に出産。その後育児休暇に入り、2018 年 5 月 から仕事に復帰しました。2016 年 6 月から産休までは、 内勤業務に切り替えてもらい、 人材紹介部に所属。転職を希望する人に連絡したり、面談の日程を組む仕事をしまし た。育休中は、社内のスタッフがこまめに連絡をくれたので、復職への弾みがつきま した」
入社 3 年目 営業本部 NB 課
小暮亜実さん
2008 年、 新卒で大手化粧品会社に入社し、 販売職として店舗リーダーを務めます。7 年 後に退職。2016 年、日総ブレイン株式会社 に入社し、現職に就きます。 プライベートでは、 2016 年に結婚し、 2017 年に出産。育児と両立しながら営業職として 頑張る秘訣を聞きました。
仕事と育児の両立で困ったこと、 工夫したことは?
「妊娠中は、自分に両立ができるかな、と不安になったことも。でも、産休前に所属 した人材紹介部で一緒に働くワーキングマザーに相談したところ、 『小暮さんならでき るよ』と言われ、前向きな気持ちになれました。今は子どもの保育園の送り迎えなど は夫と協力。その他の家事や育児はほぼ私が担当していますが、夫が口を出さずに任 せてくれるので、自分のペースでできてやりやすいです。 仕事では、クライアントから派遣スタッフへの要望など、コーディネーターに渡す べき事は即座に処理。自分の所で仕事を溜めないように、コーディーネーターと連携 してスピーディーな対応をすることで、子どもの急病などで早退しても周囲に迷惑が かからないよう心がけています」
女性活躍のための制度を整えようと思った のは、社長に就任した 2007 年から。出産を 機に退職する社員がいたことがきっかけでし た。せっかく築いたキャリアを出産のために失 うのはもったいない、と思い、育児休業を取 得後に復帰してからも長く働けるよう、制度 の改革に着手しました。仕事と子育てを両立 してきた私の経験から、 長く働いてもらうには、 周囲のスタッフの理解と協力が不可欠と考え ました。そこで、各部署の所属長が常に現状 を理解し、部署全体でワーキングマザーをサ ポートできる体制を整えました。 その結果、産休・育休制度を使った後、復 帰する女性社員が 6 年連続で 100%に。2 回 取得する社員が多いのも特徴です。当社が働 きやすいから、2 人目を産む決断ができるの だとしたら喜ばしいこと。今後も 100%復帰の 継続に注力していきたいです。 他にも、小学 6 年生までの子どもを持つ社 員を対象に、 「養育休暇」を制定。子ども 1 人に対して年間 5 日の休暇を認め、PTA 活動 や三者面談などの学校行事に参加しやすいよ うに配慮しました。最近は“イクメン” が増え ているせいか、女性だけでなく男性社員の取 得率も高いです。 昨今は企業が女性に優しい制度を取り入 れ、働きやすい時代です。だからこそ女性は、 制度を利用して終わり、 ではなく、 周囲への感 謝を忘れずに仕事にまい進し、 成長し続けるこ とが大切ではないでしょうか。そういう努力が 自分の価値を高めることにつながり、より輝い た人生を送れるのではないかと思っています。
代表取締役社長 清水智華子さん
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我が社のイチオシポイント
カフェのようなリラックス空間
会社のエントランス近くにあり、 お客様を迎 え入れるこのスペースは、 おしゃれなカフェの ようなインテリアで、社外の方はもちろん、社 内でも好評。 外回りの仕事からの帰りなど、 目 にするだけでホッとするリラックス空間です。
これからの夢や 目標をお聞かせください。
「前職でもそうでしたが、 私は、 自分に与えられた数字を達成するのが好きなんです。 だから営業職は向いていると思うし、この仕事でキャリアを積んでいきたいです。 キャリアを形成する中で、必要なことは貪欲に学んでいきたいです。例えば、どん な企業を訪問しても対応できる知識を身につけたり、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)など、パソコン関係の資格も取得して、自分の強みを引き出したい。 仕事も育児も、常にベストを尽くして頑張ります」
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- 認定制度・相談窓口のご案内
【よこはまグッドバランス賞】
中小企業等における女性の活躍 やワーク・ライフ・バランスを推進 するため、男女がともに働きやすい 職場環境づくりを積極的に進める 事業所を「よこはまグッドバランス 賞」として認定しています。
【お問合せ先】 横浜市政策局男女共同参画推進課 TEL:045‑671‑2017
【横浜健康経営認証制度】
企業の経営力向上や、 「働き世代」 の健康づくりを推進するため、健康 経営に積極的に取り組む事業所を 認証しています。
【横浜型地域貢献企業】
地域を意識した経営を行うととも に、本業及びその他の活動を通じ、 環境保全、地域ボランティア等の 社会的事業(CSR 活動)に取り組 んでいる企業等を「横浜型地域貢 献企業」として認定しています。
【お問合せ先】 (公財)横浜企業経営支援財団 TEL:045‑225‑3714 横浜市経済局経営・創業支援課 TEL:045‑671‑4236
【IDEC 横浜】
創業・起業、成長・発展といっ たあらゆる事業活動のステージにお ける、 経営、 技術課題、 海外展開等、 各種相談を承ります。
【お問合せ先】 横浜市健康福祉局保健事業課 TEL:045‑671‑2454 横浜市経済局経営・創業支援課 TEL:045‑671‑4236
【お問合せ先】 (公財)横浜企業経営支援財団 <ワンストップ経営相談窓口> TEL:045‑225‑3711
人材不足対策・働き方改革のカギとなる 「女性の活躍推進」 に向けて、 企業の皆様の力強い味方となるポータルサイ ト
女性活躍・働き方改革 企業応援サイト
横浜市が実施する関連セミナーや支援制度の募 集情報はもちろん、神奈川県や市内経済団体から のお知らせ ・ ニュースなど、 最新情報を発信します。 https://jokatsu‑navi.jp/
Career 小町
2020 年 3 月発行 発行:横浜市経済局経営・創業支援課 〒 231‑0017 神奈川県横浜市中区港町 1‑1 TEL:045‑671‑4236 / FAX:045‑664‑4867 制作:サンケイリビング新聞社 〒 231‑0013 神奈川県横浜市中区住吉町 2‑22 松栄関内ビル 7階 TEL:045‑661‑1711 / FAX:045‑640‑1080
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