Career小町
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- 製造
革新的な経営手腕で “伝統” に新しい風を吹き込む企業
岩井の胡麻油 株式会社
﹁横浜の味﹂作りに情熱を注ぐ
さまざまな職業を経て、 現在の職に就いた経緯を教えてください。
「新卒でアパレルメーカーに就職した時は、 まだ将来の確たるビジョ ンを持っていませんでした。3 年勤めて、この先の自分の姿に想像を めぐらせた時、 手に職をつけたいという思いが芽生え、 ヘアメークアッ プアーティストの道に。独立し、10 年続けてきてハードな仕事である ことを痛感。この先もずっとフリーでやっていくのは並大抵のことで はないと感じていました。 そんな時、社長である父から、当社で 40 年勤務した総務の女性が 辞めることになったので、後任を務めてくれないか、と持ちかけられ ました。デスクワークは未経験でゼロからのスタートでしたが、家業 ならきっと頑張れると思い、入社を決意しました」
仕事と育児をしなやかに両立し
仕事内容はどのようなものですか?
「広報宣伝活動は社長が担っていました。しかし、今まで以上に家 庭用ごま油のターゲット層である女性に共感してもらいたい、という 狙いもあり私が担当することに。まずはたくさんの方に商品を知って いただこうと、全国の百貨店やスーパーマーケットに出向き、試食販 売を始めました。試食は、当社のごま油の特徴である “ 香りとコク ” を一番引き立たせてくれる『ごま油をたらした鶏ガラスープ』 。そのお いしさを味わってもらったうえで、添加物を使わずに作る、こだわり の製法をアピールしました。さらに、ごま油やラー油を最後まで使い きれない、という消費者の声に応えるため、ごま油・ラー油・ねりご まを使った料理のイラストを自ら書き、レシピを添えたリーフレッ トを 作成。お客様に配付しました。主婦だけでなく、 若い人や男性からも、 多彩な食べ方を知って料理の幅が広がった、と好評でした」
今年 5 月に、新商品 「横濱ぶぶあられ」の 販売を開始しました。開発のきっかけは?
「神奈川県の国際文化観光局から、県が主導するクラウドソーシン グ活用型の新商品開発支援事業への参加を打診されたことです。こ の事業のメリットは、1 万人を超す生活者と企業を結ぶ共創プラット フォームを利用し、 生活者の意見を取り入れながら商品が作れること。 2020 年のオリンピック開催に向けて、国内外から横浜を来訪した方 が買い求める観光みやげを作りたい、 と考えて、開発に着手しました。 商品は、横浜の老舗『美濃屋あられ製造本舗』とコラボ。社長の小 森健太郎さんは地産地消活動を積極的に行い、地元ならではの商品 開発を進めていました。2011 年からは、 「横浜胡麻油おかき」と「横 浜胡麻担担」を製品化してくれた経緯がありました。今回も、多彩な アイデアを持つ小森社長とならいいものができると思い、協力をお願 いしました」
開発する う えで大変だったこ とは?
「商品を開発するのが初めてだったので、大変なことの連続でした。 『手軽に食べられて、子どものおやつになるものを』という会員の意 見を取り入れ、ごま油の味わいが楽しめる、小粒状のお茶漬け用あら れにすることを思いつきましたが、試作しても失敗ばかり。そこで美 濃屋あられの小森社長に相談して、ごま油にねりごまを加え、しょう ゆ味にすることで、しっかりと風味の効いたおいしいあられができま した。 また、ぶぶあられを入れる缶を決めるのにもひと苦労。型から作る と割高になるので、既存の型で最適なものを探し回りました。限られ た時間のなかで、情報を集め、アイデアを絞りだし、子どもからお年 寄りまで、さまざまなシーンで手軽に食べられる、お土産にぴったり の商品が完成しました」
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